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MSIがCESで多数の新製品を発表、300Hz液晶のゲーミングノートやモバイルサイズのゲーミングモニターなど多数
CES 2020 MSI記者発表会レポート text by 石井英男
2020年1月20日 00:01
MSIは、1月6日(北米太平洋時間)に米国ラスベガスで記者発表会を開催した。
この発表会は、1月7日~10日に開催されたCES 2020にあわせて行われたもので、CES 2020の会期中も、この発表会で発表された新製品を含む、さまざまな製品が展示されていた。各ジャンルごとの注目製品については、別途記事化する予定なので、そちらを見ていただきたいが、まずは発表会全体のレポートからお届けしよう。
AIの活用でデバイスをより便利に、ゲーム向けユーティリティ「Dragon Center」も強化
発表会ではまず、MSI CEOのCharles Chiang氏が登場し、MSIは特にゲーマーとクリエイター向けの製品に力を入れていくと挨拶した。
具体的な新製品や新技術の紹介に関しては、ここ数年同社が注力しているというAIに関する話から行われ、Product Management DirectorのClifford Chun氏が解説を担当した。
「AIはMSIにとっての未来」とのことで、SyntiantのAIチップ「NDP 100」を活用し、音声コントロールによるデバイス制御を実現するほか、ゲームのハイライトシーンの自動録画なども可能になるという。また、「CROSSOVER」と名付けられたゲームを一緒にプレイし、シェアする技術により、複数ディスプレイを用いて、ゲームのコーチングなどが可能になる例が紹介された。
これに続き、MSIのゲーミングモデル向けのユーティリティ「Dragon Center」の新機能も紹介。
「Dragon Center」からはオーバークロックをはじめさまざまな制御をおこなうことができるが、2020年版の新たな機能として、FPSゲームの照準の形を見やすい形や色に変更できる「Crosshair Display」、ゲームのハイライトシーンを自動録画する「Game Highlights」をはじめ、「Gaming Mode 2.0」や「MSI Companion」などが新機能として追加されることが紹介された。
MSIはゲーミングだけで無くクリエイター向けのデバイスのにも力をいれているが、クリエイター向けのデバイスにはユーティリティの「Creator Center」が提供されている。
Creator Centerは、白を基調とした見やすいUIを採用しており、クリエイターの作業効率を高めるための機能を搭載。アプリケーションごとに割り当てるCPUスレッド数を設定できる機能や、一番上に持ってきたウィンドウのパフォーマンスを最大化する機能などがあり、クリエイターの快適な作業環境を提供できる点アピールされた。
リフレッシュレート300Hz対応のゲーミングノートを発表「GE66 Raider」と「GS66 Stealth」が2020年後半に登場予定
ハードウェアの新製品でまず紹介されたのが、ノートPCで世界初となるリフレッシュレート300Hz対応液晶を搭載した「GE66 Raider」。
リフレッシュレートが高いほど、FPSのように素早い動きで狙いをつけるゲームなどでは有利とされ、これまでのゲーミングノートPCは最高240Hz対応までだったが、より高いリフレッシュレートを求めるプロゲーマーの要望に応える製品として投入される。液晶の解像度は1,920×1,080ドットで、サイズは15.6インチ。
99.9Whという業界最大クラスの容量を誇る大型バッテリーを搭載していることも特徴で、最大10時間を超える長時間駆動が可能。CPUとして第10世代Coreプロセッサ(末尾H)、GPUとしてNVIDIAの最新のGeForceシリーズを搭載するとされていたが、細かなスペックは未公表だった。筐体の手前側にはカスタマイズ可能なフルカラーLED「Panoramic Aurora Lighting」が搭載されており、派手さの面でも強化されている。
また、「GE66 Raider」は、「Iron Man」や「Rogue One:A Star Wars Story」などのコンセプトアートやモデリングを担当したアーティストのColie Wertz氏とコラボした限定モデル「GE66 Raider Limited Edition」も用意される。Limited Editionは、オレンジとグレーを基調としたカラーのモデルで、天板だけでなく、キーボード面やパームレスト面もデザインが施されている。
リフレッシュレート300Hz対応のモデルとしては、薄型ゲーミングノートPCの「GS66 Stealth」も紹介された。
GE66 RaiderとGS66 Stealthは兄弟機の関係にあり、基本スペックはよく似ている。GS66 Stealthは、薄型軽量化を重視したモデルであり、厚さは19.8mm、重量は約2.09kgとゲーミングノートPCとしては最薄/最軽量クラスの製品となっている。なお、GS66 Stealthについては別記事で詳しく紹介するので、そちらも合わせて見ていただきたい。
ゲーミングノートPCの2モデルに関しては、2020年後半に発売が予定されており、現時点では価格は未定とのことだ。
ステータスやメニューを表示できる有機ELパネルを搭載、最新ゲーミングデスクトップPC「Aegis Ti5」
続いて、ゲーミングデスクトップPCの新製品「Aegis Ti5」が発表された。
Aegis Ti5は、前面上部に大型ダイヤルを搭載していることが特徴。ダイヤルの中央には有機ELパネルが用意されており、CPUクロック周波数や温度などのハードウェア情報が表示され、ダイヤルを回すことで、その表示項目の選択が可能だ。
冷却はエリア毎にセパレートされた構造になっており、発熱の大きなVRM、GPU、CPU、PSUのそれぞれに独立したチャンバーを用意し、効率よく冷却が可能。詳細なスペックや価格については現時点では公開されていないが、CPUは最新世代のCore i9を搭載し、ビデオカードにGeForce RTX 2080 Tiを搭載するとされている。
ゲーミングモニターは新たに3製品が登場予定、ウルトラワイドのほか、カーブが大きくなった湾曲モデルやモバイルモデルも
ゲーミングモニターは3モデルが新たに発表された。
38インチの湾曲ゲーミングモニター「Optix MEG381CQR」は、ベゼル左下に手で回せるダイヤルと小さい有機ELパネルがあり、有機ELパネルにさまざまな情報を表示できることが特徴だ。解像度は3,840×1,600ドットで、アスペクト比は21:9。VESA HDR 600対応で、リフレッシュレートは144Hzまで対応する。曲率半径は2,300mm。
31.5インチの湾曲ゲーミンモニター「Optix MAG342CQR」は、世界初の曲率半径1,000mmを実現した。曲率半径が小さいほど、湾曲が強く、複数台並べたときの占有スペースが狭くてすみ、没入感も向上する。解像度は3,440×1,440ドットで、アスペクト比は21:9、対応リフレッシュレートは144Hz。
「Optix MAG161」は、MSI初のポータブルゲーミングモニターで、ポータブルモデルながら240Hzという高いリフレッシュレートに対応することが特徴。USB Type-Cケーブル1本で接続でき、携帯性も高い。Optix MAG161についても、別途記事で詳しく紹介する。
クリエイター向け製品も多数投入、新デザインのビデオカードや静音仕様キーボード/マウスなど
MSIは、最近クリエイター向けノートPCなどに力を入れているが、今後はノートPCだけでなく、クリエイター向けのビデオカードやキーボード、マウスなども積極的に投入していくことが発表された。
クリエイター向けキーボード「CK40」は、静音性を重視した薄型ワイヤレスキーボードであり、WindowsとMacだけでなく、iPadやiPhoneにも対応していることが魅力だ。クリエイター向けマウス「CM30」も静音性にこだわった製品で、Bluetooth 4.2と独自無線に対応している。CM30については、別途記事で詳しく紹介する。
クリエイター向けワイヤレスイヤフォン「CH40」は、Bluetooh 5.0対応で、重量が5g未満と軽く、充電式バッテリーで24時間の連続利用が可能だ。
ゲーム制作スタジオとも連携、イルミネーション機能をゲームに連動
Clifford氏からは、新製品のほかに、ゲーム制作スタジオとの協力関係なども紹介された。
「Assassin's Creed Odyssey」や「Tom Clancy's: The Division 2」、「Ghost Recon」などがMSIのLEDイルミネーション機能「Mystic Light」に対応。ゲームのシーンに応じて発光色やパターンを変えることができる。
「Ghost Recon」は、MSIの音声コントロール機能やオーバレイ表示機能にも対応しており、音声コントロールによって、ゲームのコマンドを入力したり、小隊全体に指示を与えたりすることができる。
また、「Mystic Light」はサードパーティから販売されている照明機器と連携させることも可能で、壁に貼り付けるタイプのLED照明をMystic Lightで制御するデモも行われた。
Androidのエミュレーターの機能強化や、eSportsコミュニティへの出資も
発表会の終わりには再びCEOのCharles Chiang氏が登場し、ゲストを紹介した。
最初に紹介されたのが、BlueStacks CEOのRosen Sharma氏。BlueStacksは、MSIのゲーミングノートPCなどで利用できる「MSI App Player」の開発をおこなっているベンダー。MSI App Playerは、Androidスマホ用アプリをPCで動かすためのソフトであり、MSIとの協業によって、独自機能を実現していると、Rosen氏は説明した。
Rosen氏によると、2017年には性能と互換性を向上させ、2018年にはイルミネーション機能との連動や240Hz表示への対応を実現した。さらに、2019年にはマルチインスタンス(複数同時起動)に対応し、現在は1台のPCで、最大12個のAndroidゲームを同時に起動することが可能になったという。
MSIはeSportsコミュニティの繁栄にも注力しており、その一つとして、世界最大のeSportsリーグ大会を運営するESLとオフィシャルゲーミングパートナーの契約を結び、大会で使うPCを提供している点をアピール。
また、2015年のDJランキングで世界1位となった人気DJ、Dimitri VegasとLike MikeによるeSportsチーム「SMASH Esports」ともパートナー契約を結んだという。SMASHのチームマネージャのBob Tielemans氏がゲストとして登場し、MSIとのパートナーシップにより、チーム力が強化されたと感謝の意を表した。
最後に、モーションデザイナーのためのイベント「Motion Plus Design」の主催者 Kook Ewo氏が登場し、MSIはクリエイターコミュニティにも注力しているとアピールした。