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同GPUで別シリーズのカードって何が違うの?【リフレッシュレートから選ぶGPUの最適解⑧】
DOS/V POWER REPORT 2023年秋号の記事を丸ごと掲載!
2024年3月6日 11:00
同GPUで別シリーズのカードって何が違うの?
ここまでGPU別の性能テストを行なってきたが、ちょっと別の角度からビデオカードをチェックしてみよう。
ビデオカードを手掛けるメーカーは、同GPUでも複数のシリーズをラインナップすることが多い。たとえば、ASUSTeKでは性能と冷却力を追求するROG、耐久性重視のTUF、扱いやすいサイズのDual、クリエイター向けのProArtなど多彩なシリーズを展開している。
そこで、このページではTUFとDualのRTX 4070搭載カードを用意。スペックを見れば、サイズやブーストクロックが異なるのは分かるが、それだけでは分からない基板の設計や実際にゲームをプレイした際の温度やクロックもチェックしていく。
3連ファンと2連ファンでGPUの冷え方は変わるのか、ブーストクロックの差はゲームのフレームレートにどの程度影響を与えるのか注目したい。
3連ファンで電源回路も強力な高OCモデル
カード長30.1cm、3.15スロット厚の大型カード。Dualとの大きな違いはファンやヒートシンクのサイズだけではなく、電源回路に12フェーズと高OCを支える強力なものを採用。コンデンサも耐久性の高いミリタリーグレードのものを採用するなど、TUFらしい設計になっている。
短め薄めで扱いやすいサイズ
PCケースへの組み込みやすさを重視するDualシリーズらしく、カード長26.701cm、2.56スロット厚とRTX 4070搭載カードとしてはコンパクトだ。その分、ブーストクロックは控えめで、電源回路は10フェーズでコンデンサもTUF とは異なる。基板のサイズ自体はどちらも同じだ。
ここからは実際にゲームをプレイして差を確かめていこう。TUF、Dualとも基板上にパフォーマンス重視のPモードと静音性重視のQモードを切り換えるスイッチが用意されているが、どちらもPモードに設定している。テスト方法だが、Starfieldを画質“ウルトラ”にし、フルHD解像度で10分間プレイしたときのGPU温度とクロックの推移をチェックした。プレイ中のGPU使用率は99%から100%とほぼフル稼働している状態だ。
どちらもGPU温度が55℃以下ではファンが完全に停止する準ファンレス駆動に対応しているが、ファンの回転がスタートするタイミングは異なるのか、Dualはゲームスタート直後、一気に62.6℃まで上昇した後ファンの回転数がアップして温度が落ちていった。一方でTUFの温度上昇は緩やかだ。2分から6分までは温度差がほとんどないが、その後はじわじわとDualの温度が上がっていく。それでも61℃程度なのでまったく心配はいらないが、長時間のゲームプレイでは3連ファンのほうが冷えるということだ。
ブーストクロックは、TUFは冒頭以外は2,775MHzで安定、Dualは2,760MHzとなった。わずかなクロック差だが、ベンチマークを見る限り、それが性能差として現われている。動作音についてはどちらも高負荷時でも非常に静かだった。RTX 4070がそれほど高温にならないのも影響しているだろう。
各メーカーとも多彩なシリーズを展開
ASRockなら、Challenger、Phantom Gaming、Taichi、ZotacならTwin Edge、Trinity、AMP AIRO、MSIならSUPRIM、GAMING、VENTUSなど各メーカーともコスパや性能、サイズなど重視するポイントが異なるシリーズを展開。同GPUでも豊富な選択肢があるのだ。
温度およびクロックの推移 | Standardを10分プレイしたときの温度とGPUクロックをHWiNFO Proで測定 |
[TEXT:芹澤正芳]
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