あなたのPC大改造計画
ドラクエXをAPUで快適に!ゲーム機を超える快適さを目指せ!!(前編)
text by 清水 貴裕
(2015/11/26 11:31)
AKIBA PC Hotline! 読者のPCが抱える問題を、編集部とライター陣が解決するという読者参加型企画「あなたのPC大改造計画」の第7回目がスタート(6回目までの模様はこちら)。今回の依頼者は神奈川県にお住まいのMさんだ。
Mさんは親戚や知人のPC環境構築やトラブルシューティングを請け負っているそうだが、その都合上Windows 10環境が必要になったため、Windows 7環境の自作マシンを無償アップグレードすることにしたという。
あなたのPC大改造計画:記事一覧 |
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早速CPUやメモリ、HDDを交換してマシンを強化しWindows 10への無償アップグレードに臨んだMさんだったが、アップグレード後にビデオカードが正常に認識されないというトラブルが発生。試行錯誤するも解決に至らなかったので、現在はWindows 7に戻して使っている。
PCのトラブルサポートをしている都合上、Mさんの手元には使っていないパーツがいくつかストックされているので、それらを有効に活用して現在のマシンをアップグレード出来ないかと思い立ち、本企画に応募されたそうだ。
ひとまずは、Mさん宅に伺ってマシンの現状把握とアップグレードに使えそうなパーツの目星を付けたいと思う。
目標はWindows 10環境の構築とドラゴンクエストXの快適プレイ!
まずは、今回の改造対象のマシンをチェックしつつ、Mさんの不満点を洗い出していこう。
MさんのPCはスリムタイプのmicroATXケースをベースとしたマシンで、CPUはCore 2 Extreme X6800、メモリは4GB分のDDR2メモリ、ビデオカードはRadeon HD6450が搭載されており、ストレージは500GBのHDDだ。その他には1000BASE-T対応のLANカードやサウンドカードとしてAUDIOTRAKのPRODIGY HD2が増設されている。
気になったのはマザーボードで、P4M890というチップセットを搭載するASUSのP5VD2-MXが使われている。これは過去にVIAがIntel CPU向けに供給していたもので、Windows 10にコイツのドライバがない事がアップグレード時のトラブルにつながっているようだ。
以前のCore 2 Duo世代マシンを使ったアップグレード検証記事では、チップセットがIntel P965だったのでWindows 10の導入が出来ていたが、搭載チップセットによってはドライバが当たらずにトラブルになる場合があるということだろう。
マシンの主な用途だが、Mさんはメインマシンとして普段はMacBook Proを使用しており、こちらはMさんやご家族が「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン」(以下、ドラクエX)をプレイするために使っているそうだ。
【今回のアップグレード対象PC】
■スペック
CPU:Core 2 Extreme X6800(2C2T、2.93GHz)
マザー:ASUS P5VD2-MX(VIA P4M890)
メモリ:DDR2 2GB×2
グラフィック:XFX Radeon HD6450(AMD Radeon HD6450、1GB)
ストレージ:SEAGATE ST2000DM001(HDD 500GB)
電源:ケース付属(300W)
サウンド:AUDIOTRAK PRODIGY HD2
PCケース:KEIAN KT-MH803
CPUクーラー:リテールクーラー
OS:Windows 7 Professional 32bit版
■主な用途
・Windows版ドラクエXのプレイ
Mさんとそのご家族は大のドラクエ好きで、このドラクエXを皆で楽しまれているそうだ。しかし、このマシンでプレイすると、フルスクリーンモードでは動作がカクつくため、普段は解像度を1280×720に設定してウィンドウモードでゲームをプレイしているという。
公式ベンチマークである「ドラゴンクエストX ベンチマークソフト Ver.1.4k」を走らせてもらったところ、普段プレイしているウィンドウモードの設定では、スコアは4159を記録し評価も“普通”となっていた。ベンチマーク中の画面も多少はカクつきがあるものの、我慢すればプレイできるレベルだった。
そしてフルスクリーンモードでベンチマークを実行してもらうと、画面はかなりカクカクになってしまう。スコアは1863まで落ちて評価は“重い”になってしまった。モニタの解像度がWUXGA(1920×1200)というのも多少は影響しているのかもしれないが、マシンパワーの低さこそがゲームがカクつく最大の原因だろう。「ゲームプレイは可能ですが、全体的に動作が重く感じられます」とのメッセージが出ていたが、到底満足にプレイ出来そうにない感じだった。
[清水]フルスクリーンにするとカクカクになりますし、ウィンドウモードでは没入感が損なわれますし、この点はアップグレードでなんとかしたいですね。
[Mさん]実はWii Uでプレイする方が快適だったりします…(苦笑)
[取材班]?!(思わず絶句)
どこかで経験したやり取りな気がしなくもないが、ゲーム機に負けているというこの現状は、大改造で是非とも解消したいポイントだ。ドラクエXが快適に動作するマシンに仕上げるというのは、Windows 10環境へのアップグレードと同じくらい重要なミッションと言える。
予算3万円+ストックパーツ 今回の改造方針はコレだ!
今回、Mさんから掲示されたアップグレードの予算は3万円。Mさんから課せられた唯一の条件は、手持ちのA10-7870Kを使用してアップグレードを実行するという事のみ。予算的にAPUを使ったアップグレードプランを考えていたので、これはむしろ好都合だ。
気になるストックパーツだが、ATXマザーに対応のスリムケースと、DDR3-1600の8GBキットが使えそうな感じなので、これらを利用してプランを組み立てようと思う。
【今回の方針】
【目標】
■Windows 10の導入
■Windows版ドラクエXが快適に遊べるマシンにする
▼CPU
Mさん手持ちのA10-7870Kを使用。ビデオカードの追加は行わず、APUの売りである内蔵グラフィックス機能を利用する。CPUクーラーは製品付属の物を使う予定だ
▼マザー
MさんがストックしていたATX対応ケースを使用するので、ATXサイズのマザーが使える。選択肢は少ないが、長く使うことを考えてコンポーネントの品質がしっかりとした物を選びたい。今回はASUSさんがマザーを提供して下さる事になった。
▼メモリ
容量は8GBもあれば十分。MさんのストックパーツであるDDR3-1600の8GBキットを利用するつもりではあるが、APUの内蔵GPUはメインメモリの一部をビデオメモリとして使用するので速度の面で少し心許ない。予算に余裕があれば、DDR3-2133クラスの製品を狙うのもありか。
▼ストレージ
起動速度やアプリ立ち上げ時のレスポンスなど、体感速度に影響する部分だけに、予算に余裕があれば導入したいところ。後々、他のゲームもやりたくなった時の事を考えて、256GBクラスの製品を選んでおきたい。
▼ケース
ATXマザーに対応したスリムタイプのケースをMさんがストックしていたのでこれを利用する。電源は現在利用されている550W電源をそのまま使う。
▼OS
Mさんの手持ちのWindows 7が32bit版というのが最大のネック。無償アップグレードして32bit版のWindows 10にするか、新たに購入するかは迷うところだ。メモリ容量も増える事だし、せっかくなので64bit版にしたいところ。
ビデオカード無しでもある程度の3D性能を発揮できるAMD製のAPUは、低コストでマシンをアップグレードする場合には魅力的な選択肢だ。スリムケースに組み込んだ際の発熱が唯一心配だが、ケースファンの追加やグリスの変更で乗り切りたい。
編集部からのプラスαは現時点では未定だが、マシンの快適性を高めるパーツにしたいところ。あなたのPC大改造計画では初のAPUを使ったアップグレードがどうなるのか、乞うご期待だ!
【後編はこちら】
【“大改造計画”イベント開催します】
当企画の連載第6回、「マインクラフトの実況PC」をテーマにしたイベントを、11月28日(土)に名古屋で、12月5日(土)に大阪でそれぞれ実施します。
連載で掲載した、影MODを使ったハイエンドなマインクラフト環境や、動画実況を行うために必要な構成、考え方をライター加藤勝明氏が余すところなく解説予定。興味のある方は、こちらをご参照ください。
[制作協力:ASUS]