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「ちょっとイケてるゲーム動画」、プロはPCでこう作る!HDMIキャプチャカード、使いこなしてみませんか?
~「ゲーム機そのまま」とはひと味違う動画配信を~ text by 高橋敏也
2017年4月26日 09:00
ゲーム配信は難しい? 実は簡単!
今や配信動画は一つの立派なメディアだ。
YouTube Live!などの動画配信サイトでは、様々な動画が配信されているが、中でも種類が多く、高い人気を誇るのが「ゲーム配信」だ。単純なプレイ動画から攻略手順、ミラクルプレイ、リアルタイムプレイの配信などなど、なかなか見ごたえもある。いわゆる「YouTuber」を目指し、自分でやってみたいと思う人も多いだろう。
実はこういったゲーム配信は、ゲーム機の配信機能や、Windows 10のゲームバー機能、NVIDIAのGeForce Experience、Steamなどの録画機能を使用すれば、簡単に始められる。しかし、人気のある配信者は「さらに上」のテクニックを持っているものだ。
そこで今回、その奥深さの一端を「ツール活用」という視点で紹介する。人気動画にあるような、2画面配信やタイトル表示、字幕、そして配信ソフトのセットアップまで解説しよう。
今回、機材の軸として選んだのは、AVerMediaのHDMIキャプチャーカード「LIVE GAMER HD 2 C988(以下、C988)」だ。
【目次】
▼「スゴいゲーム配信」をやるならPCで!
ゲーム配信用PCのポイント
配信ソフトを用意する
使えるゲーム機とそのポイント
▼実際に配信してみよう
XSplit Broadcasterの場合
RECentral 3の場合
▼「ワザあり」な配信を作ってみよう!
まずは2画面配信!
「音声だけ追加したい」場合はこう!
タイトル画面を作ってみよう
字幕を入れてみよう
「自分の後ろ」を消してみよう
▼PCゲームも簡単配信
▼視聴数の稼げる配信を目指して!
▼この機材で生配信やります!
「スゴいゲーム配信」をやるならPCで!
最近のゲーム機はそのほとんどが、画面の出力をHDMIで行う。そのHDMI出力をキャプチャーカードでPCに取り込んでしまえば、動画として保存すれば編集できるし、配信ツールを使えば生配信できる。だからこそゲーム配信を紹介する機材の軸をC988にしたのである。
ではC988に関してもう少し詳しく見ていこう。簡単に言ってしまうと1,920×1,080ピクセルのフルHD、60fps(frame per second)に対応したHDMIキャプチャーカードである。PCI Express x 1 Gen2に対応しており、Windows 10ならドライバーソフト無しで認識、使用することができる。
いわゆるソフトウェアエンコードタイプの製品で、遅延が発生しにくいのが特長(メーカーでは発生する遅延を約0.06秒としている)。HDMIパススルーポートもあるので、配信用ディスプレイ以外にもう一台、HDMI対応のディスプレイを用意すれば、ゲーム画面を遅延無しで表示することも出来る。
ちなみに動画のエンコードには大きく分けて「ハードウェアエンコード」と「ソフトウェアエンコード」の二つがある。ハードウェアエンコードはキャプチャ機器のハードウェアでエンコードを行うため、PC側の負担が少ないが遅延が発生しやすいとされている。一方のソフトウェアエンコードはPC側の負担は大きくなるが、遅延が少ないためライブ配信などに適しているとされる。つまり、C988の場合、ゲームのライブ配信にはピッタリということだ。
ゲーム配信用PCのポイント
ではC988以外の機材も見ていこう。まずは配信用PC(録画用PC)だが、今回はC988を使用するので、PCI Express x1スロットが最低でも1本空いているデスクトップPCが必要だ。
また、C988も配信ツールも動画をPCのパワーでエンコードするため、出来れば高性能なことが望ましい。
C988の使用環境ということならOSはWindows 10(Windows 8.1でも可)、CPUはCore i7-3770以上、ビデオカードにNVIDIA GeForce GTX 650以上、メモリ 4GB以上の搭載が推奨となる。個人的には以下のようなスペックを推奨したい。
・Windows 10
・Intel Core i5-7600以上
・NVIDIA GeForce GTX 1050 Ti以上
・メモリ 8GB以上
ポイントとなるのはCPUとビデオカードであり、もちろん早ければ早いほどいい。エンコードで負荷がかかった際に、CPUとビデオカードのパワーがものを言うからだ。しかし上を狙ってもキリが無いので、上記の構成で妥協した訳だ。本当のところを言うと最新のCore i7シリーズ、ビデオカードにはGeForce GTX1070が欲しいところだ。
なお、カメラの増設を考えているなら、C988がもう1枚増設できるようになっていること、あるいはUSBポートの空きが確保されていることも大切。
ちなみにC988は複数枚の使用もどうやらできるらしい。
メーカーによる推奨環境は「2枚使うならCore i7-4790以上、4枚使うならCore i7-6700以上」。枚数を増やした分、ゲーム機などの高画質入力を増やせるので、後で説明する「2画面配信」を「3画面配信」にしたり「4画面配信」にしたりできる、どう活用するかはアイデア次第だ。
なお、複数枚の使用は様々な相性でうまく動かない場合も考えられる。設定を試したり、パーツを入れ替えたりする手間やお金をかけられる人向けのテクニックといえるだろう。
(17:22更新)記事初出時、4枚利用時のCPUの表記に誤りがありました。
お詫びして訂正させていただきます。
配信ソフトを用意する ~超定番の「XSplit」やAVerMedia独自の「RECentral 3」~
PCを用意したら、次に用意するのが配信ソフトだ。
C988では、XSplitやOBS Studio、NLE、アマレコTV、Wirecastといった定番の他社製ソフトを使用することもできるし、AVerMediaが提供しているRECentral 3も利用できる。デバイスとしてC988を認識できるツールなら、ほぼ使用可能だと考えていい。
そんな中でも個人的にお勧めなのがXSplitだ。SplitmediaLabsのXSplitはXSplit BroadcasterとXSplit Gamecasterの二つがあるのだが、応用の利くXSplit Broadcasterをお勧めする。XSplitは無料で使用することもできるが、機能をフルに使いたい場合は有料版を購入しよう。できれば有料版を使って欲しいが「しばらく使ってから決めたい」というなら、3ヶ月版を購入して試すのもアリだと思う。
使えるゲーム機とそのポイント
今回のメインテーマはゲーム機のゲームを配信するということだが、C988は公式サイトで「PlayStation 4、Nintendo Switch、Xbox One、Xbox 360、Wii U、ニンテンドークラシックミニファミリーコンピュータ」に対応するとしている。
これらのうち実際、筆者の所有するゲーム機「PS4 Pro、Xbox One、Nintendo Switch」を試してみたが、どれも問題無くキャプチャすることができた。ただし注意して欲しいのは、HDCP(High-bandwidth Digital Content Protection、コンテンツ保護のための規格)がかかった映像は表示や録画が出来ないため、配信できないということだ。
HDCPで特に注意して欲しいのがPS4シリーズ。というのもPS4シリーズの場合、初期設定でHDCPが有効になっているため、映像が表示できないのだ。HDCP外のコンテンツ、例えばゲームタイトルなどを表示できるようにするには「設定-システム-HDCPを有効にする」のチェックマークを外す。なお、HDCPを有効にしておかないとBlu-rayコンテンツなどが再生できないので、その点にも注意して欲しい。
実際に配信してみよう
ゲーム機のゲーム映像を配信するにしても、あるいはPCに録画するにしても、必要となるのは対応ソフトである。配信に使用するソフトは先ほど紹介したが、ここでは具体的な使用例として2つのソフトを取り上げてみた。
XSplit Broadcasterの場合
定番の配信ソフトであるXSplit Broadcaster(以下、XSplit)は、こちらのサイトからダウンロードしてインストールする。繰り返しになるがXSplitは無料で使用できるが、一部機能が制限されていたり、起動時にXSplitの宣伝が表示されたりする。まずは無料で使ってみて、機材との相性などに問題が無いようなら、有料版にステップアップしよう。
XSplitの特長は何より配信に特化していること。もちろんPCへの録画ツールとしても使用できるのだが、配信に使ってこそのXSplit。しかもXSplitの場合、有料版なら複数サーバーへの同時配信も可能である。配信を本格的にやりたいなら、XSplitの有料版はいいチョイスだと思っている。
なお、ここからの作業はC988を増設し、そこにゲーム機のHDMI出力を接続した状態で進めている。
RECentral 3の場合
RECentral 3はAVerMediaが自社製品用に配布している録画・配信ソフトである。同社製品のユーザーであれば、サイトからダウンロードして使用することができる。ゲーム機からの映像をPCに録画する、あるいは配信するための基本的な機能は網羅し、さらにプラスアルファの機能も持っている。
RECentral 3のダウンロードは各製品のダウンロードページから行う。今回使用しているC988の最新ソフトウェアはこちらからダウンロードできる。
「ワザあり」な配信をやってみよう!
まずは2画面配信!
人気のある配信でよくあるのが、「ゲーム画面と自分がPinPで同時に配信されている」という図だろう。
これは、ゲーム配信と、そのほかのカメラによる入力を重ね合わせて実現する。
一番手っ取り早いのはUSB接続のWebカムをPCに接続する方法だ。そのWebカムがマイクを内蔵していれば、そこから自分の音声を配信動画に追加することもできる。
「音声だけ追加したい」場合はこう!
また、「顔出しNG、でも音声は追加したい」場合もあるだろう。
この場合、音声合成ソフトを使うか、USB対応のマイク+地声でやることになる。後者のほうが手っ取り早いので、ここでは後者を紹介しよう。
なお、一口に「USB対応マイク」といってもピンキリなので、ネットで調べて定番のもの(トラブルがあった時に情報を入手しやすい)を予算と相談して選ぼう。
タイトル画面を入れてみよう
XSplit、RECentral 3に限らず、配信ツールには実にさまざまな機能が用意されている。
ただし、それらを一気に使いこなそうと思っても、はっきり言って難しい。最初はベーシックな機能を使いこなし、次に設定のチューニングを進める。そして最後にさまざまな機能の使いこなしに入るのがベストだ。ここではいくつか配信ツールに用意されている小技を紹介しておこう。
まず紹介するのは「タイトル画面」。「タイトル画面そのもの」はそれはそれで奥が深いので、別途研究してほしいが、「入れ方そのもの」は簡単だ。
「自分の後ろ」を消してみよう
配信をしていると、「後ろの部屋を見せたくない!」場合もある。
そういう場合に使いたいのはクロマキー。RECentral 3では、グリーンバックを使うごく一般的なクロマキー機能のほか、動きの認識や頭部+肩の画像認識で背景除去をおこなう別売ソフト「TriDef SmartCam」によるクロマキーが利用できる。 TriDef SmartCamは、約10ドルまたは約15ドルで販売されている(2017年4月現在)が、14日間トライアル利用ができるので、「まずは試しに……」ということができる。
PCゲームも簡単配信
せっかく配信用にPCを用意するわけで、「PCのゲームを配信したい」と思うこともあるだろう。
PCが2台あれば、ゲーム機と同じ方法が使えるが、PCが1台でも(多少デスクトップが混雑するが)ゲームと配信を同時に行うこともできる。というか、XSplitにその機能が用意されている。具体的には以下のようになる。
注意して欲しいのは負荷の重いゲーム+高解像度高フレームレート配信だと、PCにかなりの負荷がかかるということだ。このあたりは実際に経験を重ねて調整して行くしかない。
視聴数の稼げる配信を目指して!
配信を始めた当初は機材のセットアップ、設定などに気を取られて視聴数(ビュー数)など気にしている余裕は無い。しかし、ある程度落ち着いてくると「どれぐらいの人たちが見てくれているのか?」、視聴数や評価(コメント)が気になってくる。
そして、「動画をアップロードしてから一ヶ月で視聴数100、コメントわずかに一つ、しかも一言「イラネ」……」。こんなことでめげていてはいけない! というかそんなの当たり前なのである。誰もがそこからスタートし、定番の配信者となって行くのだ。少ない視聴数も厳しいコメントも、通過儀礼だと思って笑ってやりすごそう。
では視聴数を伸ばすためにはどうしたらいいか? 基本的には内容を面白くすべきなのだが、それは個々の能力次第。基本的には以下のようなことを守っていれば、じわじわと視聴数は上がって行く。
・定期的に休まず配信する
無理のない計画と配信時間の設定
・人気コンテンツを取り上げる
今ならMinecraft
最新ゲームのプレイ実況など
・共感できる姿勢
背伸びをしないコンテンツ
楽しんでもらうコンテンツ作り
ざっとこんなところだが、いざやろうとなるとなかなか難しい。特に「定期的に休まず配信する」というのは、簡単そうで難しいことなのだ(経験者は語る)。だが、それが出来れば「ちょっと見てみようか」と、視聴巡回ルートに入れてくれる人が増えるのだ。
筆者の場合、配信を始めたのは3年ほど前なのだが、初めての配信はゲーミングノートPCを配信PCとして使い、そこにLogicoolのWebカムを接続してNLEを配信ツールとして使った。やがてカメラはハンディカムへ進化し、そのHDMI出力をAVerMediaのAVT-C875(外付けのUSB接続キャプチャーボックス、SDカードに単体録画可能な名機!)でキャプチャするようになった。
配信を始めるとやがてあれこれやりたくなってくる。映像や音声をもって良くしたい、テロップを入れたい、映像の切り替えをスムーズにしたいなどなど。そして時としてトラブルに見舞われる訳だが、出来るならそういったトラブルの解決を楽しむぐらいの気持ちで配信に挑んで欲しい。
ゲーム配信に限らず、個人ユーザーによる配信はこれからもどんどん伸びていくはずだ。秋にはニコニコ動画もシステムが刷新され、レベルの高い動画配信が可能になるという。ちなみにあるアンケートによれば子供の将来なりたい職業の上位に「YouTuber」が入っているそうだ。ならば目指せ、稼げるYouTuber! 配信で億万長者になろうではないか!(無理だって)
緊急告知! 今回取り上げた機材で生配信やります!4月28日(金)18時~、C988×2枚+Webカム+マイクで実演!
という訳で(どういう訳?)機材を紹介したからには、それを使って実際に配信するところをご覧にいれなくては! という訳のわからない義務感が私の中に芽生えました。
配信予定は 4月28日(金)18時 ! 以下の機材を使って生配信、それも3サーバー同時配信を行います(ニコ生/YouTube/AbemaTV Fresh)。もっともニコ生、YouTube、AbemaTV Freshの3サーバー同時配信はいつも「本ナマ」でやっているんですがね。
・キャプチャーカード: AVerMedia LIVE GAMER HD 2 C988×2
・マイク: Sony ECM-PCV80U
・カメラ: Logicool C920r、Sony FDR-AXP35
・配信PC: 自作PC
・配信ツール: XSplit Broadcaster(有料版)
・ゲーム機: いろいろ
・ゲーマー: 著名ライター 加藤勝明氏
今回紹介した機材で実際にどこまで出来るのか? 興味のある方はぜひお越し下さい。
[制作協力:AVerMedia]