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3Dプリンタ的にみた「Maker Faire Tokyo 2013」
~初の国産デルタ型に空飛ぶ飛行機、格安光造形機……~
(2013/11/8 17:36)
11月3日と4日、物づくりを旨とするイベント「Maker Faire Tokyo 2013」が開催された。
「電子工作」「電子楽器」「ロボット」「手芸」「乗り物」「園芸」…等々、物づくりを愛する人々が集い、それぞれの制作物を展示・発表し、作り手と使い手が交流する場としてオライリー・ジャパンが主催するこのイベント。
現在好評発売中のムック「3Dプリンタ デスクトップが工房になる」の担当編集者である私としても興味深々。3Dプリンタの最新動向に迫るべく、追跡取材した。(前日レポートはコチラ)
今回の舞台はお台場の日本科学未来館+タイム24ビル。3Dプリンタ関連で気になった展示内容を振り返ってみたい。
(インプレスジャパン コンピューターテクノロジー編集部 青山 梓)
会場内で自在に飛ぶ姿に釘付け!3Dプリンタで部品を作った羽ばたき飛行機
さて、まずはちょっと脇道から。
会場に行った人なら目にした人も多いと思うが、「企画展示ゾーン」1階で、ふと上を見上げると、謎の飛行物体が颯爽と飛び回っていた。これ、実は3Dプリンタで出力した部品でできている。これに限らず、様々な「3Dプリンタ製」の出展物が出ていたのが今回の「Maker Faire」。
ある意味、今回のMaker Fiareを象徴する展示、と言える。
ちなみに、この飛行物体は、ムック本でも取材させていただいた「超小型飛行体研究所」によるものだ。
こちらの飛行機は、インプレスジャパン内サイトでムックと合わせて限定販売しているので、興味をもった方は是非
初の国産デルタ型3Dプリンタがお目見え!
さて、「3Dプリンタそのもの」として注目できるものも色々あったが、興味深いのが「RepRap Community Japan」が展示していたデルタ型3Dプリンタ。
これはオリジナル設計で、正式名は未定だそうだが、国産のデルタ型3Dプリンタとしては初の機体である。
デルタ型では、高さのある出力物をプリントすることが可能になるほか、通常のプリンタで平面をX・Y軸の2軸でコントロールしているところを、3軸制御することで、より滑らかな射出が可能になる。もちろん、見た目のスマートさも目をひく理由の一つだろう。デルタ型3Dプリンタについてはキット化も予定しているそうで、今後の展開も要注目だ。
ちなみに、「RepRap Community Japan」の「RepRap」とは「自己複製可能な3Dプリンタ」のこと。同コミュニティは、イギリス・バース大学のエイドリアン・ボイヤー博士によって始められた、オープンソース・ハードウェア・プロジェクトを源流とする。
なんと60万円で光造形廉価な光造形3Dプリンタをホットプロシードが展示
国内ではいち早く3Dプリンタの製造・販売に取り組んできた(株)ホットプロシード。福岡県福岡市に拠点を置き、精密機械や工作機械などの設計・製造を行うベンチャー企業だ。
同社の展示で注目できるのは、廉価版の光造形式3Dプリンタ「B9Creator」。アクリルレジン(光硬化樹脂)による細やかな造形ができる。アメリカのB9CrCreator社が開発した機体だが、修理・サポートは国内で対応可能。同社での販売価格は588,000円。光造形ではかなりの安さだ。同社代表取締役の湯前氏によれば、「特にアクセサリーを製作している方が購入し、指輪等の原型をつくっているようです」とのこと。
個人で作った「自作3Dプリンタ」も出展
個人で自作したという「自作3Dプリンタ」も出展されていた。制作したのは「おかたけ氏」(出展者名「魔法の大鍋」)。折り畳み可能な構造で、立ち上がっている部分を倒し収納すると、モノリスのような長方形の格好になる。
米No.1に選ばれた3Dプリンタも登場!
コンピューター関連機器の輸出入および国内販売、製品の加工および製造を行う「(株)マイクロボード・テクノロジー」が展示していたのは、デスクトップ3Dプリンタ「AFINIA」。
実は、アメリカのD.I.Y系マガジン「Make:」によるデスクトップ3Dプリンターのバイヤーズガイドにおいて、“BEST OVERALL EXPERIENCE”(すべてにおいてベスト)の評価を獲得した信頼性の高い機体だ。
3Dモデリングソフトで1から造形に挑戦!
チームラボ株式会社の部活動「MAKE部」は、「Maker Faire Tokyo」の全身となるイベント「Make Tokyo Meeting 04」(2009年開催)から連続して出場。
メンバーの1人、森田浩史氏は、MakerBot社の3Dプリンタ「Replicator」でプリントの実演と、これまでの成果を展示していた。
そのほか、こんな変わりダネも!
以上、足早に3Dプリンタ関連の展示を見てきたが、「3Dプリンタ」の機体自身の進化とあわせ、「3Dプリンタ」をはじめとするデジタル工作機械を使った、「個人によるものづくり」が普及しはじめていることを実感した取材となった。
今回来場者側だった方の中には、「来年は自分も出展したい!」と創作意欲を掻き立てられた人も大勢いたことだろう。次回はぜひそのアイデアを形にし、さらにその体験をみんなでシェアしてほしい。きっと新しい出会いが待ち受けているはずだ。