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Core Ultra 9&RTX 5090 Laptop GPUのゲーミングノートでしか得られない超パワー!GIGABYTEのハイエンド機「AORUS MASTER 16 AM6H」

ゲーミングノート“最高ランク”贅沢仕様のスーパーマシンを試す text by 芹澤 正芳

 GIGABYTEから現役最高クラスのスペックを備えたゲーミングノートPC「AORUS MASTER 16 AM6H」が発売された。Core Ultra 9 275HXとGeForce RTX 5090 Laptop GPUに、16型の有機ELパネルを組み合わせた圧倒的に美しく滑らかな描画を実現している。

 超重量級ゲームを最高画質に設定しても余裕で高フレームレートが出せる圧倒的なパワーを持つその実力は、現時点のゲーミングノートPCとしては最高クラス。本稿ではそんなスペシャルな本機の魅力をベンチマークテストも交えて紹介する。

Core Ultra 9 275HXとRTX 5090 Laptop GPUという最高峰の組み合わせ

 GIGABYTEはさまざまなゲーミングノートPCを展開しているが、その中でも最高クラスのスペックを追求するハイエンドモデルが「AORUS MASTER」シリーズだ。最新モデルの「AORUS MASTER 16 AM6H」でも、IntelとNVIDIAの最上クラスのCPU、GPUを搭載するモンスター仕様。高品質な有機ELのディスプレイ、330Wの大出力ACアダプター、強力な冷却システムとそのハイパワーを活かせる装備が揃っている。

Core Ultra 9 275HXとGeForce RTX 5090 Laptop GPUを組み合わせたGIGABYTEのゲーミングノート「AORUS MASTER 16 AM6H」。評価機の型番は「BZHC6JPE64SP」で、メモリ32GB構成の直販価格は67万円

 CPUにはIntelのノートPC向けでは最新世代の「Core Ultra 9 275HX」を搭載。HXシリーズはパフォーマンス重視型で、性能重視のPコアを8基、効率重視のEコアを16基で合計24コア24スレッドという超メニーコア仕様だ。最大5.4GHzと動作クロックも高い。デスクトップ向けのCore Ultra 9 285Kと同じダイが使われており、ノートPCとしては最上位クラスの性能を持っているのが大きな特徴だ。なお、搭載するNPUの処理性能は13.1TOPS。非常に強力なGPUを搭載しているため、ヘビーなAI処理はそちらに任せるのがベストだろう。

 対応メモリはDDR5-6400/LPDDR5x-8400で、最大64GBまで搭載が可能。試用機はDDR5-5600が32GB(16GB×2)搭載していた。

CPU-Zでの表示。CPUには24コア24スレッドの「Core Ultra 9 275HX」を搭載。Pコアを8基、Eコアを16基備えている

 ゲーミングノートでもっとも重要なスペックと言えるGPUは、NVIDIAの最新世代にしてノート向け最上位の「GeForce RTX 5090 Laptop GPU」を搭載。CUDAコア10,496基、ビデオメモリGDDR7 24GB、AI性能1,824TOPSという強烈な仕様だ。前世代最上位のGeForce RTX 4090 Laptop GPUは、CUDAコアが9,729基、ビデオメモリがGDDR6 16GB、AI性能が686TOPSだったので、いかにスペックが強化されているのが分かるだろう。AI性能の大きな向上によって、1フレームから最大3フレームをAIで生成する「マルチフレーム生成」が可能なDLSS 4を実現している。

 さらに、ハードウェアエンコーダーのNVENCを3基も備えており、それらを同時に使った高速エンコードが可能、と動画編集にも強い。

GeForce RTX 5090 Laptop GPUを搭載。ブーストクロックは1,597MHz、カード電力は最大175Wに設定されていた

 強力なCPUとGPUだが、その性能を引き出すには電力の供給力と高い冷却力が必要だ。本機はベイパーチャンバーと2基の新設計ファンによる「WINDFORCE Infinity EX」冷却テクノロジーを採用し、GPUが最大175W、CPUが最大55Wの合計230WのTDPに対応可能な冷却性能を備える。なお、付属のACアダプターは出力最大330Wと強力。十分な冷却性能と十分な足回りで、ハイエンドCPU/GPUのパワーをガッツリ活かせる構成に仕上がっている。

「WINDFORCE Infinity EX」のイメージ図(製品ホームページより)。2基のファンとベイパーチャンバーを組み合わせた大型の冷却機構でハイスペック構成を支える
熱対策として本体底面にも開口部が複数設けられている。搭載SSDが1台の構成の場合、内部には空きM.2スロットがある

 ストレージはPCI Express 5.0 x4接続のNVMe SSDで容量は1TB。ノートPCとしてはまだ珍しい5.0 x4接続のSSDを採用しており、高速なデータ転送を実現している。さらにM.2スロットには1基空きがあるので(PCI Express 4.0 x4対応)、SSDを追加してストレージ容量を増やせるのがうれしいところだ。

ディスプレイは16型で解像度は2,560×1,600ドット。有機ELパネルを採用し、広色域を実現している

 ディスプレイは、16型で解像度2,560×1,600ドットの有機ELパネルを採用。リフレッシュレートは240Hzだ。色の再現性は広い色域を求められるデジタルシネマ向けの「DCI-P3」カバー率100%と優秀で、Pantone色校正+TÜV Rheinland認証取得と色の精度も高くクリエイティブワークもこなせる。完全に近い黒と高い明るさが求められるDisplayHDR True Black 500認証も取得。HDR対応のゲームや動画コンテンツで明暗のメリハリが利いた映像を楽しめるのもよいところ。可変リフレッシュレート(VRR)は、NVIDIAのG-SYNCをサポートしている。

リフレッシュレートは最大240Hz
上部には1,080pのWebカメラとマイクを搭載。Windows Hello顔認証にも対応している

 このほか、ディスプレイ上部にはWebカメラ(1,080p)、マイクを搭載。インタフェースは左側面にギガビットイーサ、HDMI出力、USB 3.2 Gen 2、Thunderbolt 5、右側面にUSB 3.2 Gen 2、Thunderbolt 4、microSDカードスロット、ヘッドセット端子を用意。ワイヤレス機能はWi-Fi 7とBluetooth 5.4を搭載している。

左側面にギガビットイーサ、HDMI出力、USB 3.2 Gen 2、Thunderbolt 5を搭載
右側面にはUSB 3.2 Gen 2、Thunderbolt 4、microSDカードスロット、ヘッドセット端子を搭載

 キーボードは日本語配列でキーストロークは1.7mmだ。3ゾーンに分かれたRGBバックライトを内蔵しており、GiMATEアプリで発光色やパターンの制御が可能だ。なお、本体のサイズは、357×254×23~29mmで重量は2.5kg。

キーボードは日本語配列。3ゾーンに分かれたバックライトを内蔵
キーストロークは1.7mm。ゲームで多用するWASDキーとQ/E/Rキーはスケルトン仕様
ACアダプターは330Wの大出力なのもあってサイズは大きい

 本機独自の機能として注目したいのは、「GiMATE」アプリ内にある大規模言語モデル(LMM)を活用したチャット機能だ。例えば、「キーボードのLEDを白色にしたい」と入力すれば、自動的にキーボードのバックライトを白色に変更して、その機能へのリンクも示してくれる。「ファンの音を小さくしたい」と入力すれば、サイレントファン設定に変更するなど、「自分がしてほしいこと」や「必要な機能や設定」を自然な言葉で検索・実行できるのは便利だ。

「GiMATE」アプリ内のチャット機能なら「キーボードのLEDを白色にしたい」など自然な言葉で設定を行える。設定を呼び出すためのリンクも示してくれるのが便利だ

 このほか、ゲーミングPCらしくハデなライティングも特徴と言える。背面には床へと「AORUS」という文字を照らすLEDを内蔵、底面や天板のロゴにもLEDが備わっており、個性的な演出を楽しめる。

本機の背面側にもLED演出が。ロゴが発光するほか、床面に“AORUS”と照らし出すLEDを内蔵

重力級ゲームも最高画質で高フレームレートを出せる強烈な性能

 ここからはベンチマークテストに移ろう。「GiMATE」アプリに複数の動作モードが用意が、ここではもっとも性能を引き出せる“ゲームモード”に設定してテストを行った。

動作モードはGiMATEアプリでゲームモーに設定してベンチマークを実行した

 まずは、CGレンダリングでCPUパワーを測定する「Cinebench 2024」、PCの基本性能を測る「PCMark 10」、定番3Dベンチマークの「3DMark」を実行する。

Cinebench 2024の計測結果
PCMark 10 Standardの計測結果
3DMark Steel Nomadの計測結果
3DMark Fire Strikeの計測結果
3DMark Speed Wayの計測結果

 Cinebench 2024のMulti Coreはスコアが2,000オーバー。これはデスクトップ向けCPUを含めても上位と言える結果だ。24コア24スレッドのCPUパワーは凄まじく、ゲームはもちろんクリエイティブワークにも対応できる。3DMarkもRTX 5090 Laptop GPUとして順当なスコアだ。しっかり性能を引き出せている。

 実ゲームに移ろう。今回はディスプレイが画面比率16:10の2,560×1,600ドットなので、2,560×1,600ドット、1,920×1,200ドットの2パターンで測定している。高スペックなので軽めのゲームが快適に動くのは当然なので、ここでは重量級と言われる「モンスターハンターワイルズ」の公式ベンチマーク、「The Last of Us Part II Remastered」、「サイバーパンク2077」を用意した。

 モンスターハンターワイルズは公式ベンチマークを実行した際のフレームレートを、The Last of Us Part II Remasteredはジャクソンの一定コースを移動した際のフレームレート、サイバーパンク2077はゲーム内のベンチマーク機能を実行した際のフレームレートをそれぞれ「CapFrameX」で測定している。

モンスターハンターワイルズ ベンチマークの計測結果
The Last of Us Part II Remasteredの計測結果
サイバーパンク2077の計測結果

 いずれのテスト結果とも、期待どおりの優秀な結果だ。モンスターハンターワイルズの最高画質設定はビデオメモリ16GB以上を求める負荷の高いものだが、RTX 5090 Laptop GPUは24GB搭載しているので容量的な不安はまったくなく、高い基本性能もあって2,560×1,600ドットでも平均159.2fpsという高いフレームレートを叩き出した。

 The Last of Us Part II Remasteredとサイバーパンク2077はマルチフレーム生成に対応していることもあって、非常に高いフレームレートを出した。240Hzのリフレッシュレートを活かした滑らかな描画でゲームを楽しめる。とくにサイバーパンク2077は、すべての光源の経路(パス)を再現するパストレーシングという強烈に描画負荷がかかる処理が入っているが、それでも2,560×1,600ドットで平均172.0fpsを出した。

強烈な性能をガッチリと冷やす優秀な冷却システム

 冷却力と動作音も確かめておこう。今回は、サイバーパンク2077を10分間動作させたときの動作音を正面、右側面、背面のそれぞれ10cmの位置に騒音計を置いて測定、サーモグラフィーでキーボード全体の温度をチェックしてみた。動作モードはゲームモードだ。

ゲーム中の動作音の計測結果

 高負荷駆動中の動作音についてはさすがに静かではないが、正面からだと爆音と言うほどではない印象。排気が集中する背面からだとかなり動作音は大きく感じる。CPUとGPU合わせて230Wの駆動に対応するだけあって、冷却ファンの音が大きくなるのは仕方のない部分だ。

 最後にゲームプレイ中の温度をチェックしておこう。サイバーパンク2077を10分間プレイしたときのCPUとGPUの温度推移を「HWiNFO Pro」で測定している。CPUが「CPU Package」、GPUが「GPU Temperature」の値だ。

CPU/GPUの温度推移

 CPUはゲームの状況によって動作クロックが大きく変動するため温度もブレが大きいが、平均82.6℃と問題なく冷却できている。一瞬95℃を超えているがその後は90℃以下で安定しており、ファンが全開で回転すれば温度が上がるの防げるようだ。GPUは平均76.3℃とRTX 5090 Laptop GPUとしては十分冷えている。こちらは76℃前後で推移しており、安定して冷却できているのが分かる結果だ。

キーボードの上部と右下は温度が高くなっているが、ゲームプレイで重要となるWASDキー周辺はしっかり冷えている

全方位に強いゲーミングノートPCを求めているなら

 Intelの24コア24スレッドという強力なCPUにNVIDIAの最上位GPUを組み合わせ、ゲーミングノートPCとして現役最高クラスの性能を実現した1台だ。有機ELの16型ディスプレイによって美しい画面でゲームがプレイできるのはもちろん、クリエイティブワークやAI処理も快適にこなせる。

 約67万円と価格も高いが、性能に妥協せず、どんな処理にも強い全方位型のハイエンドノートPCを求めているなら、ぜひとも注目してほしい。