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“暴れ馬”Core i9-11900Kの性能を存分に引き出せるMSI「MEG Z590 ACE」を徹底テスト!
第4のブースト機能“Adaptive Boost Technology”をより深く試してみた!! text by 加藤 勝明
2021年5月1日 00:00
ABTに新たな選択肢
Rocket Lake-SはZ490などの旧世代マザーでも問題なく動かすことができるが、最新のZ590チップセットでないとサポートされない機能がある。Core i9-11900K/KFに組み込まれた新しいブースト機能「ABT(Adaptive Boost Technology)」がそれだ。第11世代Coreのブースト機能は全モデルに搭載されている「Turbo Boost 2.0(TB2.0)」、Core i7以上に搭載されている「Turbo Boost Max Technology 3.0(TBM3.0)」、そしてCore i9限定で「Thermal Velocity Boost(TVB)」がある。各ブースト機能はそれぞれ効く条件(アクティブコア数や温度などの余裕)があるが、ABTはアクティブコア数が5~8基のときに全コアを5.1GHzまで動かすことができる。
ABTを使うにはCore i9-11900K/KFを搭載したZ590マザーが必要だが、その上でABTに対応したUEFI BIOSに更新されていること、さらにUEFI BIOSの設定でABTを有効にしておく必要がある。
今回の検証では、4月下旬に、MSIよりβ版UEFI BIOSの提供を受けて検証したが、そこでMSIが独自にABTに新しいモードを追加していることが確認された。基本的にABTは無効か有効の2択だが、7D04IMS.113ではさらに「ABT 251W」なる設定が存在する。この設定の詳細までは提供されなかったが、通常のABTはCPUのPower Limit(PL1およびPL2)が無制限(4096W)となり、CPUの限界までブーストがかかるが、ABT 251Wの場合はPL1およびPL2が251Wに制限される。
MEG Z590 ACEのファクトリーデフォルト設定では、PL1とPL2はともに無制限なので、ABT 251W設定はCPUの全コアをフルパワーで回す時間を短く抑えつつも、PL1/PL2 251Wの範囲で収まるような軽い処理(Webブラウジングや大半のゲームなど)では、ABTを効かせてレスポンスを上げるというコンセプトだと推察される(これは後ほど検証しよう)。とくにCPUの冷却に制限があるような構成ではABT 251Wを選択することをオススメしたい。
MSI独自ツールにも注目
続いてMSIの独自機能にも目を向けてみよう。以前は「Dragon Center」というユーティリティがドライバCDに収録されていたが、MEG Z590 ACEでは設計を一新した「MSI Center」というより新統合アプリに変更されている(Windows 10のストアアプリから無料でDL可能)。最大の特徴は、ユーザーが使う機能を後から選んで追加するインストールするという構造に変わったことだ。この手のマザーメーカー独自ユーティリティでは、ゲームで遊ぶつもりはないのにゲームに特化した機能を入れられたり、RGB LEDに興味はないのに制御機能を組み込まれたり――ということが多く、使わない機能が行ってしまうことを煩わしく感じてしまうことも少なくなかったので、使う機能に絞って導入できるのは非常にありがたい。
MSI Centerのもう一つの特徴は、“AI”を活用した機能がいくつか追加されたことだ。CPUクーラーやMSI製ビデオカードのファン回転数制御機能にはじまり、オーディオ入出力に対するノイズキャンセル機能、クリエイティブ系アプリ利用時のパフォーマンスを向上させる機能などがそれだ。すでに他メーカーで実装されてきた機能の後追いではあるものの、MSI製マザーで利用できるようになった点は素直に喜びたい。