パワレポ連動企画

UEFI設定のキホン

[最新版、PC自作の基礎知識](12)

DOS/V POWER REPORT 5月号

 自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の最新特集「最新PC自作の基礎知識」をまるごと掲載する当企画の12回目は、「UEFIのキホン」。

 UEFIは各種ハードウェアの情報をOSへ橋渡しする役割を持った基本ソフトウェア。UEFIの設定が正しくないと、ハードウェアの能力をきちんと発揮させることはできない。今回は、UEFIの基本操作方法と必ず確認しておきたい重要項目の設定を解説する。

 なお、この特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 5月号は現在発売中。50ページにも及ぶ当特集のほか、様々なパーツの詳細レビューや徹底分析、そして「改造バカ一台」などの爆笑記事も掲載している。


- DOS/V POWER REPORT 2014年5月号 Special Edition -


これだけは押さえておきたいUEFIのキホン

UEFIセットアップで何ができる?

 UEFIセットアップでは、PCをきちんと動かすために必要な設定以外にも、保証外とはなるが、CPUをオーバークロック(以下OC)動作させることで性能を上げるなどのチューニング用の設定を行なうことができる。

 最近のマザーボードは自動設定である程度きちんと動作するので、OCをしないのであればUEFIの設定は必要ないと考えてしまうかもしれないが、それは間違い。起動ドライブの設定などを行なう必要があるし、各種ハードウェアの設定も確認したほうがよい。

【ハードウェアの動作設定】
起動ドライブの設定など、PCをきちんと動かすために必要な設定を行なう
CPUの動作周波数を上げる(OC)などチューニング設定も行なえる
【各種ツールも統合】
ほとんどのメーカーのUEFIセットアップには、UEFIアップデートツールが統合されている
ネット接続を制限できる機能など、独自機能が用意されているものもある

UEFIセットアップはメーカーそれぞれに特色がある

【ASUSTeK Computer】

ASUSTeK製マザーボードのUEFIセットアップは、起動ドライブの優先順位など、必要度の高い項目が手早く設定できるEZMode(左)とOCも含め詳細な設定が行なえるAdvanced Mode(右)を備える。どちらのモードで起動するか自体も設定できる
【ASRock】

ASRock製マザーボードのUEFIセットアップは、上段メニューはアイコン化されているものの、基本はテキストベース。階層は深くなく比較的分かりやすい
【Micro-Star International】

MSIのUEFIセットアップも、基本はテキストベース。設定項目によっては階層が深く、分かりづらい面がある
【GIGA-BYTE TECHNOLOGY】

LGA1150対応マザーボードの上位モデルに搭載されているUEFIセットアップ(左)は、フルHD画面で情報量が多いことが特色。旧世代の1,024×768ドットのテキストベースのUEFIセットアップ(右)を搭載するモデルもまだ多い

UEFIセットアップの起動方法

 UEFIセットアップは、メーカーロゴもしくはPOST情報表示中に[Delete]キーまたは[F2]キーを押すことで起動することができる。なお、初回起動時やCPU換装後、UEFIのアップデート後など、[F1]キーを押して起動しなければならないときもあるが、その場合は画面に表示されている。

UEFIセットアップのキホン操作方法

 どのメーカーのマザーボードでもUEFIセットアップの基本的な操作は、ここで紹介している方法で行なうことができる。矢印キーでカーソルを移動、Enterキーを押して選択メニューを選び、[+]、[-]、[Page Up]、[Page Down]キーで数値の増減を行なう。最近のUEFIセットアップは、ほとんどの操作をマウスで行なうことができるが、数値の増減など、キーボードでしかできないこともある。なお、変更した設定は、保存した後、再起動をかけなければ有効にならない。その点も覚えておきたい。

CPUやメモリがきちんと動作しているか確認する

 UEFIセットアップを起動してまず行ないたいことは、各種ハードウェアがきちんと認識され動作しているか確認することだ。各社のマザーとも、ほとんどのモデルでUEFIセットアップのメイン画面でCPUやメモリの動作状態を確認することができる。なお、メイン画面では、UEFIの現在のバージョンを確認できるほか、システム時計の設定も行なうことができる。出荷時のシステム時計は台湾時間になっているものが多いが、OSのインストール時に修正される(ネット接続の必要アリ)。

初期設定値に戻す

 UEFIセットアップには、メーカーによって「Load Optimized Defaults」や「LoadUEFI Defaults」など名称は違うものの、各種UEFI設定を初期設定値に戻すメニューが用意されている。UEFIで不適切な設定を行なってマシンが不安定になった場合などに重宝する機能なので、ぜひとも覚えておきたい。

【ASUSTeKのマザーボード】
ASUSTeKのマザーボードは、Exit項目にある「Load Optimized Defaults」が各種設定を初期値に戻すメニュー
【ASRockのマザーボード】
ASRockのマザーボードは、Exit項目にある「LoadUEFI Defaults」が各種設定を初期値に戻すメニュー

HDD/SSDの動作モードの設定

 Serial ATAコントローラの動作モードの設定は、ストレージ性能に大きく影響する重要な設定項目。通常は[AHCI]に、RAIDを組む場合は[RAID]に設定する。[IDE](旧式のデバイスやOS向け)になっていると、SSDや最新のHDDの性能をフルに発揮できないので注意が必要だ。

【通常はAHCIに設定】
通常は、Serial ATAコントローラの動作モードをAHCIに設定する。SSDや最新のHDDはここがIDEになっていると性能をフルに発揮できないので注意したい
【RAIDを構築する場合】
RAIDを構築する場合は、Serial ATAコントローラの動作モードを[RAID]に設定して保存、再起動後、[Ctrl]キーと[I]キーを押してRAID BIOSを起動して、RAIDボリュームを作成する

XMP、AMP対応メモリの設定

 XMP、AMPなどの規格に対応したメモリは、手動でメモリの動作プロファイルを適用させる必要があり、自動認識させた場合、たとえばDDR3-2133 で動作するメモリであっても、DDR3-1333 などの低いクロックのメモリとして認識されてしまうので注意が必要だ。なお、プロファイルの適用方法はマザーボードによって異なるので、マニュアルを確認する必要がある。

【XMPのプロファイルの適用方法例】
今回の作例で使用しているASUSTeK H87-PROは、AI TweakerのAI Overclock TunerメニューでXMPに設定すると、XMP対応メモリのプロファイルを適用することができる

UEFIのアップデート方法

【USBメモリはFAT32で】
ほとんどのメーカーのツールは、NTFSフォーマットのストレージに対応していない。そのため、使用するUSBメモリなどはFAT32 でフォーマットしておく必要がある。

 最近のマザーボードはUEFIセットアップにツールが組み込まれており、USBメモリなどのUSBストレージを用いてUEFIのアップデートを行なうことができる。UEFIをアップデートすることにより、不具合が解消されたり、最新パーツを正しく動かしたりすることが可能になる。ここではASUSTeKのH87-PROを使って手順を説明する。

アップデートファイルの入手

まずはメーカーサイト(この場合はhttp://www.asus.com/jp/)で最新のUEFIファイルを入手する。該当マザーボード(ここではH87-PRO)の製品紹介ページから[サポート]→[ドライバーとツール]とたどり、使用しているOSを入力すると、最新のUEFIや各種ドライバをダウンロードできる

UEFIのツールを使ってアップデートを行なう

【1:アップデートユーティリティを起動する】
アップデートファイルをコピーしたUSBメモリを接続したまま、UEFIセットアップを起動。Toolメニューにある「ASUS EZ Flash 2 Utility」を選択し、[Enter]キーを押す
【2:アップデートファイルを選択する】
ASUS EZ Flash 2 Utilityが起動する。通常は自動でアップデートファイルが選択されるが、選択されていない場合は手動でアップデートファイルを選択する。FolderとDrive間の移動は[Tab]キーで、Driveの選択は[↑]、[↓]キーで行なうことができる
【3:アップデートの確認】
選択されているファイルに間違いがなければ[Enter]キーを押す。2回、確認画面が出るので、それぞれ[OK]を選択して[Enter]キーを押す
【4:アップデートの開始】
アップデート作業が開始されるので、終わるまで待つ。なお、作業中に電源が落ちるとUEFIが破損して復旧できなくなる恐れがあるので注意が必要
【5:アップデートの終了】
「Update successfully! System will be reset!」という文字が出たら、作業は終了。[OK]ボタンをマウスでクリック、もしくはキーボードの[Enter]キーを押してマシンを再起動する
【6:UEFIセットアップを起動する】
再起動すると「Please entersetup to recover BIOS setting.」と表示されるので、[F1]キーを押してUEFIセットアップを起動する
【7:UEFIのバージョンの確認】UEFIセットアップが起動したら、UEFIのバージョンを確認する。設定内容も初期化されているので再び設定を行なう

~次回、[性能発揮のためのOSインストール入門]に続く(10日掲載予定)~


- DOS/V POWER REPORT 2014年5月号 Special Edition 目次-

1回目:PC自作はいつだって楽しい! ~改造バカ、かく語りき~
2回目:理想のマシンを自分で作ろう ~自作PC作例集6選~
3回目:CPUの選び方、マザーボードの選び方
4回目:ビデオカードの選び方
5回目:ストレージの選び方、メモリの選び方
6回目:PCケースの選び方
7回目:電源ユニットの選び方、CPUクーラーの選び方
8回目:パーツ選びが終わったら、ここを確認!
9回目:PC組み立て徹底解説、パーツ取り付けからインストールまで ~10万円のパーツで組んでみた~
10回目:小型PCを自作する場合の注意点
11回目:トラブル発生時の原因特定方法


DOS/V POWER REPORT 5月号発売中】

★総力特集「最新版、PC自作の基礎知識」はもちろん、パーツの詳細レビューや徹底分析、そして爆笑の「改造バカ一台」など多数の記事を掲載

★ 紙版を買うと電子版(PDF)を無料ダウンロード可能
★ 紙版は小冊子「最新 パソコン略語辞典 2014」付き

★ 電子版は割安な税別857円、4月3日までは一部で税別571円セール中
★ 電子版では小冊子の電子版も完全収録

【電子版販売ショップ】

(AKIBA PC Hotline!編集部)