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成人向けのVR対応ゲーム「カスタムメイド3D2」の体験イベントが開催
HTC ViveとOculus Riftが合計8台体制 text by 関根慎一
2016年12月7日 21:05
美少女ゲームブランド「KISS」のアダルト向け3Dゲーム「カスタムメイド3D2」のVR体験イベントが12月3日(土)に開催された。会場は秋葉原、廣瀬本社ビル5Fのイベントホール。事前申込み制で募集人数は100名。入場料は2,500円。
カスタムメイド3D2は、キャラクターエディット機能を備えたメイド育成型のアダルトゲームタイトル。自分好みのメイドをエディットして、日常イベントやダンスの鑑賞、「夜伽」として性行為も行なえる、というもの。また、服装やイベントなどの追加コンテンツを含むアペンドディスクも数多く発売されている。
成人向けゲームのファンイベントで「VR体験」
今回のイベントでは、本タイトルのVR機能部分を体験できたほか、出演声優とプロデューサーのトークショー、開発会社スタッフによるVR機器の解説、ミニライブなども実施され、単なるアダルトVR体験イベントではなく、ファンイベントという側面もあった。
VRのアダルトコンテンツを楽しむ機会は希少であるためか、募集には相当数の応募が集まり、イベント参加者の確定には2回の抽選を経ている。会場には自分で作ったキャラクターデータを持ち込める仕組みも用意しており、愛着のあるメイドでVR体験を行なえるようになっていた。
会場に設置されていたVRデバイスは、HTC Vive4台とOculus Rift4台で、このうちHTC Viveではキャラクターエディットと夜伽の一部が体験できた。VRコンテンツを体験するには体験者がある程度動き回れるだけの空間はもちろん、動作のためにVRゴーグルとそれなりのスペックのPCも必要なので、VR体験系イベント、特にアダルトコンテンツの体験イベントとしてはかなり気合の入った部類といえるだろう。
Oculus RiftはVR視点でのダンス鑑賞とフリー操作コーナーに2台ずつ割り振られており、フリー操作コーナーにはLeap Motionも併せて設置され、HTC Viveと同様に、キャラクターエディットと夜伽のVR体験を試すことができた。
VR関連機器への対応を進めるカスタムメイド3D2今後のデバイスも研究中?
ステージイベントの合間には、KISSのスタッフ、ねい氏によるセッション「ねいのVR講習会」が実施された。カスタムメイド3Dシリーズの歴史と、VRデバイスの現在について解説する主旨。
本作は2015年7月の発売以来、外部デバイスへの対応を含むアップデートを頻繁に実施しているのも特徴の1つ。発売の翌月には、当時開発者キットしか存在しなかったOculus Riftにいち早く対応したほか、2016年5月にHTC Vive、10月にはモーションコントローラ「Leap Motion」への新規対応も行なっている。
[ねい氏]「VRコンテンツは実際に体験しないと魅力が理解できないところがやはり難しいです。でも体験すると"すごい"と仰る方は本当に多い。これからは"次はこうしてほしい"という具体的な要望を汲み上げるフェーズだと考えています」
[ねい氏]「カスタムメイド3D2ではLeap MotionやViveコントローラに対応したことで、こちらから能動的にモデルへ干渉できるようになりました。髪や胸を揺らしたり、スカートをめくったりできます。こうした操作に対応してキャラクターをリアクションさせるのは、まだこれからの仕事です」
VR体験を拡めるプラットフォームについては、PlayStation VR(PSVR)の持つ役割が大きいと話している。
[ねい氏]「PSVRの登場は、VRの普及という観点からみても、間違いなくひとつの節目と言えるでしょう。手軽にVRを楽しむうえで、ひとまず"これがあればOK"なデバイスです。価格もOculusやViveよりずっと安価だし、何よりPS4というプラットフォームにあることで、大手のゲームメーカーがコンテンツを供給しやすいところが強い」
[ねい氏]「いまVRコンテンツとして期待されているのは、ホラーとFPS、そしてアダルトです。ホラーについてはすでにさまざまなタイトルが出てきていますが、FPSは描画負荷の点から見てもマシンパワーが必要になるので、対応はまだ先になるでしょう。アダルトはPS4では絶対にやれないですね」
ねい氏はさらに、現在開発が発表されているVRデバイスの次期モデルについても言及。VRゴーグルが進む進化の方向性として「ケーブルレス化」が進展する可能性を示唆した。
[ねい氏]「例えばOculusの次期モデルSanta Cruzは、PCが不要のスタンドアローンで動作します。噂では、モバイル向けとも言われていますね。HTC Viveもケーブルレス・内蔵バッテリーの方向に進むようですが、こちらはPCとも接続できるようです」
VRの注目度の高さに対し、体験の機会はまだまだ不足
VRを楽しむ環境は、いまだコスト的に高いハードルのある感が否めない。現在、Oculus RiftやHTC ViveといったVRデバイスの製品版が国内でも手に入るようになって半年程度経過しているが、VRゴーグルの価格はまだそれほど購入しやすい価格帯にないし、そもそもVRコンテンツをストレスなく遊ぶためには、高いマシンパワーが求められる。
また、VRコンテンツを体験する機会も限られている。秋葉原では2016年夏頃から、主にPCショップがVR体験コーナーを設けているが、ことアダルトコンテンツに関しては、お試しで体験できる環境がほぼないと言っていいだろう。
プレイヤーの動きに追従する主観視点から生まれるVRの没入感は、アダルトコンテンツと相性が良いだけに、人々の関心の高さに対して体験機会が少ない現状は、いささか勿体なく思える。もちろん内容が内容なので、機会の設定は慎重を期する必要があることは理解できるのだが、それにしても、みすみすVR普及のチャンスを失しているように感じられるのである。
そうした中、コンテンツの供給社が自ら体験の場を主催することは、まだまだ普及の途上にあるVR体験の機会を提供する点で意義のあることである。繰り返しになるが、VRの良さは体験しなければ理解できないので、体験の機会はイベントの形を採ることが現実的だ。
今回はVRを抜きにした"コンテンツ自体のファン"を集めたクローズドなイベントで実施したこともあって、イベントは終始和やかな雰囲気で進行しており、ユーザー同士の親睦も深められたようにも見え、非常にうまいやり方だと感じられた。VRに関するメーカーの取り組みには、今後も期待したい。