ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・マイコンたち

歴代のPC-8801シリーズを振り返る その1「PC-8801/PC-8801mkII編」

PC-8801は横に長く、机の上に置くとスペースを取りました。PC-8801mkIIはPC-8801と比べると、コンパクトになっただけでなく縦置きもできるため、省スペースなのがありがたいです。

 想い出に残る、懐かしのマイコン・パソコンを写真とともに振り返る本コーナー。来春に発売予定となっている「PasocomMini PC-8801mkIISR」を前に、特別企画として「PC-8801シリーズを振り返る」をお送りします。第1回目は初代PC-8801と、2代目のPC-8801mkIIです。

PC-8801の広告は、10月発売の雑誌に“12月新発売”として掲載されていました。この時点でのNECのパソコンラインアップは、11月発売予定のPC-6001と既発売のPC-8001を合わせて3機種。この後も複数機種での広告が掲載され続けて、PC-8801単体での広告は出されなかったようです。

 1980年代には数多くのマイコンやパソコンが登場しましたが、その中でも一際目立っていたのがNECから登場した「PC-8801」シリーズではないでしょうか。1981年に誕生した初代のPC-8801から始まり、PC-8801mkII、PC-8801mkIISR、PC-8801mkIITR、PC-8801mkIIFR、PC-8801mkIIMR、PC-8801FH、PC-8801MH、PC-8801FA、PC-8801MA、PC-8801FE、PC-8801MA2、PC-8801FE2、そしてPC-8801MCと、最終的には全部で14機種が発売されています。

 この連載では数々の機種を取り上げてきましたが、来春に発売が予定されている「PasocomMini PC-8801mkIISR」を前に“PC-8801シリーズを振り返る”と題して、今回はシリーズ最初の機種となるPC-8801、そしてPC-8801シリーズで初のフロッピーディスクドライブ搭載機種となったPC-8801mkIIを改めて紹介していきましょう。

影に隠れていますが、太いカールコードで本体と接続されたキーボードが、非常に大きな存在感を醸し出しています。全体的に、“どっしり”とした感じのある機種でした。正面には、電源ボタンとリセットボタン、キーボードを接続する端子のみが用意されています。

 PC-8801が登場したのは、2024年現在からさかのぼること43年前となる1981年の事です。その年の9月21日にPC-6001と共に発表され、12月から販売が始まりました。その前にNECから登場していた機種としてはPC-8001がありましたが、メインメモリは16Kbytes(32Kbytesモデルも)で解像度が160×100ドット8色だったところ、PC-8801は640×200ドット8色が表示出来るだけでなく、64kbytesのメインメモリも搭載と、大幅に強力になっていました。さらに、PC-8001と同じN-BASICを内蔵したことでPC-8001用の資産がそのまま使えただけでなく、N88-BASICも実装しての228,000円という、かなり思い切った価格でデビューしています。

 この当時の紹介記事には「PC-8801はPC-8001の上位にあたるもので、メモリ容量、グラフィックス、漢字処理などを中心に強化されている。オフィスオートメーション機器としての使用に耐え、しかも現在のPC-8001のソフト・ハード資源を活用できるという、上位コンパチブル機ならではの特徴を備えたシステムである(月刊ASCII1981年11月号より)」と書かれていました。

本体背面には4つの拡張スロットのほか、左からデジタルRGB端子、モノクロモニタ端子、CMT端子、外部FDDインタフェース、ディップスイッチ×2、ジャンパ、プリンタポート、RS-232Cコネクタ、電源と並んでいます。

 そして2年後、1983年10月18日から21日まで東京・晴海展示場で行われていた「データショウ'83」閉幕後に発表され、11月15日から17日まで東京・品川のパシフィックホテルにて開催された「NECパソコンフェア'83」で初お披露目となったのが、PC-8801と比べて本体がよりコンパクトになり、さらにフロッピーディスクドライブ(FDD)を内蔵したモデルも選択できるようになった新機種、PC-8801mkIIです。

 同年12月から発売が始まったPC-8801mkIIは、FDDを内蔵しないmodel10(168,000円)、FDD1基内蔵のmodel20(225,000円)、そしてFDDを2基内蔵したmodel30(275,000円)の3種類が発売されました。PC-8801を買う予算で、PC-8801mkIIならばFDDが1基付いてくるという計算になります。

1983年12月発売の雑誌から、PC-8801mkIIの広告が掲載されるようになりました。縦置きができるようになったことを受けてか、メインのページでは横置きとなっていますが、隣のページには縦置き姿が採用されています。その後は縦置き、横置きどちらも使われていました。

 PC-8801mkIIの基本的なスペックはPC-8801とほぼ変わりませんが、新たにFDDを搭載したことと筐体が小さくなり縦置きにも対応したこと、第1水準の漢字ROMを標準装備したこと、キーボードがステップスカルプチャタイプになったことなどが相違点でした。

内蔵するFDDの数によって3モデルが用意されました。撮影で使用したのは、小麦色の肌に日焼けした(笑)FDD1基内蔵のmodel20ですが、後からの増設ももちろん可能です。FDDは、人によってはうるさく感じるかもしれません。正面下段のフタを開けるとリセットボタンとボリュームつまみ、ディップスイッチ×2が現れます。右端には、電源スイッチがありました。

 1983年といえばアドベンチャーゲームブームが起き始めた頃で、この年にはハドソンソフトから『デゼニランド』が、T&E SOFTからは『惑星メフィウス』、シンキングラビットより『鍵穴殺人事件』と、それらを含めて数々のタイトルがリリースされています。アドベンチャーゲームでは、テープ版とフロッピーディスク版ではプレイの快適さが大きく変わってくることもあり、この頃から少しずつFDD搭載モデルが普及しはじめていくのでした。

 とはいえPC-8801とPC-8801mkIIは、一部ソフトではグラフィック画面の表示が遅かったり、いわゆる“御三家(NEC、シャープ、富士通)パソコン”の中では唯一、PSG音源を搭載していなかったことで華に欠ける部分もあったため、この時点での人気としては、そこまで突出していたわけではありません。

背面は上段に拡張スロットが3つ用意されてて、下段は左からプリンタポート、汎用I/Oポート、PC-80S32増設ポート、RS-232Cポート、CMT端子、モノクロモニタ端子、デジタルRGB端子、そして電源の上にはサービスコンセントが2つ設けられていました。

 この後に、パソコン界の勢力図を大きく塗り替えることとなる機種、PC-8801mkIISRが誕生するのですが、それは次回としましょう。

当時のアドベンチャーゲームは、マジカルズゥの『黄金の墓』のように、テープ版とフロッピーディスク版では内容が異なる作品もありました。また、フロッピーディスク版ならセーブは簡単ですが、ボンドソフトの『タイムトンネル』のように、テープ版ではセーブ用の空テープを用意して、データを保存するのに数十秒から1分強ほど待ち、再びゲームテープをセットするなどの作業が必要なタイトルも。