ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・マイコンたち

NEC PC-98シリーズの中で一番お手頃価格だった「PC-9801RX21/51」

機種名が、これまでと比べてやや横に広くなっているのがわかるかと思います。それ以外は前機種であるPC-9801RX2などと変わらないデザインなので、機種名が隠されるとほとんどの人は区別がつかないかもしれません。

 想い出に残る懐かしのマイコン・パソコンを写真とともに振り返る本コーナー。今回は、1989年10月にPC-9801Nなどと共に発表され、同月より販売が開始されたPC-98シリーズ、PC-9801RX21/51を取り上げています。

本体正面は左からキーボード接続端子、マウス端子、リセットボタン、CPUクロック切換スイッチ、ボリュームつまみ、3連ディップスイッチ、電源ボタンと並んでいます。

 初代PC-9801からはじまるPC-9801シリーズは、長らくアイボリーとブラウンを基調としたカラーを採用してきましたが、1988年に登場したPC-9801RA2シリーズやRX2シリーズでは明るいグレーのカラーリングを使ったほか、筐体デザインも大幅に変更しています。ダウンサイジングを実現できたのは、この時期にNECが開発したカスタムLSIの恩恵を受けて、筐体容積を小さくできたことによるものでした。

 そして翌年の1989年10月に、新製品として5系列9モデルを発表します。そこでのメインは98ノートことPC-9801Nでしたが、デスクトップモデルにもPC-9801RA21シリーズやPC-9801RS21シリーズなどの新機種が登場していました。そのなかでも、一番安くて手に届きやすかったのが今回取り上げたPC-9801RX21/51となります。

 価格は、FDDモデルのPC-9801RX21が338,000円とPC-9801RX2の398,000円から6万円、40MBのハードディスクを内蔵したPC-9801RX51が508,000円でPC-9801RX4の566,000円から58,000円、それぞれ値下げとなっていました。前モデルのPC-9801RX4が内蔵していたのは20MBのハードディスクだったため型番が“4”でしたが、今回は40MBのハードディスクなので“5”になります。

本体背面は左からサービスコンセントと電源コネクタ、アナログRGB接続端子、デジタルRGB接続端子、1MBフロッピーディスクインタフェース、RS-232Cコネクタ、プリンタポート。右上が増設用HDDスペースで、その左側に拡張スロットが4つ並んでいます。

 PC-9801RX21に増設することでPC-9801RX51と同容量になる増設HDDのPC-9801RA-35Lは、価格が17万円でした。値段的には、PC-9801RX21+PC-9801RA-35L=PC-9801RX51だったので、先の使い方が不明ということでRX21を購入しておくのも手段の一つだったと思われます。もっとも、その後にHDDが必要になったときは、スペースの問題さえなければほとんどの人がサードパーティ製のHDDを調達したのではないでしょうか。

 ちなみに、この時期には40MBのハードディスクは約12万円で購入することができたので、この当時の1MBの単価は単純計算で約3,000円となります。記事執筆時点での目に付いたSSDの価格として、キオクシア「EXCERIA PLUS G4」2TBが59,980円というのがありました。こちらも1MBの単価を単純計算すると、なんと約0.03円……驚くべき安さといえるでしょう(笑)。

メルコ(当時)の広告に掲載されていた専用スロットに増設する3MBのメモリは、参考としてPC-9801ES用の価格が62,000円でした。対応機種が少々違えど、純正品が139,000円するところ半額以下になるのだから、こちらを買わない手はなかったでしょう。

 PC-9801RX21/51のスペックとしては、CPUにクロック周波数12MHzのi80286と、8MHzのV30を搭載していました。CPUクロックはリセットボタンの隣にある切換スイッチで、10MHzと12MHz駆動を切り換えることができます。メインメモリは標準で640KBを内蔵していて、公称では11.6MBまでの増設が可能でした。なお、プロテクトメモリに対応したサードパーティ製品であれば、最大となる14.6MBまで増やすことができます。

 メモリを増設する場合は、メモリ増設専用スロットに専用のメモリボードPC-9801RX-01L(59,000円)を挿すことで1MB、さらにその上にメモリサブボードPC-9801-54L(50,000円)を2枚取り付けることで最大3MB増やすことができますが、アイオーデータやメルコといったサードパーティ製品のメモリボードを用いれば最初から3MBのメモリが載っていました。そのため、NEC純正品であれば3MB増設するのに139,000円するところを、サードパーティ製品ならその半額程度で実現できます。会社で使用するのであれば純正品が安心ですが、個人で使用するのであればなるべく安い方が良いので、ほとんどの人がサードパーティのメモリを購入したのではないでしょうか。

 音源に関しては3.5インチモデルとは違い、特に搭載されていません。そのため、ゲームなどでBGMを聞きたいという場合はPC-9801-26kのような、いわゆる26k音源カードなどを増設する必要があります。この時代は、26k互換の音源カードがさまざまなサードパーティから発売されていたので、そちらを手に入れれば純正品よりも安く手に入れることが可能でした。

 FDDは従来機種と同じく2HDや2DD、2Dが読めるモデルで、背面の拡張コネクタに外部ドライブを接続すれば4ドライブとして使うこともできます。1990年代に入ると5インチよりも3.5インチの方に勢いが出てくるため、3.5インチドライブを増設したという人もいたことでしょう。

こちらは、1990年9月15日にソフトバンクから発売された雑誌『Oh!PC』10月1日号に掲載された、40MBのハードディスクをテストするコーナーです。12万円で40MBのハードディスクが買えるということですが、そこから比べると現在のハードディスクやSSD価格は隔世の感があります。

 この年の発表ではPC-9801Nに加えて、ハイパー98と呼ばれるPC-98シリーズのノーマルモードとハイレゾモードを持つ、クロック周波数33MHzの80386マシン・PC-H98 model70も登場したためか、ビジネス向け雑誌に掲載された広告はこの2機種がほとんどとなっていました。反対に、ゲーム記事が多く載るような雑誌には同時期にデビューしたPC-8801MCPC-98DOといった機種の広告が掲載されていたので、今回取り上げたPC-9801RX21をはじめとしたPC-9801RSシリーズ、PC-9801RAシリーズに関しての広告は見当たらないということに。

 発表から1年分くらいの雑誌を見返してみたものの、大まかにはPC-9801N&PC-H98→PC-9801T→PC-9801NSと移っていって、その間に一緒にモデムやプリンタ、モニタなどが宣伝されるという流れでした。とはいえ、広告はないものの今回のRX/RS/RAシリーズは拡張性も高かったので、CPUアクセラレータなどを載せて長く活用していたという人も多かったのではないでしょうか。

 この後、5インチモデルのデスクトップ98は少々の路線転換を行い、これまで頑なに拒んできた音源を内蔵したモデルが登場することになります。