9月26日、東京秋葉原のUDX GALLERY NEXT-3で、改造PCイベント「MOD PC EXPO 2015」が開催された。会場では、一般応募で選ばれた7名とゲスト7名の合計14名が、自分の作品の展示と発表を行なった。
今回は、一般参加者やメーカー、国内代理店のスタッフが製作したPCを紹介する(ゲストModderの作品は別記事1・別記事2を参照のこと)。
石材をフルに採用したMOD PC
一般参加者の作品は、非常に自由な発想で作られているものが多く、セッションに参加した観客からも驚きの声が漏れていた。中でも注目を集めていたのが、ABS博士の石材をフルに採用したMOD PCの2作品と、らびしだ氏の流しそうめん器を活用した水冷マシン、saito氏の右にも左にも置けるリバーシブルPCだ。
ABS博士は、これまでPCケースには使われていない素材は何か考えたところ、石材にたどり着いたそうで、大理石や御影石など本物の石材を組み合わせて、PCケースを作ったという。また、石材の熱伝導率を活かし、大理石表面に水を流して、水冷の水を冷却するラジエターもあわせて製作。ラジエターの下の水槽には、過去のCPUを沈めて供養するという、謎のコンセプトも大受けであった。
ABS博士のセッションより。石材の熱伝導率を利用して、水冷ラジエターを作ることに決めたという アルミのフレームと石板を組み合わせてケースを作っており、非常に重いとのことだ 一番左が水冷ラジエター、中央が石材をケースに利用したMOD PC、右の小さいのがNUCを採用した作品だ 水冷ラジエターには上から水が伝って流れており、大理石によって冷やされる 水槽には過去のCPUが沈められており、供養をしているとのことだ こちらは、光を透過するメキシカンオニキスを採用したもうひとつの作品。NUCを採用した超小型PCだ こちらはメキシカンオニキスを採用したNUC。内部のLEDの色は自由に変えることができる オモチャの流しそうめん器でCPUを冷却したMOD PC
らびしだ氏は、オモチャの流しそうめん器の水流を利用して、水車を回し、水を持ち上げてCPUを冷却するという水冷MOD PCを紹介。水車の回転はゆっくりだが、見事に水が持ち上げられ、CPUの水冷ヘッドにその水がポタポタと注がれる仕組みは、感動的であった。
らびしだ氏の水冷MOD PC。流しそうめん器の水流を利用して、水車を回し、水を持ち上げてCPUを冷却するという驚きの機構を実現 しょうゆ差しのパーツを流用した水受け部に水がポトポト落ちていく 机の左右どちらに置いても、ケースの開いている部分がこちら側になるというリバーシブルPC
saito氏は本職が建築士とのことで、その知識と経験を活かし、机の右側に置いても左側にも置いても、ケースの開いている部分がこちら側になるというリバーシブルPCを披露。そのギミックはなかなか驚くべきもので、ケースは立方体形状だが、その3面が大理石、残りの3面がアクリルでできており、PC本体がスライドレールによってケースに取り付けられており、中身をごそっと引き抜けるのだ。中身を引き抜いてから、ケースを回転させて、レールを外して90度向きを変えて付け替え、再び中身を差し込むことで、反対側に置けるというものだ。建築士ならではの素晴らしい発想であろう。
saito氏のセッションより。右勝手でも左勝手でも利用できるリバーシブルPCがコンセプト ケースを回転させて起き、内部のレールの向きを90度変えて取り付け、再びPCの中身を入れれば、向きが反対になる このように図を書いて、リバーシブルの機構を検討したという さらにモックアップでの検討を行なう。完全にプロの仕事であろう 本体をコンパクトに実装することにもこだわったという その他の作品については写真を見ていただきたいが、どれも素晴らしい作品ばかりであった。
清水雄介氏が作成したMOD PC。廃品として捨てられる予定のUPSの筐体を流用している 前から見ると、普通のUPSのようにしか見えない。電源スイッチやリセットスイッチもそのまま利用している UPSに搭載されていた電源タップもそのまま利用できるようになっている 下小川氏のMOD PC。15年前のマザーとCPUを採用して、どこまでWindows 7が動作するかに挑戦 オンボードインターフェイスがパラレルポートやシリアルポートなど、レガシーだらけであり、拡張カードを多数指すことで、USB 2.0や有線LANをサポートしている パーツ一覧。デュアルSocket 370マザーで、当時としては最先端のものだ ASUSは、ワインの樽を利用して、大型スピーカーを搭載したオーディオPCを展示していた ウーハーが2つ(一つは底面側に装着)とトゥイーターが4つ搭載されており、迫力のサウンドを聴くことができる また、COMPUTEXで展示されていたアイテムも特別に展示されていた リンクスインターナショナルが展示していたドクロ型PC。DMM.makeの3Dプリントサービスを利用して製作された こちらはオリジナルで作成したセキュリティインチネジ。通常のドライバーで回すことはできず、専用工具が必要になるため、セキュリティを確保できる スポットライトの利用例。内部のパーツを鮮やかに照らし出してくれる ウォーゲーミングジャパンが展示していた「PAYMAX」 PAYMAXの側面。ゲーミングPCらしく、光り物にこだわっている 「World of Warships」の試遊コーナーも設けられていた