借りてみたらこうだった!
4K出力に対応したShuttleのH81搭載自作キット「DS81」を試す
VESA対応のコンパクト/スリム型筐体
2014年4月24日 12:00
4K出力も可能なHaswell対応ベアボーンキット
Intel H81 ExpressチップセットベースのベアボーンキットであるDS81は、165mm×190mm×43mm、容量1.3リットルというコンパクトな筐体を採用した、Shuttle製ベアボーンキットの中でもIntel NUCのカウンターパートにあたる製品です。LGA 1150ソケットを備え、TDP 65W以下のHaswell世代CPUを搭載でき、4Kディスプレイへの画面出力にも対応しています。
スチールで作られたDS81の筐体は、コンパクトでありながらも十分な強度を実現。VESA規格にも対応しており、75mm×75mmまたは100mm×100mmのVESA規格に対応するディスプレイの背面に取り付けての運用も可能。
筐体に備えられたインターフェースは、フロントパネル側に音声入出力、USB2.0ポート×4、SDカードスロット。リアパネル側にUSB2.0ポート×2、USB3.0ポート×2、RS232ポート×2、Gigabit LAN×2、DisplayPort×2、HDMI×1。また、背面には電源スイッチ用のピンヘッダが用意されており、別途ケーブル長の長いスイッチを用意することで、VESAマウントを用いてディスプレイ裏面に本体を配置した場合でも、手元で電源のON/OFFを行うことができます。
筐体内部を見てみると、DDR3 SO-DIMM対応のメモリスロットが2基用意されており、最大16GB(8GB×2)までメモリを搭載することが出来ます。その他、ハーフサイズのMini PCI Expressスロット1基と、mSATA共用のフルサイズMini PCI Expressスロット1基を備えている他、ストレージ接続用のSATA 6Gbpsポートと3Gbpsポートを1基ずつ備えています。もっとも、SATAポートは2ポート用意されていますが、ストレージを取り付けるベイは2.5インチシャドウベイ1つだけなので、ケースに収めて使う限り、実際に利用できるのはどちらか片方のみとなります。
4Kディスプレイの出力にはIntel HD Graphics 4600以上のCPU内蔵グラフィックスが必要
DS81の4Kディスプレイへの映像出力については、CPU内蔵のグラフィックス機能に依存しており、Intel HD Graphics 4600が必要です。また、4K解像度の動画を再生するには、CPUの内臓グラフィックスがIntel HD Graphics 4600であることに加え、メインメモリを16GB以上搭載する必要があります。
今回、Shuttleよりお借りしたIntel Core i7-4770Sに加え、内蔵GPUにIntel HD Graphicsを備えるIntel Celeron G1820で、4Kディスプレイへの出力チェックしてみました。
結果としては、HDMIでの3840×2160@30pと、DisplayPort 1.2接続での3840×2160@60pでの画面出力が可能だったIntel Core i7-4770Sに対し、Intel Celeron G1820で可能だった最大解像度は、DisplayPort 1.2接続時の1920×2160@60p×2画面出力で、HDMI、DisplayPortのいずれも3840×2160ドットの一画面として4Kディスプレイを扱うことはできませんでした。
4K解像度での出力というDS81の特徴をフルに活用したいのであれば、搭載するCPUがIntel HD Graphics 4600を備えていることを忘れずに確認しておきましょう。
CPUによって大きく変わるパフォーマンス
ベアボーンキットであるDS81は、上述の4Kディスプレイへの出力だけでなく、搭載したCPUによってパフォーマンスが大きく変わります。
Intel Celeron G1820搭載時とIntel Core i7-4770S搭載時でどの程度の性能差が出るのか比較してみました。
DS81がサポートする最上位CPUであるIntel Core i7-4770Sを搭載した際は、4コア8スレッドCPUの持つ高い処理能力と、1280×720ドットのHD解像度程度ならゲームも楽しめる程度のグラフィックス性能が得られます。そのかわり、ピーク時の消費電力は100Wに迫り、CPU温度も80℃を超えるため、冷却ファンの動作ノイズもかなり大きくなってしまいます。
一方、Intel Celeron G1820搭載時は、CPU性能、GPU性能とも大きく劣るかわりに、消費電力はピーク時でも40W未満にとどまり、CPU温度も60℃未満。Intel Celeron G1820の発熱程度であれば、CPUクーラーの冷却能力的にも余裕があるため、冷却ファンの回転数も上がらず、比較的静かに運用できます。
CPUを交換するだけで全く異なる性格のPCとして運用できるというのは、IntelのNUCなど、CPUが固定されている製品には無い、ベアボーンキットならではの魅力であると言えますね。
自分好みの味付けができるミニPC
IntelのNUCと比べると少々大きな筐体ではありますが、CPUを自由に選択できることで、用途に応じたパフォーマンスを与えることができる点や、Intel NUCのようなDDR3Lメモリ縛りなどが無く、メモリやストレージの選択肢が広い点がDS81の魅力と言えます。
個人的には、Intel Core i7-4770SクラスのハイパフォーマンスCPUを搭載することができるので、4Kディスプレイと組み合わせて、写真の編集用PCとして使ってみるのも面白いように感じました。また、ノートPC向けのパーツを流用して組み立てるのも面白いかもしれません。
Intel NUCやGIGABYTE BRIXなど、ミニPCの購入を検討されているのであれば、より自分好みのカスタマイズが可能なDS81も検討してみてはいかがでしょう。
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