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2000年 リムーバブルメディア群雄割拠 その1

~ ZipやORBなど磁気メディア編 ~

期待の次世代FDD(だった)HiFD

 1990年代から2000年始めは、各社から様々なメディアが登場しました。今回は当時、秋葉原の店頭で販売されていたリムーバブルメディアから、磁気ディスクを使用していた製品を紹介します(店名・商品名・価格は当時のもの。すでに閉店しているショップもあります)。

Zip

 ZipはアメリカのIomegaが1994年に開発したリムーバブル方式の磁気メディアです。当時としてはドライブやメディアが安価であったため、発売されると瞬く間にヒット商品となりました。当初、ディスク容量は100MBでしたが、その後、1999年に250MB(Zip 250)、2002年に750MB(Zip 750)という新モデルが発売されています。PCとの接続インターフェイスは主にSCSIやパラレル(プリンタ)ポートでした。

 また、Iomegaからは「Jaz」というリムーバブルハードディスクも発売されていました。こちらはZipよりも高速で容量も最大2GBと大きかったのですが、ドライブが8万円、2GBメディアが2万円(どちらも1998年ころの価格)と高価だったこともあり、PCパーツショップでの扱い店舗は少なかったようです。

青い筐体はZipドライブの特徴の一つでした(1999年2月撮影:T-ZONEミナミ)
筐体デザインが一新したZip 750。最初に発売されたのはUSB接続モデルでした(2002年9月撮影:カクタソフマップ)
内蔵型のATAPIモデルや750MBメディアも発売されました(2002年12月撮影:T-ZONE. PC DIY SHOP)

ORB

 ORBはアメリカのCASTLEWOOD SYSTEMSが開発したリムーバブルHDDです。ORBの創設者で社長のSyed Iftikar氏は、1980年代にリムーバブルHDDで高いシェアを持っていた「SyQuest」社の創設者でもありました。内部の構造やパーツはハードディスクと同じで、ディスク部分がカートリッジとなっています。容量は2.2GBでしたが、価格は5千円程度と他のリムーバブルHDDと比べると安価でした。

内蔵型IDEモデルが輸入されて販売開始。パッケージにはメディアが1枚付属していました(1999年2月撮影:ソフトアイランド 秋葉原店)
新入荷
1999年9月に販売が開始された日本語パッケージ

SuperDisk・HiFD・UHD 144

 SuperDisk、HiFD、UHD 144は、1990~2000年前後に登場したフロッピーディスク(FD)と互換を持ちながらも、大容量メディアが使用できるハイブリッドなドライブです。専用メディアを使うことで、SuperDiskは120MB(後に240MB対応ドライブが発売)、HiFDは200MB、UHD 144は144MBのデータを記録することができました。

 当時のPCには必ずといって良いほど搭載されていたフロッピーディスクドライブ(FDD)からの置き換えを目指していましたが、FDDより価格が高かったことや、FDDがPCに必須では無くなったことで互換であるメリットが薄れ、さらに当時大きなデータのやりとりにはCD-RやMOが使われていたことから普及することはありませんでした。

 なお、FDD互換ドライブの中にはOSからの操作でメディアの取り出しができるものがあり、これは自作PC市場においては好評でした。

240MBに対応したUSB接続のSuperDisk。当時、120MBタイプはバルク品が出回っていましたが、240MBタイプの内蔵タイプが店頭に並ぶことはありませんでした(2001年2月撮影:T-ZONE. PC DIY SHOP)
次世代FDDとして期待されていたHiFD。実際に発売されたのはパラレル接続の外付け型だったため、自作PCユーザーの期待に応えるものではありませんでした(2000年2月撮影:ソフマップ1号店"Chicago")
HiFDメディア
HiFDの内蔵バルクドライブが限定販売。HiFDのバルクドライブが販売されたのはこれが最初で最後だったようです(2000年12月撮影:PS/PLAZA WAKAMATSU)
UHD 144対応のドライブが発売。これはCaleb Technology社が独自に提唱したメディア規格でした(2000年4月撮影:PCiN秋葉原)