PCパーツ名勝負数え歌
「DOOM: The Dark Ages」でおさらいするRTX 50シリーズ。DLSS 4でフレームレートはどう変わる?
【第13戦】GeForce RTX 5090 Laptop GPU搭載ノートでパフォーマンスや画質をチェック text by 芹澤 正芳
2025年5月23日 10:00
ウィー! どうも芹澤正芳です。2025年5月15日、DOOMシリーズの最新作「DOOM: The Dark Ages」の発売がスタートした。デーモンと繰り広げられるスピーディーな戦闘はそのままに、新兵器のシールドソー(盾)やパンチでぶっ飛ばすなど、銃以外の爽快感もたまらないFPSに仕上がっている。
そのDOOM: The Dark Agesだが、NVIDIAのAIによって描画負荷を軽減してフレームレートを向上させるアップスケーラーのDLSS Super Resolutionやマルチフレーム生成のDLSS Multi Frame Generationをサポート。それぞれを使うとフレームレートや画質がどのように変化するのか、そしてビデオメモリ容量にも影響があるのか。お久しぶりの“名勝負数え歌”は、DOOM最新作を利用してDLSS 4の効果を改めて試して行こうと思う。
RTX 5090 Laptop GPU搭載ノートPCでテスト
今回テスト機材として用意できたのは、GeForce RTX 5090 Laptop GPUを搭載する近日発売予定の薄型ゲーミングノートPC「Razer Blade 16(2025)」。ノートPC向け最上位GPUの実力チェックにも繋がるテストと言える。なおCPUには、12コア24スレッドのAMD Ryzen AI 9 HX 370を搭載している。ハイエンド中のハイエンドと言ってよい仕様だ。
まずは、GeForce RTX 5090 Laptop GPUのスペックについて触れておこう。CUDAコアは10,496基、ビデオメモリがGDDR7 24GB、メモリバス幅が256bit、AI性能は1,824TOPSだ。前世代最上位のRTX 4090 Laptop GPUはCUDAコア9,729基、GDDR6 16GB、メモリバス幅256bit、AI性能が686TOPSなので、スペックはかなり底上げされている。
RTX 50シリーズで一番の強化ポイントと言えるのが「DLSS 4」への対応だ。従来からのアップスケーラーに加えて、1フレームから最大3フレームをAIによって生成するマルチフレーム生成(DLSS Multi Frame Generation)をサポート。対応タイトルであれば、大幅にフレームレートを向上できる。このマルチフレーム生成は現在のところRTX 50シリーズだけで使える“スペシャル”な技術だ。
また、DLSS 4では学習モデルがこれまでのCNN(Convolution Neural Network)モデルからTransformerモデルへと変更になったのもポイント。より大規模なデータセットを使ったトレーニングが可能になり、描画の品質が向上、ちらつきも抑えられている。
アップスケーラーであるDLSS Super Resolutionについてもおさらいしておこう。これは内部レンダリングをPCの設定よりも低い解像度で行い、それをAIによって高解像度にする技術だ。
実際のゲームでの設定としては、多くの場合、DLAA(ネイティブ)、クオリティ(66.6%)、バランス(58%)、パフォーマンス(50%)、ウルトラパフォーマンス(33.3%)が用意されている。例えばこれが4K(3,840×2,160ドット)ならば、内部のレンダリング解像度は、DLAAはそのまま、クオリティは2,560×1,440ドット、バランスは2,227×1,253ドット、パフォーマンスは1,920×1,080ドット、ウルトラパフォーマンスは1,280×720ドットになるわけだ。
普通に考えれば、いくらAIによる高解像度化といってもウルトラパフォーマンスは画質的に厳しくなるだろうと予想はできる。これをふまえてDOOM: The Dark Agesテストを見てほしい。
4K高画質設定はビデオメモリ16GB推奨
DOOM: The Dark Agesのシステム要件にも触れておこう。推奨(WQHD、60fps、高設定)は8コア16スレッド以上のCPU、ビデオメモリ10GB以上のGPU(RTX 3080以上、Radeon RX 6800以上)、メインメモリ32GBだ。ビデオメモリ8GBでは厳しい時代がいよいよやってきたのかと感じさせられるところか。
また、最高レベルの“ウルトラ4K”環境の場合、CPUこそ同じ8コア16スレッド以上だが、GPUはビデオメモリ16GB以上(RTX 4080以上、Radeon RX 7900 XT以上)とかなり高いスペックを要求している。ちなみに現状でもレイトレーシングに対応しているが、さらに光の表現をリアルにするパストレーシングは2025年6月に追加される予定だ。
まずは画質のプリセットを見ておこう。画質が高い順にウルトラナイトメア/ナイトメア/ウルトラ/高/中/低と6種類も用意されている。今回のテストでは画質プリセットはウルトラナイトメアに固定する。解像度はノートPCの解像度に合わせてWQHD(2,560×1,440ドット)とした。
まずはDLSS Super Resolutionの効果から見ていこう。キャンペーンモードのチャプター2冒頭の一定コースを移動した際のフレームレートを「FrameView」で測定している。

さすがにネイティブ解像度のDLAAに対してはクオリティに設定するだけで約1.46倍も平均フレームレートが向上している。DLSS Super Resolutionの効果がよく分かるポイントだ。
しかし、クオリティからバランスはわずか約1.09倍の向上、バランスからパフォーマンスは約1.06倍だ。DLAAとウルトラパフォーマンスを比べても約1.77倍のフレームレート向上に留まる。DOOM: The Dark Agesにおいては、内部レンダリングの解像度を下げても劇的な効果はなかった。なお、最小(1%)のフレームレートは安定しなかった。このゲームに関しては手動計測なので毎回完全には同じにならないのでブレと範疇だろう。
では、画質はどうだろうか。DLAA/クオリティ/バランス/パフォーマンス/ウルトラパフォーマンス設定でそれぞれ同じ場所で画面をキャプチャーした。
DLAAが一番クッキリしているように見えるが、正直クオリティ/バランス/パフォーマンスの見分けは難しいレベルだ。Transformerモデルの画質は高いと言ってよいだろう。さすがにウルトラパフォーマンスになるとボヤッとした眠い画質になってしまう。
続いて、DLSS Multi Frame Generationはどうだろうか。DLSS Super Resolutionの設定は、前述のテストを考慮して画質への影響をほとんど感じなかった「バランス」に固定し、フレーム生成なし/2x/3x/4xの設定で同じくキャンペーンモードのチャプター2冒頭の一定コースを移動した際のフレームレートを「FrameView」で測定した。

DLSS Super Resolutionに比べて、その効果は高い。フレーム生成なしから2xで約1.4倍のフレームレート向上、3xで約1.87倍、4xで約2.22倍もフレームレートが向上した。今回のノートPCはリフレッシュレートが240Hzなので、3x以上にすればほぼその性能を活かしきれるフレームレートを出せる。
現在の美麗なグラフィックのゲームに対してアップスケーラーとフレーム生成の組み合わせがいかに重要か改めて分かる結果となった。最後に設定ごとに使用されるビデオメモリの容量がどのように変わるのか試しておこう。ゲーム内のビデオメモリ使用量の表示で確認している。


DLSS Super Resolutionは設定ごとに内部レンダリングの解像度が変わることもあって順当に使用されるビデオメモリの容量が減っていく。ビデオメモリの少ないビデオカードならパフォーマンスまで下げるのもよいだろう。
その一方で、DLSS Multi Frame Generationは生成するフレーム数が増えるごとに使用されるビデオメモリの容量は増えていく。今回はビデオメモリが24GBと非常に余裕のある環境でテストしたのでパフォーマンスへの影響は軽微だったが、ビデオメモリが8GBなどと少ないGPUの場合、2xや3xまでにしておいたほうが安定するケースもありそうだ。
基本が分かったら次は実践。実際のゲームプレイに活かしてみよう
以上、DOOM: The Dark Agesを使ってDLSS 4の挙動を改めて検証してみた。DLSS Super ResolutionとDLSS Multi Frame Generationの設定ごとにフレームレートがどう変わるのかが分かってくると思うので、これを参考にお手持ちのビデオカードにマッチした設定をそれぞれ探ってみてほしい。設定を詰めていく作業もPCゲームの醍醐味というものだ。
今回は、今後のゲームに積極的に用いられることになるテクニックの再確認する、ということで、名勝負数え歌的な位置付けとしては“番外編”。次回からはまた改めて、ゲーミング環境のパワーアップにつながる情報をお届けする。