特集、その他
最新Ryzen + GeForceはゲーミングPCの新定番、税抜き17万円割れで割安なFRONTIERの最新モデル
Ryzen 5 5600X + GeForce RTX 3070でハイフレームレートも高解像度も快適 text by 石川ひさよし
2020年11月19日 00:01
今、波に乗っているCPUと言えばAMD Ryzen 5000シリーズ、GPUならNVIDIA GeForce RTX 3000シリーズだろう。その2つを組み合わせたBTOパソコンが「FRONTIER(フロンティア)」から登場した。
今回はAMD Ryzen 5 5600X + NVIDIA GeForce RTX 3070構成のモデルGAシリーズ「FRGAB550/580/NTK」で次世代のパフォーマンスを測ってみたい。価格は税抜き169,800円(標準構成時)で、Ryzen + RTXという組み合わせではGAシリーズ最廉価になる。Ryzen 7/9、GeForce RTX 3080/3090はかなりの高価格パーツなので、できるだけ少ない予算で次世代の性能/機能を手にしたい方にとってベストチョイスとなるだろう。
一方のパフォーマンスゾーンも、1,920×1,080~2,560×1,440ドット/高画質設定でのプレイがターゲット。フルHD/高リフレッシュレート環境への強化や、フルHDを脱し一つ上のWQHD環境へと移行したい方にとって魅力的な製品となっている。
ゲーミングPCの新定番、Ryzen 5 5600X + GeForce RTX 3070構成の「FRGAB550/580/NTK」
FRONTIERのラインナップでは筐体別にシリーズ名が付いており、「FRGAB550/580/NTK」は「GA」シリーズのAMD Ryzen 5 5600X搭載モデルとなる。GAシリーズの軸となる筐体はミドルタワーサイズ。およそ200×423×485mm(W×H×D)で、ミドルタワー型としては多少高さを抑えられている印象だ。
外観は日本のゲーミングPCらしくシンプルなたたずまい。メインカラーはブラックだが、前面の両サイドにアクセントとしてレッドのラインが引かれている。ここと各部に設けられた吸気用スリットがゲーミングPCらしさを出していると言えるだろう。吸気スリットはフロントパネルの両側面、フロントパネルの下部、側面板など。外気を積極的に取り込む冷却設計のようだ。
そして5インチベイや3.5インチベイを残したデザインも特徴だろう。筐体の奥行きが大型化する要因になってしまう面もあるが、あれば拡張性が強化され、長く愛用することに寄与するだろう。
内部にアクセスするための側板は、後部でネジ2つで固定したうえでロックも2つ備えている。ロックをかければネジをとめなくても側板が固定されるが、さらにネジでとめれば輸送中などでも外れることがない。
背面を見てみよう。電源は上部レイアウトだ。電源下部レイアウトのケースが増えつつあるが、5インチベイなどを搭載しているケースなので、ケーブルを伸ばす距離が短い方が内部を広く使うためには理にかなっている。
その下にはバックパネルとリアファン。梱包箱から取り出した際、バックパネル部分には注意書きの紙が貼られている。これはPCの性能を引き出すためにはバックパネルの映像出力端子ではなく、拡張スロットに装着されたビデオカードの映像出力端子を利用するよう促す注意書きだ。加えてバックパネルの映像出力端子には封印シールも貼られていた。はじめてビデオカード搭載PCに触れる初心者にも優しい作りだと言える。
内部はシャドーベイも豊富なのでそこまで余裕があるわけではないが、スタンダードATXマザーボード用としては十分なスペースがある。ベイはトータルで5インチ×3、3.5インチ×6。一般的な用途であればこれが埋まることはないだろう。
電源ユニットは出力が850Wあり、効率面でも80PLUS Gold認証を得ているものを採用している。GeForce RTX 3070の推奨システム出力は650Wなので、今回の標準構成からパーツを追加していくのはもちろん、将来的に一つ上のグレードのビデオカードへと換装することも可能だろう。
CPUはRyzen 5 5600Xで、Zen3アーキテクチャへと進化した6コア12スレッドCPUだ。Zen2世代から内部構造を大きく変えてレイテンシを削減、RyzenのウィークポイントだったIPCを向上しライバルに肩を並べるまでに向上した。
本製品ではこれにリテールCPUクーラーを組み合わせている。Ryzen 7/9ほどのコア数は多くないので、負荷時でも動作音はそこまで大きくないが、クーラーにこだわる方はカスタマイズメニューに目を通してほしい。より大きなヒートシンク、より大きなファンのサイドフロー型クーラーや水冷CPUクーラーも用意されている。
BTOパソコンのビデオカードは比較的シンプルなクーラー設計のものを搭載するのが一般的だが、本製品は2.5スロット厚のデュアルファン型クーラーのMSI GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OCを採用している。奥行きは短めのカードで、取り回しやすいモデルだ。
以上が標準構成時の仕様となるが、もちろんここからBTOカスタマイズでき、必要な容量のメモリやストレージ、こだわりのパーツやビデオカードのアップグレードなどが選べる。
CPUベンチマークもゲームベンチマークも良好な数値を叩き出す新ゲーミングPC基本的なベンチマークでポテンシャルを確認
まずは本製品の基本的な性能を知るために、代表的なベンチマークでスコアを出していこう。最初はCPUにフォーカスして2つのベンチマーク結果を紹介する。CINEBENCH R23と同R20だ。
CINEBENCH R23は最近リリースされたベンチマークでまだ比較をできるほどのデータがないので参考程度にとらえてほしい。入手も容易なので、興味があればダウンロードして自宅のPCとの数値を比べてみてほしい。
CINEBENCH R20は長く現役のベンチマークだ。Ryzen 5 5600Xは6コア12スレッドのCPUで、前世代モデルにあたるRyzen 5 3600Xとコア数などに変わりはない。ただし、Zen3となりアーキテクチャが進化を果たし、Ryzen 5 3600Xと比較すると同じコア/スレッド数でもスコアが向上している。Ryzen 5 5600Xの本製品はマルチスレッドが4,176pts、筆者が過去にとったデータと比較すると、シングルスレツドが591pts。マルチスレッドで500pts、シングルスレッドで100pts程度Ryzen 5 3600Xよりも高いようだ。
3D性能はまず3DMarkでおおよそのポジションを掴んでおきたい。まずFire Strikeのスコアは2万を超えており、GT1、GT2のフレームレートは120fpsを大きく超えている。ExtremeやUltraのスコアも高く、DirectX 11タイトルでは高フレームレートあるいは4Kプレイが視野に入るだろう。
DirectX 12のTime Spyも1万2,000超。GT1、GT2で60fpsを超えており、2,560×1,440ドット環境での60fps動作が十分に狙える。
ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク。3,840×2,160ドットで1万ポイントを超え、60fpsを軽く上回るように、どの解像度でも評価が「非常に快適」だ。そして2,560×1,440ドットや1,920×1,080ドットでは120fpsを大きく超えている。
ファイナルファンタジーXIVでは解像度がフルHD時など、GPU負荷が軽い状態ではCPUがボトルネックとなりやすい。本製品のGeForce RTX 3070のような高性能GPUでは、特にCPUがどれだけ高性能なのかがWQHDやフルHD時のフレームレートに影響する。今回の計測ではフルHDで177fps出ており、この点、Ryzen 5 5600XはGPUスペックを引き出せていると言えそうだ。
人気バトルロイヤルもWQHD&120fpsで楽しめる、最新のRyzen + GeForceはかなり快適
ここからは実際のゲームでのパフォーマンスを見ていこう。最新の大作ゲーム「Assassin's Creed Valhalla」と「Watch Dogs Legion」、定番のオンラインゲーム「Apex Legends」と「フォートナイト」を使って検証してみた。
Assassin's Creed Valhalla
Assassin's Creed Valhallaはビルトインベンチマークを使用し、3,840×2,160ドット、2,560×1,440ドット、1,920×1,080ドットの3つの解像度で各画質プリセットでフレームレートを計測した。
4KはGeForce RTX 3070の場合、少し負荷が高いため参考値だ。4K時で快適と言えるのは中~低プリセット。つまり画質次第では楽しめる。一方WQHDでは最高プリセットでも平均60fpsを超えてくる。ある程度の余裕を持たせるにしても高+/高あたりの比較的高画質でのプレイが視野に入るだろう。
Watch Dogs Legion
Watch Dogs Legionもビルトインベンチマークを用い、3,840×2160ドットと2,560×1440ドットで画質プリセットを切り換えた際のフレームレートを見ていこう。
傾向としては先のAssassin's Creed Valhallaと似ており、4Kでは高~低で快適なフレームレート、WQHDなら最大画質でも平均60fpsを超える。
続いて解像度をWQHDに絞り、リアルタイムレイトレーシングとDLSSの効き方を試してみた。
まずリアルタイムレイトレーシングをONにし設定を中(設定可能な最小負荷のもの)とすると、非RT時と比べ6割程度の39fpsまで落ち込んだ。現在のゲーミングにおいて、リアルタイムレイトレーシングは基本的にはDLSSと組み合わせて利用する。
ここでDLSS(高性能)を効かせると、フレームレートは72fpsに向上した。WQHD/最高画質のリアルタイムレイトレーシング(with DLSS)が視野に入るパフォーマンスであると言える。
Apex Legends
Apex Legendsは起動オプションに「+fps_max unlimited」を付け144fpsの上限を外して計測した。WQHDの時点で144fpsの壁に当たるためだ。
グラフのとおり、4Kでもほぼ120fps近く出ており、プレイ環境としては非常に快適だ。その上で、WQHDであれば常時144fpsも狙える203fpsを記録している。
フォートナイト
続いてフォートナイト。DirectX 12ベータで計測をした。最初は各解像度でのフレームレートを見ていこう。
フォートナイトはDirectX 12版はやや重めで、4Kで60fpsあたりになる。ただしWQHDでおおむね120fps、フルHDでは144fps超を記録している。
そしてフォートナイトでもリアルタイムレイトレーシングとDLSSの効果を見ておきたい。
まずDLSS。先ほど4Kで60fps前後だったが、DLSSを有効にすればほぼ120fpsと言える程度まで向上した。この点で、4Kプレイは視野に入ると言える。そしてリアルタイムレイトレーシング。WQHDでリアルタイムレイトレーシングをONとしたところ、半分どころか1/5近くまでフレームレートが低下した。ただし、これにDLSSを加えれば60fps程度まで向上している。
では、リアルタイムレイトレーシングとDLSSで120fpsを狙える設定はと言うと、解像度をフルHDとした状態が148fpsだったのでこのあたりである。一つの方向として、リアルタイムレイトレーシングなしの最高画質でDLSSを使えば4Kプレイが、もう一つの方向性としてフルHDならリアルタイムレイトレーシングONで最高の画質を楽しめる。
フルHDからWQHDへ、リアルタイムレイトレーシングでもプレイ可能なフレームレートへ
Ryzen 5000シリーズ + GeForce RTXは最新人気パーツの組み合わせだ。中でもRyzen 5とGeForce RTX 3070という組み合わせは、これからのPCゲームにおいてもっとも注目の組み合わせと言えるかもしれない。10万円台に収まるFRGAB550/580/NTKはパフォーマンス/価格のバランスが非常に良く、ゲーミングPCを求めるユーザーに大きな魅力となるだろう。
おそらくここ1年くらいのゲーマーにとってのメインストリームは、GeForce RTX 2070に6~8コアのCPUだったろう。そしてフルHDの最高画質で60fpsないし120fpsを得ているのではないだろうか。Ryzen 5 5600X+GeForce RTX 3070という組み合せであれば、一つ上の解像度「WQHD」で60fpsないし120fpsを満たすことが可能になる。リアルタイムレイトレーシングもデモ的な側面から実用的な性能に達してきている。一つ上のプレイ環境へとアップグレードを求める方は、FRGAB550/580/NTKを検討してみてはいかがだろうか。
[制作協力:FRONTIER]