ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・マイコンたち

さまざまなメーカーから数多くの機種が登場したデータレコーダたち ~ アイワ DR-20 ~

今回のメインとなるのは、当時は鉄板でロードできると言われたAIWAの3機種とナショナル、東芝のモデルです。並べてみると、AIWAのDR-1がひときわ大きいのがわかります。

 想い出に残る、懐かしのマイコン・パソコンを写真とともに振り返る本コーナー。今回は少し趣向を変えて、当時の周辺機器を取り上げる番外編として、「データレコーダ編 2」(計5回)をお届けします。

 マイコンやパソコンに入力したプログラムを保存するために、80年代初頭に主に使われたのがカセットテープです。近所の電気屋さんや家電量販店などにて安価で簡単に購入できるため、お世話になった方も多いのではないでしょうか。この、マイコン・パソコンからカセットテープへデータを保存するためのハードとして活躍したのが、各社からリリースされていたデータレコーダでした。もちろん、市販されているラジカセや、この時代に流行したダブルカセットデッキなどでも読み込みや保存は行えます。しかし、それらと比べると信頼性も高く、マイコン・パソコンから制御ができるリモート端子が必ず用意されていたデータレコーダはそれなりに幅広く普及し、一時期はなくてはならない周辺機器になったと言えたでしょう。

 そんなデータレコーダの中から今回の連載では、AIWAから登場したDR3兄弟とナショナル、東芝のモデルを紹介していきます。

AIWA データレコーダ DR-20

DR-2はカラーリングがグレーでしたが、DR-20はブラックになってシックな印象に。テープの回転部分が上半分のみ見えるというデザインになりました。

 1986年3月に、DR-150やDR-F10と共に発売されたのが、DR-2の実質的な後継機種となるDR-20です。デザインとカラーリングが変わった以外、基本的な機能部分に変化はありません。新たに追加されたのは、音声やサウンドの入ったゲームソフトに対応できる音声再生機能です。

 これ以外の、無録音部分を作るときなどに重宝するMOTORボタンや、データの有無がわかるテープ・インジケータ、フェーズ切り替えスイッチ、データが入っているかどうかを確認するためのモニタスイッチなどは、そのまま引き継がれました。サイズも、DR-2が幅16.6cm×高さ12.8cm×奥行き14.6cmだったのに対して、DR-20は幅16.9cm×高さ12.3cm×奥行き15.2cmと、高さが少し縮んだ分、ずんぐりむっくりした見た目になっています。

 価格はDR-2と同じ12,800円ですが、同発のDR-150はなんと、75,000円! DR-1をさらにパワーアップさせたような機種で、RS-232Cを経由することで9600ボーの高速処理を実現できたほか、左チャネルに入った音声と右チャネルに入ったデータとを同時に再生することもできました。100V/120V/220V/240Vの4電圧に対応しているのも特徴といえます。

 同時発売されたもう1機種のDR-F10は、平置き型のコンパクトデータレコーダ。ファイル名を音声で録音することで、声によるファイル検索が可能でした。こちらは価格20,600円ということで、どちらもDR-20より高価格ということもあり、同発3機種の中ではDR-20がメインだったと言えるでしょう。

こちらも背面はDR-2譲りのシンプルさですが、一番左にはヘッドフォン端子とレベル調整つまみがつきました。その右にはお馴染みのCMT端子類が色分けされて配置され、右端には別のデータレコーダなどへ出力が可能なSUB-OUT端子もついています。
“デジタル波形処理回路が高い信頼性と多くの支持を獲得しています”、という路線を引き継いで登場した新機種が、DR-20でした。しかし1986年の春といえば、NECはPC-8801mkIIFRやMR、シャープはX1turboIIにX1F、MZ-2500、富士通はFM77AVと、御三家はディスクドライブ搭載機種を、さらにMSX界隈もディスクを内蔵したMSX2各機種がリリースされている時期でした。このタイミングでのデータレコーダ供給は、今考えると時期的には遅かったかもしれません。