ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・マイコンたち

さまざまなメーカーから数多くの機種が登場したデータレコーダたち ~ アイワ DR-1 ~

今回のメインとなるのは、当時は鉄板でロードできると言われたAIWAの3機種とナショナル、東芝のモデルです。並べてみると、AIWAのDR-1がひときわ大きいのがわかります。

 想い出に残る、懐かしのマイコン・パソコンを写真とともに振り返る本コーナー。今回は少し趣向を変えて、当時の周辺機器を取り上げる番外編として、「データレコーダ編 2」(計5回)をお届けします。

 マイコンやパソコンに入力したプログラムを保存するために、80年代初頭に主に使われたのがカセットテープです。近所の電気屋さんや家電量販店などにて安価で簡単に購入できるため、お世話になった方も多いのではないでしょうか。この、マイコン・パソコンからカセットテープへデータを保存するためのハードとして活躍したのが、各社からリリースされていたデータレコーダでした。もちろん、市販されているラジカセや、この時代に流行したダブルカセットデッキなどでも読み込みや保存は行えます。しかし、それらと比べると信頼性も高く、マイコン・パソコンから制御ができるリモート端子が必ず用意されていたデータレコーダはそれなりに幅広く普及し、一時期はなくてはならない周辺機器になったと言えたでしょう。

 そんなデータレコーダの中から今回の連載では、AIWAから登場したDR3兄弟とナショナル、東芝のモデルを紹介していきます。

AIWA データレコーダ DR-1

これまでに紹介した、どのデータレコーダよりも奥行きがあります。手前側につきだした部分に操作ボタンが配置されているのが特徴で、この形は同時代に発売されたAIWAのダブルカセットデッキの一部でも採用されていました。非常に高級感あふれるデザインです。

 AIWAの据え置き型DR3兄弟のなかでも、トップクラスを誇る性能となっています。特徴として、RS-232Cで接続すれば“フロッピーディスクに迫る9600ボーの高速処理を実現(広告より)”したことや、PC-8801シリーズであれば付属のTOSを使うことで60分カセットテープに“フロッピーディスク10枚分の記録を可能にする(広告より)”ことができました。今読み返してみても、なかなか驚くべき性能だったと思います。

DR-1のみの広告は探せなかったため、DR-2とセットのバージョンを掲載してみました。この写真ではDR-1の奥行き感がわかりづらくなるように撮影されているためか、コンパクトに見えます。

 高機能高性能だったのですが、それに比してサイズも大きく、幅17.5cm×高さ11.2cm×奥行き26cm。特に奥に長いため、思ったよりも場所を取りました。また、重量もデータレコーダとしてはヘビー級の2.5kgで、弟分のDR-2で換算すると、2台分に! ただし、天板が平らだったために、ちょっとしたモノを上に置けるのは利点と言えます。

 操作キーはすべてパソコン用スイッチを採用していて、ワンプッシュで軽快に操作出来るようになっていました。またTOSを利用すれば、目的のBASICプログラムを自動的に探し出してロードするオートファイルサーチシステムや、セーブ終了後に自動的に6秒間の無録音部分を作るオートレックミュート機構、ファイル名を見て目的でないファイルをスキップしてキュー状態で次のファイルを検索するオートスキップ機構が使えるなど、多くの機能を盛り込んでいました。

 それゆえ、価格もこれまで紹介してきたデータレコーダよりも飛び抜けて高く、お値段は28,500円。このプライスを考えると数多く出回ったとは考えづらく、そのためか中古市場でもあまり見かけることはないモデルとなっています。

背面には左から、チャンネル切り替えスイッチ、CMT IN端子、REMOTE端子、CMT OUT端子、SUB-OUT端子、RS-232C接続コネクタが並んでいました。