CPUの装着やメンテナンスをスマートに行うテクニック

87.　CPUを安全に付けられる「CPU Installation Tool」　　　難易度★★★

　CPUをソケットに取り付ける際に一番怖いのは、CPUを落下させて、ソケット側のピンが折れ曲がる事故。慣れていても、CPUをソケットに乗せる瞬間は緊張するものだ。その事故を減らすのが、ASUSTeKのミドルクラス以上のLGA1151マザーボードに付属している「CPU Installation Tool」と呼ばれるプラスチックのアダプタ。これにCPUを固定することで、CPUが掴みやすくなり、ソケットに乗せる際の落下を防止できる。アダプタを付けたまま、ソケットのカバーも閉じられる。

安全にCPUをソケットに乗せられる

CPUを安心して固定できるASUSTeKのアダプタ「CPU Installation Tool」。CPUを中央部分に固定して使用する

アダプタは掴みやすいため、CPUを落下させる危険を減らせるのが特徴。CPUをアダプタに付けたままソケットを乗せ、そのままカバーも閉じられる

88.　リテールクーラーのピンは折れても交換が可能　　　難易度★★★

リテールクーラーのピンはプラスチックなので、先端部分をマザーボードの穴にしっかり入れないで固定しようとすると折れ曲がりやすい

　IntelのCPUに付属しているリテールクーラー。CPUソケットの周囲にある穴にピンを入れ、押し込むだけと簡単に装着できるのが特徴だ。

　ただし、ピンはプラスチックなので、ムリに力を入れたりすると折れやすいのが難点。そこで活躍するのが、リテールクーラーのピンをネジに変えて、バックプレートで固定できるようにするキット。ピンが折れても引き続きリテールクーラーを使えるのに加え、バックプレートでの固定になるため、より強力に装着できる。

ピンが折れてもネジに交換できる

アイネックス
LGA1156用 ヒートシンクバックプレート BS-1156A
実売価格：900円前後
LGA1150/1155/1156のIntel CPUのリテールクーラーに対応する、プッシュピンによる固定からネジとバックプレート固定に変更するキットだ

アイネックスのBS-1156Aを使用すれば、ピンが折れてもネジに交換して引き続き使用できる。ネジによる固定なので、強力に固定できるのもメリット

89.　M.2スロットのネジは特殊なのでなくすとめんどう　　　難易度★★★

　最近のマザーボードでは標準装備となりつつあるM.2スロット。ケーブルいらずで手軽に使え、PCI Express接続のSSDなら高速なのがメリットだが、固定するためのネジは特殊な場合が多く、マザーボードによっても異なるため、なくすとめんどうだ。注意して取り扱いたい。

　また、ネジには組み立てで使われるNo.2サイズのプラスドライバーでは大きいことが多い。No.0、No.1サイズのプラスドライバーが必要となるので、覚えておきたい。

M.2の固定にはNo.0、1サイズのプラスドライバーが必須

M.2スロットのネジは特殊な上にマザーボードごとに異なることが多いので、なくさないように注意したい。使わなくてもとりあえず基板に付けておくのがオススメだ

M.2 SSDの固定には、No.0またはNo.1サイズのプラスドライバーが必要。組み立てで使うNo.2ではネジ山のサイズが合わない

90.　静電気が心配なら対策するべし　　　難易度★★★

　冬場の組み立て時に注意したいのは「静電気」だ。乾燥していると、手と金属が触れたときバチッと静電気が起こり、可能性はそれほど高くはないがパーツが破損してしまう恐れがある。事前に金属に触れるといった対策もあるが、万全を期すならば静電気防止グッズを活用したい。

　静電気防止手袋やリストバンドなどが入手しやすい。

金属部分にクリップを付ける

アイネックス
静電防止リストバンド SB-04A
実売価格：900円前後
静電気を除去するリストバンド。バンドを手首に装着して使用する。クリップはOAタップのアースターミナルや家電用のアース端子に接続する

近くにアース端子がない場合は、PCケースの金属部分にクリップを付けると効果がある。ただし、通電性がないダメなので、ネジの頭など塗装されていない箇所に付けよう

91.　ネジ山がつぶれても最終兵器がある　　　難易度★★★

　むりやりネジを回したり、サイズが合わないドライバーを使ったりして、ネジ山がつぶれてしまい、ドライバーで回せなくなることがある。そうなるとパーツが外せなかったり、正しく固定できなかったりして困ってしまうが、ネジの先端をガッチリ掴んで回すことができる専用工具がある。購入を検討してほしい。

大抵のネジならこれで外せる

エンジニア
ネジザウルス GT PZ-58
実売価格：1,800円前後
ペンチのような見た目だが、先端部分には細かいスリットが入っており、ネジの先端がちょっとでも出ていればしっかりと掴める

ネジの頭をつぶしてしまった場合でも、ネジザウルス GT PZ-58ならば、ネジの先端をガッチリと掴めるため、強引に回して外すことができる

92.　Serial ATAケーブルは色分けすると分かりやすい　　　難易度★★★

タグで管理もアリ

サンワサプライの「CA-TAG111」は、ケーブルに巻き付けるタイプのタグ。タグにストレージの名前や用途を書いておけば、すぐに判別できる。実売価格は10個入りで300円前後なので導入しやすい

　複数のストレージを使用していると、マザーボードのSerial ATAコネクタに挿さっているSerial ATAケーブルが、どのストレージに接続されているか、迷ってしまうことがある。マザーボードに付属している同じケーブルを使用している場合はなおさらだ。ストレージを頻繁に交換するなら、Serial ATAケーブルは色分けしておきたい。赤や青、白などさまざまな色のケーブルが登場しているので、ストレージごとに変えるとよいだろう。

　このほか、同じケーブルを使う場合は、タグを付けて管理するという手もある。

マザーボードに付属しているSerial ATAケーブルは黒が多いが、黄色や赤、白などさまざまな色のケーブルが発売されている。実売価格は500円～800円前後

色分けしておくと、複数のストレージをマザーボードに接続しても区別しやすい。ケーブルがごちゃごちゃしていても、これならどのストレージに接続しているのか判別しやすい

[Text by 芹澤正芳]