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NVIDIAが初の大型イベント開催、GTX 1080や組み込み向け製品をアピール

攻殻機動隊「タチコマ」の展示やプロゲーマー対戦、VR体験コーナーも text by 石井英男

NVIDIA ULTIMATE FESTA 2016は、最新の「10」シリーズ(GeForce GTX 1080/1070)をアピールするイベントだ

 GeForce GTX 1080の魅力を紹介するエヌビディア合同会社(以下NVIDIA)主催のイベント「NVIDIA ULTIMATE FESTA 2016」が、6月18日(土)にベルサール秋葉原 1階 イベントスペースで開催された。

 このイベントは、NVIDIA初の大型イベントであり、先日発売されたばかりの最新フラッグシップGPU「GeForce GTX 1080」の魅力をさまざまな角度からアピールするために開催された。多くの来場者が集まり、大盛況であった当日の様子をレポートする。

NVIDIAコスチュームに身を包んだコンパニオンのお姉さんも登場

発売されたばかりの新GPU「GTX 1080」を全方面から全力アピール

ULTIMATE TECHNOLOGY THEATERのタイムスケジュール。全部で9つのセッションが行なわれた

 NVIDIA ULTIMATE FESTA 2016会場では、各セッションが行われた「ULTIMATE TECHNOLOGY THEATER」と、eスポーツ関連のイベントが行われた「ULTIMATE ESPORTS」の2つのステージが設けられたほか、GTX 1080を搭載した各社のPCで最新ゲームを体験できるコーナーやMOD PC展示コーナー、最新VRの体験コーナーなど、様々なコーナーが用意され、来場者を楽しませた。ベルサールではこれまでにもいろいろなPC関連イベントが開催されてきたが、今回のイベントの盛り上がりは、その中でもトップクラスであり、GTX 1080への関心の高さが浮き彫りとなった。

 ULTIMATE TECHNOLOGY THEATERのセッションは、GeForce GTX 1080」の最新技術の解説や、”改造バカ”として有名な高橋敏也氏とNVIDIAの高橋一則氏のセッション、ディープラーニングやVRに関するセッションなど、GTX 1080の魅力をさまざまな角度からアピールするものであり、用意された座席が埋まり、立ち見もでるほどであった。

 ここでは、その中からいくつかのセッションの様子を紹介する。

 「DOS/V POWER REPORT」の連載などで有名な高橋敏也氏は、NVIDIAアンバサダーとしても活動しており、今回のイベントでは、「NVIDIAアンバサダー高橋敏也の目から見たPascalの魅力」と題したセッションを行なった。高橋氏は熱心なゲーマーでもあり、GTX 1080に採用されているPascalアーキテクチャは、特にゲームやVRにおいて高い性能を発揮するとし、「GTX 1080を早速購入したが、あらゆる場面でヌルヌルと快適に動くことに驚いた」とその印象を語っていた。

NVIDIAアンバサダーの高橋敏也氏とNVIDIAの高橋一則氏によるセッション「NVIDIAアンバサダー高橋敏也の目から見たPascalの魅力」の様子
ダブル高橋氏のセッションは人気で、席はほぼ満席となっていた

 最近、注目が集まっているIT関連ワードといえば、なんといってもディープラーニング(深層学習)であろう。NVIDIAの村上真奈氏は「エヌビディアが加速するディープラーニング」と題したセッションを行なったが、こちらにも多くの来場者が詰めかけ、熱心に話を聞いていた。同氏は、NVIDIAのGPUはディープラーニングの高速化に非常に大きな効果があり、最新のGTX 1080ではさらに処理性能が大きく向上したと解説し、ディープラーニングは自動運転や翻訳、医療分野など、さまざまな分野での活用が期待されていることを紹介した。

すでにさまざまな分野でディープラーニングが応用されている
ディープラーニングの肝は、多層ニューラルネットワークであり、計算量が膨大となる
ディープラーニングを加速する3つの要因が「DNN」(多層ニューラルネットワーク)、「ビッグデータ」、「GPU」である
ディープラーニングの事例。画像のノイズ除去や、高解像度化(超解像)を実現
世界最強の囲碁棋士を破ったとして話題になった「AlphaGo」は、NVIDIAのGPU50個を用いて3週間トレーニングし、対局では1202個のCPUと176個のGPUを利用して計算を行なった
医療分野での事例。CT画像から、潜在的な頭蓋内出血箇所の特定を行なう
自律走行車にもNVIDIAのGPUを利用したディープラーニングが採用されている
自動運転のデモ。画像からリアルタイムに他の車や歩行者、信号を見分けている
2016/17 Formula Eシーズンにおいて、世界初の自動運転カーレースが行なわれる
自動運転カーレースに出場予定のカーデザイン。ドライバーが乗るスペースは用意されていない

 また、ディープラーニングと同じく注目されている分野としてはVRがあり、GTX 1080でもVRが主な用途の一つとして挙げられている。NVIDIAの矢戸知得氏は、「エヌビディアが実現する究極のヴァーチャルリアリティ」と題したセッションを行ない、VRでは一般的なゲームに比べて約7倍の処理性能が求められることや、GTX 1080にはVRの処理を大きく加速するための「同時マルチプロジェクション」機能があり、VRでは前世代のフラッグシップGPUであったGTX 980に比べて2倍の絶対性能と3倍の電力効率を実現していることなどを解説した。また、同社が開発したVRゲーム「VR FUN HOUSE」を近日中にSteam VRで無料公開し、ソースコードもオープンとすることを発表した。

両目分のレンダリングが必要で、リフレッシュレートも90fps程度が求められるVRは、一般的なゲームの7倍の処理性能が必要となる(なお、このスライドの450億ピクセル/秒は、4.5億ピクセル/秒の間違いである)
VRゲーム「VR FUN HOUSE」を近日中にSteam VRで無料公開する予定
一般ゲームでは、GTX 1080はGTX 980の約1.5倍程度の性能を発揮する
従来はフラットだったディスプレイにも革命が起こっており、カーブやサラウンド、さらには球形やホログラム、VRといった新しいディスプレイが誕生している
GTX 1080に搭載された「同時マルチプロジェクション」は、複数の視点から見た映像を同時に投影できる機能だ
VRでは、GTX 1080はGTX 980の2倍の絶対性能と3倍の電力効率を発揮する

MOD PCで有名な森田健介氏の作品も展示

MOD PCコーナーには、森田氏が制作したMOD PCが展示されていた

 会場には、MOD PCコーナーが用意されており、森田健介氏の作品が展示されていた。森田氏もNVIDIAアンバサダーの一人であり、NVIDIAのコーポレートカラーであるグリーンを採用した山手線PCや戦車型PC、Pascal計算機PCなどが展示されていた。

 また、ULTIMATE TECHNOLOGY THEATERでは、同氏によるセッション「NVIDIAアンバサダー、森田氏制作の最新MOD PCについて語る」も行なわれた。

左が新型山手線車両をモチーフにしたMOD PC、右がNISSAN GT-RをベースにしたMOD PC
GTX 1080のアーキテクチャコードネームであるPascalから、Pascal計算機をイメージして作ったMOD PC
Pascal計算機の箱を空けたところ。グリーンのLED照明が美しい
新型山手線車両をモチーフにしたMOD PCは、ドアが自動で開閉する
こちらは戦車型MOD PC
戦車型MOD PCには水冷システムが組み込まれている

Jetsonの採用事例やドローン、自動運転車なども展示

左がJetson TX1の開発キット。右が前世代となるJetson TK1の開発キット

 Jetson TK1やJetson TX1などの組み込み向け製品に関する展示も興味深かった。Jetson TX1を搭載したドローンや多脚戦車「タチコマ」のほか、ZMPの自動運転車「RoboCar」も展示されていた。Jetsonは、コンシューマーが普段あまり目にすることがない製品であり、熱心に質問をする人もみられた。Jetsonは、いわゆるコンピュータービジョンを得意としており、つくばで行なわれている自律ロボットによるチャレンジ「つくばチャレンジ」の課題である立て看板の認識をJetson TX1を用いて行なう事例などがデモされていた。

 RoboCarには、多数のセンサーやカメラが搭載されており、すでに公道での自動運転実験も実施されているという。搭載システムを直接見ることはできなかったが、NVIDIAのGPGPU技術が使われているとのことだ。

Jetsonコーナー。普段はあまり目にすることがない製品だ
Jetson TX1をベースに設計されたファンレス仕様の組み込み向けシステム
Jetson TX1にキャプチャーカードを搭載し、画像をリアルタイム処理するデモ
つくばで行なわれているロボットチャレンジ「つくばチャレンジ」で認識対象となる立て看板
Jetson TX1を利用して立て看板を識別するデモ。看板の周りに光のエフェクトが加わっている
こちらはJetson TX1を利用して手の指の数をリアルタイムで認識し、その数を表示するデモ
Jetson TX1を搭載したドローン。ディープラーニングによる高度な自律飛行を実現する
ZMPが開発中の自動運転車「RoboCar」。こちらにもNVIDIAのGPGPU技術が搭載されている
RoboCarのフロントガラスの中には、赤いステレオカメラと単眼カメラ×2が搭載されている
前方に3つ、後方に2つレーザーレンジファインダーを搭載する
車内には緊急停止用スイッチが設けられている
RoboCarによる自動運転の様子
攻殻機動隊に登場する多脚戦車「タチコマ」のリアライズプロジェクトによる外装検討モデル。画像処理エンジンとしてJetson TX1が搭載され、画像認識などを行なう
タチコマの側面。サイズは実物の1/2である

eスポーツイベントも大盛り上がり

eスポーツイベントが行なわれた「ULTIMATE ESPORTS」

 道路に面した側に設けられたステージ「ULTIMATE ESPORTS」では、プロゲーマーや声優が参加したeスポーツイベントが行なわれており、大きな盛り上がりを見せていた。

(編集注:この中で実施されたFPSゲーム「Overwatch」のイベントについてはGame Watchが詳細を掲載していますので、そちらも合わせてご覧ください)

プロゲーマーのDeToNator YamatoN氏、DeToNator StylishNoob氏、Oooda氏、声優の伊藤静さんのフォトセッション
FPS「CS:GO」のプロゲーマー頂上決定戦も行なわれた

予約があっというまに埋まったVR体験コーナー

 VR体験コーナーも、本イベントの目玉の一つだ。ヘッドトラッキングやポジショントラッキング、フォースフィードバックなどを含む、本格的なVRを体験できる環境はまだまだ珍しく、Webからの事前予約もあっという間に埋まったという。

 ここではHTC ViveルームとOculus Riftルームの2つの個室が用意されており、快適な環境でVRを楽しむために1人ずつ体験できるようになっていた。VRルーム内で体験している人の様子とその人が見ている映像が、外のモニターに表示されていたのも面白かった。

VR体験コーナーも用意されていたが、快適な環境でVRを楽しむために、HTC ViveルームとOculus Riftルームの2つの個室に分けられ、1人ずつ体験できるようになっていた(事前予約制)
VRルーム内で体験している人の様子と、その人が見ている映像は外からモニターできるようになっていた

ANSELや最新ゲームの体験コーナー、インテルコーナーも人気

 その他、NVIDIAが開発した新機能「ANSEL」のデモコーナーや最新ゲームをGeForce GTX 1080搭載ゲーミングPCでプレイできるゲームコーナーも用意されており、最新GPUの性能を自分の目で確かめたいという人で賑わっていた。また、インテルコーナーもあり、最新の10コアCPU「Core i7-6950X」搭載機の展示やジサトラアキラ氏らによるミニセッション、秋葉原のショップを巡ってスタンプを集めるスタンプラリーなどが行なわれており、こちらにも多くの人が集まっていた。

NVIDIAの新機能「ANSEL」のデモコーナー
ANSELでは、ゲーム中のあらゆるシーンを自由なアングルやレンズを使って撮影することができる
最新ゲーム体験コーナーでは、各社のゲーミングPCが展示され、「DOOM」、「RISE OF THE TOMB RAIDER」、「MIRROR'S EDGE CATALYST」の3タイトルをプレイできるようになっていた
GALLERIAブランドのGeForce GTX 1080搭載ゲーミングPC
こちらはG-GEARブランドのゲーミングPCコーナー
G-GEARブランドのGeForce GTX 1080搭載ゲーミングPC
こちらはiiyamaのLEVEL∞ブランドのゲーミングPCコーナー
LEVEL∞ブランドのGeForce GTX 1080搭載ゲーミングPC
G-TUNEブランドのGeForce GTX 1080搭載ゲーミングPC
1600万円するシャープの85型8Kディスプレイに8K映像を映し出すデモも行なわれていた
こちらはHDRのデモ
インテルコーナーも設けられており、最新の10コアCore i7などのデモを行なっていた
コンシューマー向けCPUとしては初の10コアCPU「Core i7-6950X」搭載機
こちらは6コアの「Core i7-3960X」搭載機
インテルのSSD。左がSATA 6Gbps対応の540Sシリーズ、右がPCI Express対応の750シリーズ
インテルはスタンプラリーによる抽選会も行なっていた
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