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速いだけじゃ無い! Synologyの「RT2600ac」で分かる、ハイエンドルーターを買う理由
~レンタルのホームゲートウェイとどう違う? 初心者がやっておきたい設定を徹底解説~ text by 清水理史
2017年9月11日 00:00
無線が高速化!
最初に注目したいのは、通信速度と通信距離だ。前述したように、最近では回線事業者からレンタルされるホームゲートウェイも、無線LANの最新規格であるIEEE802.11acに対応しているモデルがある(一部機種はオプションカードが必要)。
しかしながら、同じIEEE802.11acでも対応する速度が異なる。多くのホームゲートウェイは最大速度が1300Mbps(3ストリーム)となっているが、RT2600acでは最大速度が1733Mbps(4ストリーム)となっている。
IEEE802.11ac対応のPCやスマートフォンの多くは最大866Mbps(2ストリーム)となっているため、1300Mbpsでも1733Mbpsでも結局は同じではないか?と思うかもしれないが、RT2600acはMU-MIMOという技術に対応しており、1733Mbpsの帯域を2ストリームずつ866Mbps×2で使うことが可能となっている(デバイス側の対応も必要)。
家庭内に複数台のPCやスマートフォンが増えてきたことを考えると、使える帯域は多いほど快適になるのは明らかだ。
通信エリアを拡大!
また、通信できる範囲も有利だ。アンテナ内蔵タイプが多いホームゲートウェイと異なり、RT2600acでは大きな外付けの4本のアンテナを使って電波を送受信することができる。「ビームフォーミング」と呼ばれる特定端末に電波の指向性を調整する機能も搭載されているため、ホームゲートウェイでは通信できない距離でも通信を可能にしたり、同じ距離でも通信速度を上げることができる。
つまり、速くて遠くまで届く無線LAN環境を構築できるわけだ。
本格的なNAS機能
続いて注目したいメリットは、豊富な付加機能だ。
詳しくは後述するが、もともとNASベンダーとして成長してきたSynologyのRT2600acには、NASから受け継いだ本格的な機能が搭載されており、SDメモリーカードやUSB接続のHDD/SSDを接続することで、家庭内でのファイル共有、PCやスマートフォンとのデータ同期、外部ユーザーとの共有(リンク機能)などを利用できるようになっている。
VPNもラクラク構築
また、設定が面倒なVPN機能も独自の方式を提案することで非常に簡単に利用できるようになっている。
VPN機能は、自宅のデータを外出先から参照するという使い方ではなく、ホテルやカフェなどの無料のWi-Fiをスマートフォンで利用する際に通信を暗号化する目的で使われることが多くなりつつあり、その接続先として、もっとも信頼できる「自宅」を使うことができるのは非常に大きなメリットだ。
UTM的に使えるセキュリティ機能
このほか、これまで企業向けに提供されてきたセキュリティ機能も利用可能だ。IDS/IPSと呼ばれる通信の監視機能を利用して脆弱性を悪用する攻撃を遮断したり、コンテンツフィルタリング機能によって悪意のあるサイトへのアクセスを遮断することができる。
コンテンツフィルタリングは、こどもがいる家庭での利用も便利で、利用時間の制限や、こどもにふさわしくないサイトへのアクセスも禁止できる。
RT2600acでは、こうした付加機能を、スマートフォンのアプリと同じように、パッケージとしてオンラインで簡単に追加できるようになっており、必要に応じて機能を使い分けることができる。こうした自由度は、決して回線事業者のホームゲートウェイではできない芸当だ。
要するに、ホームゲートウェイからの入れ替えで、無線環境が快適になるだけでなく、既存のファイルサーバーやクラウドサービス、VPNサービスなどの代わりとしてルーターを活用できるうえ、企業向けのセキュリティ機器と同等の安全性までも手に入れることができることになる。
あらためて、交換することで何が代わるか?と問われれば、「何もかもが、変わる」というのが答えになりそうだ。