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【ミニPCファーストインプレッション】手のひらから広がる無限の可能性

DOS/V POWER REPORT 2022年秋号の記事を丸ごと掲載!

 最近、PCメーカーやPCパーツメーカーからユニークなデスクトップPCがいくつも登場している。とにかく「小さいこと」が特徴の製品だ。その多くは手のひらにも乗る程度の非常にコンパクトなサイズであり、置き場所に困らない。

 またCPUにはIntelのCoreシリーズやAMDのRyzenシリーズを搭載しており、性能面でも期待できるモデルが多い。今回はそうした「ミニPC」とでも呼ぶべき今注目のデスクトップPCを一堂に集め、その特徴や性能を徹底的に検証した。

最近話題のミニPC、どのくらい小さいの? Mini-ITXの小型PCなどとの違いは?

多くのモデルは手のひらサイズ拡張性はノートPCと自作PCの中間

 「ミニ」PCという名前のとおり、このカテゴリーに含まれるデスクトップPCは非常に小さい。たとえば自作PCで小型PCを作りたい場合にはMini-ITXケースを利用するが、そうした自作PCと比べてもさらに小さいのだ。下の写真の一番左はATXケース、一番右はミニPCらしいサイズ感のIntel「NUC12 Pro キット NUC12WSHi5」である。一般的な自作PCと比べると、本当に小さいことが分かる。

左からATXケース、Mini-ITXケース、ASRockの「DeskMeetB660/B/BB/BOX/JP」、ZOTACの「ZBOX-EN173080C-JW4C」、Intelの「NUC 12 Pro キット NUC12WSHi5」。Mini-ITXケースと比べてもかなり小さいが、ミニPCの中でもサイズ感には違いがある

 こうしたコンパクトなPCとしては、キューブタイプケースを利用した小型ベアボーンPCを思い浮かべる人もいるかもしれない。サイズ的にはMini-ITX対応の小型PCケースに近いものだが、そうした小型ベアボーンPCと比べてもかなり小さい。そうした制限もあり、ほとんどのミニPCではビデオカードの組み込みには対応していない。メモリやSSDに関しては、自由に変更できる。

ミニPCとほかのタイプのPCの特徴を比較

そんなに小さいなら性能も低いのでは?それに冷却性能も不安になる……

ノートPC向けCPUを利用し性能と冷却性能を両立

 手のひらサイズの小型PCと言うと、実はこれまでもいくつか存在はしていた。ただそのほとんどはローエンドに近いスペックのPCだったため、性能面に不安を持つユーザーは多いかもしれない。しかし最近のミニPCでは事情が異なる。と言うのも、ノートPC向けの低発熱なCoreシリーズやRyzenシリーズを搭載している製品が増えたためだ。

IntelやAMDのノートPC向けCPUを利用し、コンパクトな筐体でも発熱が問題にならないようにしている。写真はAMDのノートPC向け「Ryzen5000」シリーズ

 実際に今回行なった検証テストでも、使い勝手に問題があるモデルは存在しなかった。Windows 11や各種アプリの起動、操作はスムーズであり、日常的な作業で不満を感じる場面はないだろう。

PCMark 10 ExtendedのScoreは、ビデオカードを搭載しないタイプでも5,000に迫る勢い
GPUやビデオカードを搭載するタイプだと、PCゲームも快適にプレイできる ファークライ6:©2021 Ubisoft Entertainment. All Rights Reserved.

普段使いのPCとして十分なインターフェースは搭載している?

ディスプレイ出力端子は必要十分 最新インターフェースも搭載

 ミニPCは物理的なサイズが小さいので、一般的なデスクトップPCや自作PCと比べれば装備するインターフェースは少なめ。とはいえ、必要な分はきちんと確保しているので安心してほしい。

ミニPCでも、DisplayPortやHDMIを複数搭載し、マルチディスプレイ環境を作りやすい

 たとえば映像出力端子は、DisplayPortやHDMIなどを合わせて、3、4基は備えているのが普通だ。最新のミニPCでは、最新世代かそれに近い世代のCPU/GPUを搭載しているので、映像出力端子はリフレッシュレート60Hz / 4K出力にも対応している。複数台の4K対応液晶ディスプレイを接続し、マルチディスプレイ環境を構築するのも容易だ。

USB PD対応かつDisplayPort Alt Modeにも対応する多機能なType-CやThunderbolt 4を搭載するモデルも多い

 無線LANはWi-Fi 6対応が当たり前、2.5GBASE-T対応ポートを装備するモデルもめずらしくない。USBポートは少なめではあるが、これはハブなどで補ってやれば問題はないだろう。

Intelの「NUC 12 Pro キット NUC12WSHi5」では、2.5GBASE-Tの有線LANポートを装備

ミニ「PC」と言うとスペックは決め打ちで、好きなパーツは使えない?

メモリやSSDの増設や交換は自由に行なえる

 ミニPCは小さいため、内部へのアクセスや各パーツの組み込みが難しいのでは、と不安に思う人もいるだろう。しかし心配はいらない。ほとんどのミニPCでは、底面カバーを外すだけでメモリスロットやSSDを組み込むM.2スロット、2.5インチシャドーベイにアクセスできるのだ。

ほとんどのミニPCでは、底面から内部に簡単にアクセスできる設計になっている

 ただし一部の小型のベアボーンPCを除くと、増設したり交換したりできるのはメモリとSSDまでにとどまる傾向が強い。一般的な自作PCやベアボーンPCと比べれば、拡張性はどうしても劣る傾向にある。とはいえ、搭載するCPUの性能は十分高いし、最近安くなってきた大容量のDDR4メモリやM.2対応SSDを組み込めば、メインPCとしても十分活用できる。

一般的なメモリスロットやM.2スロットを装備しているため、メモリやSSDの換装程度なら簡単に行なえる
デスクトップPC向けのCPUに対応し、自作PCに近い自由度を楽しめるモデルもある

[TEXT:竹内亮介]

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