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今時のゲーミング液晶の選び方、勝つための機能や基本を再確認にしてベストな1台を探そう

GIGABYTE製ディスプレイ独自のゲーム向け機能もチェック text by 白倉甲一

 現在、ゲーミングディスプレイは多種多様なモデルが販売されており、細かい部分にまでこだわって選ぶことができる。ディスプレイサイズや解像度、対応リフレッシュレートにパネルの種類、デザインなど、好みに合わせてかなりの選択肢が用意されている。

 選択肢が多いことは嬉しいことではあるが、逆に多すぎて何を選んだら良いかわからないというユーザーもいるだろう。今回はGIGABYTE製のゲーミングディスプレイを使い、ゲーミングディスプレイを選ぶ際のポイントを再確認してみたい。

 現在のゲーミングディスプレイがどうなっているのか、どんな選択肢が有り、どのような部分をポイントに選ぶべきなのか、ゲーミングディスプレイを初めて購入するユーザーや、GIGABYTEのゲーミングディスプレイに興味のあるユーザーはぜひ参考にしてもらえれば幸いだ。


勝敗が重要ならリフレッシュレートにこだわれ!最新モデルは最大240Hz対応

 ゲーミングディスプレイと言えば高リフレッシュレート。競技色の強いFPSなどでは勝敗にも影響する部分なので、まずはここから解説しよう。

 一般的な液晶ディスプレイの多くは60Hz対応のモデルがほとんどだが、現在のゲーミングディスプレイであれば、144Hzや240Hzといった高リフレッシュレート対応モデルが増えている。

AORUS KD25Fのような240Hz対応ディスプレイはかなり滑らかな描画が可能なので、素早くカーソルを操作しても残像などの影響が少なく、照準を合わせやすい。

 PC側の性能も必要になるが、基本的にリフレッシュレートが高い方が動きが滑らかに描画され、動いているものの視認性も高い。

 また、高リフレッシュレートのゲーミングディスプレイは多くのモデルが応答速度も速く、1msや0.5msといった超高速仕様になっている。この値が小さければ小さいほど画面が早く書き換えられるので、情報が早く表示される。

 加えて、激しく視点を動かしても描画される画面の視認性が高く、ゲームの有利不利が大きく変わる場合もある。特に、FPSなどを遊ぶユーザーはリフレッシュレートの高いディスプレイが有利な傾向があるので、購入する際は意識したい。

あくまでイメージとなるが、左が60Hz、右が240Hzと想定してみてもらいたい。視点を移動した際や場所を移動する際、描画される画面は残像感があったりブレたようにみえるが、高リフレッシュレート環境であれば残像感やブレが減り、視認性が高まる。動体視力が上がったかのような見え方になるので、素早く正確に狙いをつけたり、何かあった際に咄嗟に対応しやすかったりと、高リフレッシュレートディスプレイはかなり有利だ。

 なお、家庭用ゲーム機を接続して使用する場合は、ゲーム機側の制約でフレームレートが60fpsに制限されている事も多く、その場合はディスプレイが高リフレッシュレートに対応していても60Hz動作となってしまう。上限が60fpsのゲームしか遊ばないのであれば、あえて60fps対応のエントリークラスモデルなどからゲーミングディスプレイを選ぶとコストを抑えられる。

ゲームによっては60fpsが最大フレームレートとなっており、高リフレッシュディスプレイの効果を活用できない場合もある。また、家庭用ゲーム機なども60fpsが上限となっていることが多い。応答速度の速さや残像感の少なさといった部分では無駄にならないが、高リフレッシュレートディスプレイ本来の性能は発揮できない点には注意しよう。
高リフレッシュレートモニターはリフレッシュレートを設定しなければ能力を発揮できないので、設定はしっかり行っておこう。


液晶パネルは好みで選ぼう、残像感の少ないTN、コントラスト比に優れるVA、発色優先のIPS

 リフレッシュレートの次はパネルの種類になるが、IPS、VA、TNの3種類から選択することになる。大きく分けてしまうと、残像感やブレの少ないキレのある映像を求めるならTNパネル、明暗の階調表現や色の美しさなどを求めるならVAパネルやIPSパネルとなる。

左からAORUS AD27QD(IPS)、AORUS KD25F(TN)、AORUS CV27Q(VA)。

 反応速度が勝敗に影響するFPSや格闘ゲームなどの場合、応答速度が短く、残像や表示遅延が少ないTNパネルのモデルを選ぶと良いだろう。以前であればTNパネルは発色が悪く映像が美しくないといわれていたが、現在のTNパネルは大きく改良されており、スペックに記載されている視野角の範囲であれば綺麗な画像を楽しむこともできる。

 RPGなど、その世界に浸って楽しむようなゲームであれば、VAパネルやIPSパネルのモデルを選ぶと良いだろう。メーカーのチューニングやパネル自体の質でも変わる部分はあるが、傾向としてはVAパネルは黒の表現にすぐれ、高コントラストな映像を映し出せる。IPSパネルは明暗表現はVAパネルに負けるが、発色や色再現性などに優れる傾向がある。IPSパネルも以前は応答速度の遅さが弱点となっていたが、最近のモデルはかなり改良されている。

 競技寄りのゲームや操作や反応がシビアなゲームを遊ぶのであればTNパネルのモデル、美麗なグラフィックやゲームの世界に浸りたいならVAパネルやIPSパネルのモデルを選んでおけば基本的には失敗は無いだろう。

 カジュアルにゲームを楽しむのであれば、現在のゲーミングディスプレイはどれも高性能なので、見た目のフィーリングで選んでしまっても問題ない。

IPSパネルを採用するAORUS AD27QD。高精彩・広視野角で、現在の一般向けPCディスプレイでもも主流となっている。
TNパネルを採用するAORUS KD25F。色の切り替えが速く、FPS向けゲーミングディスプレイの主流。
VAパネルを採用するAORUS CV27Q。コントラスト比が高く、明暗表現に優れる。どちらかというと特性はIPS寄り。


画面のインチサイズは自分とディスプレイの距離に合わせて選ぼう、近い方がよければ24インチ

 現在のラインナップで一番多いのは24インチ前後。ディスプレイのインチ数は大きければ大きいほど高級だったり高性能と思われる面もあるが、どれくらいディスプレイを自分に近づけたいか、逆に遠ざけたいかで選ぶと良いだろう。

 解像度も影響してくる部分ではあるが、ゲームの場合は視野に画面が収まっていないと情報が把握できないので、画面サイズによりディスプレイと自分との距離が限定されてくる。

左が24.5インチのAORUS KD25F、右が27インチのAORUS CV27F。サイズ違いで解像度が同一の場合、大きいものを選んだからと言って画質が向上するわけでは無い。

 画面から30cm~80mほどの距離で使うのであれば、24インチくらいが画面全体を見渡せるほどよい大きさになるだろう。少し離れてゆったりゲームしたい場合には27インチ程度。ソファーに深く腰掛けてじっくりゲームをするような場合は32インチ以上の大型ディスプレイが最適だろう。

 24インチと27インチでディスプレイと自分の距離感がどの程度になるのか、参考までにキーボードとマウスの設置位置を比べてみたが、24インチから27インチになった場合、20~30cmほど離れて操作を行うかたちになるだろう。

机の前にかぶりつきで遊びたい場合は24インチ前後が良い。
少し力を抜いて画面から距離を開けたい場合は27インチ以上が良いだろう。


画面解像度はゲームとPCスペックに合わせて選ぼう、FPSならフルHD、RPGなら4KやWQHD

 解像度は数値が大きいほど表示できる情報量を増やしたり、細かい部分まで描写可能になるが、用途をゲームに限定した場合、遊ぶゲームに合わせて選んだ方が良いだろう。

左がフルHD(1,920×1,080ピクセル)のAORUS KD25F、右がWQHD(2,560×1,440ピクセル)のAORUS CV27Q。比率はいずれも16:9だが解像度が大きいほ画面辺りのドット数が細かくなる。

 FPSなど競技寄りのゲームはフレームレートが高い方が有利となるため、場合によってはあえて解像度を落として遊ぶこともある。このため、基本的には1,920×1,080ピクセルのフルHDモデルを選んでおくと良いだろう。

 RPGやレースゲーム、フライトシミュレータなどの場合、その世界に浸って楽しむ面もあるので、高解像度であること自体が楽しさに繋がる場合もある。そうしたゲームの場合はより精細感を感じられる3,840×2,160ピクセルの4Kや2,560×1,440ピクセルのWQHDなどの解像度が向いているといえる。解像度を上げることで、より高精細な画質で遊ぶことができる。

 ただし、高解像度の描画を楽しむには高いPCスペックが要求されるので、PCのスペックが高くないのであれば、無理に4KやWQHDのモデルを選ぶ必要はない。

同じ倍率のウィンドウを並べた場合に、WQHDの方がスペースを広く使える。左はフルHDのAORUS CV27F、右はWQHDのAORUS CV27Q。
ゲーム画面での比較。同じシーンをカメラで撮影して切り出したものだが、WQHDの方がより細かい部分まで描画されている。


正確性重視ならフラットタイプ、没入感重視ならカーブタイプがお勧め

 現在のゲーミングディスプレイは、標準的なフラットタイプと、緩いRを描いたカーブタイプのディスプレイが販売されている。

 基本的にはフラットなタイプを選んでおけば問題ないが、RPGやレースゲームなどの場合、カーブタイプの方が視界をディスプレイで埋めやすいこともあり、没入感を高めることができる。

左奥がフラットタイプ、右手前がカーブタイプ。今回の例では16:9の湾曲率1500R。

 カーブタイプのディスプレイは、基本的には横に広いディスプレイほど恩恵を受ける技術ではあるが、フラットタイプよりも画面を顔に近い位置関係に配置できるので、ゲームの世界に浸りたい場合などは通常比率のモデルでも恩恵がある。

 RPGやレースゲームなどは没入感が楽しさに繋がる部分が大きいので、特にこうしたジャンルのゲームを楽しむユーザーにお勧めしたい。

 FPSなどの場合は、表示されている内容を正確に読み取る部分が重要な面もあり、緩いカーブでも違和感を感じることがある。慣れ次第といったところでもあるのだが、現状、FPSなどをメインに楽しむ場合はフラットタイプを選択しておいた方がいいだろう。

画面全ての情報を目視する必要がある場合はフラットタイプが適している。
画面全ての情報を常に把握する必要がない場合は、カーブタイプのディスプレイを選んで少し寄って使用するのも良いだろう。画面が視野にピッタリ収まるように設置した場合なども、カーブタイプの方が没入感が高まる。


シューティングやリズムゲームをするならピボット機能付きモデルを、台座の機能もチェック

 今時のゲーミングディスプレイであれば、台座はほとんどのモデルが高さ調節や角度調節機能を備えている。このため、そこまでこだわる必要はないのだが、シューティングゲームやリズムゲームなどを遊ぶといったユーザーは、画面の縦横の向きを切り替えられるピボット機能の有無を確認してもらいたい。

AORUS KD25Fのスタンド、本体部からの電源供給でLEDライティングが可能。

 ピボット機能は普段あまり使う機会はないが、アーケードから家庭用などに移植したシューティングゲームやリズムゲームの場合、画面を縦表示にすることでより快適に遊べる場合もある。遊ぶゲームタイトルによる部分ではあるが、縦表示対応のゲームを遊んでいるユーザーはピボット対応のモデルを選んだ方が良いだろう。また、ゲーム用途以外ではサブディスプレイなどとして使用する際に縦にできると、攻略サイトやニュースサイト、SNSのような縦方向に長いデザインのコンテンツ閲覧に便利だ。

半回転させることで縦方向での使用が可能。今回チェックしているGIGABYTEのモデルはすべて対応している。
VESAマウントに対応したネジ穴。100x100mm、75x75mなどが一般的な規格。

 もう一つ、スタンドを見る際に気にしてもらいたいのが、取っ手の有無だ。ディスプレイを移動する機会がそこそこあったり、大会などに持ち込む予定があるのであれば、取っ手があるとかなり便利だ。

 また、ディスプレイアームを使うユーザーであれば、VESAマウント規格に対応しているかも見ておきたい。ゲーミングディスプレイは台座のデザインなども凝っていることが多く、台座と液晶パネルが分離できないモデルも存在する。後から追加などができない機能なので、購入前に確認しておきたい。


より滑らかにゲームを遊びたいならFreeSync/G-SYNC対応ディスプレイ、入力端子構成にも注意

 高リフレッシュレートでPCからディスプレイへ映像出力する際には、データのやりとりでそれなりの帯域量が必要になるため、ゲーミングディスプレイはDisplayPortをメインに使用することが想定されたモデルが多い。

 ディスプレイの機能をフルに使用できるのはDisplayPort接続時のみといったモデルや、DisplayPort / HDMIともに対応する機能に差がないモデルもあったりと、この辺りは個々のモデルよって変わってくる。ポートごとに入力できる最大解像度の信号が違うケースなどもあるので、自分の使用している環境と組み合わせて問題ないか確認しておこう。

 現在のゲーミングディスプレイであれば、FreeSyncやG-SYNCといったディスプレイ同期技術への対応や、よりダイナミックレンジの広い表現が可能なHDRへの対応が高機能モデルの特徴となっている。

最近のゲーミングディスプレイは、PC以外の映像出力機器用にHDMIポートが複数用意されていることも多い。DVIやVGAは無くなりつつあるので古めのPCなどを接続する場合には端子の構成に注意しよう。

 FreeSyncやG-SYNCは、画面の描画が破綻するティアリングや、垂直同期を利用した際にフレームレートのバラツキにより描画がカクつくスタッタリングといった現象を抑制するディスプレイの同期技術だ。ティアリングやスタッタリングに関してどのようなものなのか知りたい場合は、僚誌PC Watchの解説記事を確認してもらいたい。

 また、G-SYNCがどのような機能なのかはPC Watchに解説記事が掲載されており、、FreeSyncに関してはAMDのサイトにQ&A集が用意されているので、詳しく知りたい場合はそちらも参考にしてもらいたい。

 以前であれば、FreeSync対応ディスプレイはG-SYNCは利用できず、G-SYNC対応ディスプレイであればFreeSyncは利用できないといった状況だったが、G-SYNCと一定の互換性があると認められた高性能ディスプレイに対してG-SYNCの機能を利用可能にする「G-SYNC Compatible」といった取り組みも行われており、高機能なディスプレイ同期技術は導入しやすい環境が整いつつある。

 なお、基本的にG-SYNCはDisplayPortで使用することを前提とした機能で、FreeSyncはDisplayPortとHDMIの両方で利用できる。これらの機能を利用可能かどうかは、ディスプレイ側のDisplayPortとHDMIにどのバージョンのものが採用されているかにもよるので、購入予定のモデルのスペック表を確認しておきたい。

画像はティアリングが発生した際のもので、画面下4分の1辺りのところで画像が破綻してしまっており、高フレームレートが出ていても滑らかに感じない原因になる場合もある。FreeSyncやG-SYNCに対応していれば、こうした画面破綻の発生を防ぐことが可能だ。

 HDRはこれまで表現できなかった光の中の階調や、暗い部分の階調を表現するもので、グラフィックに注力したゲームのライティング表現などにグッと深みが増すようになる。DisplayPortであれば1.3以降、HDMIであれば2.0a以降がサポートしている。

 現時点では恩恵を受けられるゲームタイトルは少なく、対応の有無が有利不利に直結するものではないので、無理に対応モデルを購入する必要はないが、効果はしっかりあるので、遊びたいゲームがHDR対応の場合にはぜひ試してもらいたい機能だ。

HDRは通常のディスプレイでは表示しきれない階調も表現可能にする技術だ。赤い丸印の部分を注視して貰うと、HDRをONにした場合の方が太陽の輪郭がハッキリと映っており、明るい空間の階調もしっかり描画されていることがわかる。普通のディスプレイでは白飛びしてしまうが、HDR対応ディスプレイであれば描写が可能だ。