ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・マイコンたち

CPUに80386SXを搭載したNECのコンパクトモデル「PC-9801ES」

PC-9801Rシリーズと同じデザインを採用しているため、全体的にアールが効いていて柔らかい印象を与えてくれます。機種名には、RA2やRX2などと同じ縦長の書体が使われていました。

 想い出に残る、懐かしのマイコン・パソコンを写真とともに振り返る本コーナー。今回取り上げたのは、NECが1989年4月にPC-9801EXと同時に発売した、3.5インチフロッピードライブ搭載のコンパクトモデル・PC-9801ES2となります。

広告は、ラップトップマシンのPC-9801LXと、本機と同時登場のPC-9801EX、これら3機種を合わせたバージョンで発売時期に掲載されました。1機種だけのパターンのものは、作られなかったようです。

 PC-9801シリーズの3.5インチドライブ搭載モデルは、1985年に発売されたPC-9801Uから始まり、その後も5インチドライブ搭載モデル同様にモデルチェンジを繰り返していきます。1986年には初のFM音源搭載モデルとなったPC-9801UV2が登場したほか、1987年にはPC-9801UV21PC-9801UX21、さらに翌年88年はPC-9801UV11PC-9801CV21といったモデルもリリースされましたが、1989年に市場デビューしたのが3.5インチドライブモデルの新型、PC-9801ESとEXです。以前はPC-9801EXを紹介しましたので、今回はESを取り上げました。

 PC-9801ESですが、3.5インチフロッピーディスクドライブを装備したPC-9801シリーズのなかで、初となる32ビットデスクトップマシンです。2モデルが用意され、いずれもCPUには32ビットの80386SX(クロック周波数16MHz、メモリアクセスノーウェイト)を搭載していました。ユーザーズメモリは1.6MBを標準装備していて、最大で10.6MBまでの拡張が可能です。メモリ専用スロットを備えていて、ここに増設可能な3MB分のメモリにはノーウェイトの高速アクセスができました。対応OSとしては従来通りのMS-DOSなどだけでなく、日本語MS-WINDOWS/386 Ver.2.1といったものもラインアップに上がっています。

正面は、PC-9801RAやPC-9801RXシリーズなどのデザインを踏襲しています。上段右端には3.5インチFDDが2つ縦に並び、その右側に電源スイッチが設置されていました。下段は左から、キーボード接続端子、マウス端子、リセットボタン、ボリュームダイヤル、3連ディップスイッチと並んでいます。

 なお、これまで発売されてきたPC-9801シリーズの3.5インチFDD搭載モデルは、初代のPC-9801Uを除いていわゆる26K音源を搭載してきました。ところが、PC-9801ESシリーズのみFM音源は搭載されていません。これを知らないままに「3.5インチドライブ搭載モデルなのでFM音源が鳴るだろう」と安易に手を出してしまうと、ソフトによってはBGMを聞けない事態に……。もちろん、拡張スロットに音源ボードを挿せば解決しますが、現代は別の機種を狙うという方向転換が正しい選択かもしれません。

 本機のモデル構成ですが、1MBのフロッピーディスクを2基装備したPC-9801ES2と、それに加えて40MBのハードディスクを内蔵したPC-9801ES5の2種類となっています。価格は、PC-9801ES2が448,000円、PC-9801ES5が638,000円でした。もちろん、ES2には後から20MBまたは40MBのハードディスクを追加内蔵することができ、そうすることでPC-9801ES5と同等スペックになります。40MBのハードディスクは価格が19万円で、PC-9801ES2と合わせればピッタリPC-9801ES5のお値段になりました。20MBの純正内蔵ハードディスクも用意されていて、コチラであれば追加投資は14万円で済みます。この時期のハードディスクは、サードパーティの外付けモデルであれば40MBが12万円から15万円で購入が可能だったことを考えると、スペースの問題さえ許せば純正を内蔵するよりもサードパーティ製品がお買い得に。そのため、ES2を購入してハードディスクは別に調達、というのが手堅い購入方法だったと思われます。

背面は左から、サービスコンセント×2、電源、アナログRGB端子、デジタルRGB端子、1MBフロッピーディスクインターフェース、RS-232Cコネクタ、プリンタポートと並んでいます。上段は拡張スロット×3と、その右側には増設ハードディスク用の目隠しがあるのですが、このモデルは40MBのハードディスクが増設されていました。

 筐体のサイズですが、前モデルとなるPC-9801UX21が幅398mm×奥行き335mm×高さ128mmだったところ、やや小型化して幅380mm×奥行き335mm×高さ128mmとなりました。また、本機から内部レイアウトも変更になり、それまで背面から見て左側に拡張スロット、右側に電源という配置だったものが入れ替わり、左が電源で右に拡張スロットという、デスクトップマシンと同じになっています。

 消費電力に関してもPC-9801UX21から大幅に低下していて、PC-9801ES2がUX21比61%となる55W、PC-9801ES5もUX41比67%と、かなり低く抑えられていました。当時は「消費電力が小さいことはそれほど大きなメリットではないが、小さいに越したことはない」などと雑誌記事に書かれていましたが、このときに今のように消費電力は少ないのが良いという風潮ができていれば、もしかすると評価はもっと変わったかもしれません。

上からPC-9801RA2/RX2付属モデル、PC-9801RA21/RX21付属モデル、PC-9801EX2/ES2付属モデルです。

 付属するキーボードは、右上に書かれている文字がPC-9801RA2やRX2の「PC-9801R」からは変更されていました。NECのロゴがvf・4キーの中央部分からスタートして、その下に「PC-9800Series」と書かれているモデルとなります。PC-9801RA21やRX21などに付属していたキーボードは、NECのロゴがvf・5キーの位置からプリントされ、その下に「PC-9800 SERIES」と“SERIES”が大文字になっていました。ただし、キータッチに関してはほぼ同じなので、どれを使用するかは気分次第でもいいかもしれません(笑)。

 この時点のPC-9801シリーズの中では最速となるモデルとして登場したPC-9801ESですが、秋にはデスクトップモデルが同じCPUを搭載してデビューし、3.5インチと5インチモデルで盤石の体制を築いたところで更なる攻勢をかけていくことになります。

発売時期などをネット上で検索すると時期にブレがありますが、1989年4月発売の雑誌ニュースページに“発表・発売”と掲載されているのを鑑みると、発売年は少なくとも1989年が正しそうです。こちらは、当時掲載されたFDの広告です。

 余談ですが、本機と発売日が近い1989年4月には、東芝から2DDの約4倍となる容量のフロッピーディスク、3.5インチ4MBFDDが発表・発売されていて、同タイミングで広告も掲載されました。同時にディスクドライブも3モデルをリリースと『Oh!PC』1989年5月号のニュースページには書かれているのですが、残念ながらメディア・ドライブ共に価格についての表記はありませんでした。