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“ドン勝”や人気タイトルでチェック!Core i7とRyzen 7、ゲームに強いのはどっちだ?

text by 加藤勝明

ゲームの前に基本性能を確認

 ゲームのベンチマークの前に、各CPUの基本的パフォーマンスを非ゲームベンチで確認してみよう。まずはCPUの性能比較の定番「CINEBENCH R15」のスコアをチェックしよう。

 Ryzenのパフォーマンスの高さをもっとも実感できるのがマルチスレッド処理に最適化された3DCGレンダリングのような計算処理だ。物理8コアのRyzen 7 1700Xを筆頭に6コアのRyzen 5 1600Xにいたるまで、マルチスレッド性能はCore i7-7700Kを大幅にしのぐ。ただ、RyzenシリーズはCore i7/i5に比べシングルコア性能が若干落ちる。この特性を頭に入れておこう。

 続いてはPCの総合性能を見るベンチマークとして「PCMark 8」を使う。テストはライトユーザーを想定した「Home Accelerated」を使用する。

 Home Acceleratedテストは負荷が軽く、ハイエンドCPUやGPUのパフォーマンスを使い切るのは難しい(後継のPCMark 10の登場が待たれるところだ)。そのためスコア差は小さいが、Ryzen 5 1600Xが頭一つ抜け出している。Core i7やi5はゲーム性能(Casual Gaming)でスコアを稼いだが、ビデオチャット(Video Chat PlaybackおよびEncoding)ではRyzenが好成績を収めている。

 この理屈だとRyzen 7 1700Xよりコア数の少ないRyzen 5 1600Xのスコアが高くなるのは一見筋が通らないが、どうやらRyzen 5 1600XのCPUクロックがRyzen Balanced設定であってもほとんど落ちないことに原因があるようだ。

PCMark 8のテスト中におけるCPUクロック(紫)の比較。左がCore i7-7700K、右がRyzen 5 1600Xだが、前者はアイドル時にクロックを下げて消費電力を低減しているのに対し、後者はBalanced設定であってもたいして落ちない

 グラフィックス性能を比較する「3DMark」のスコアに差が出るかもチェックすべきだろう。テストは“Fire Strike”および“Time Spy”を使用した。

 3DMarkはCPUで物理演算をさせた場合のパフォーマンスも考慮するため、CPUの計算性能もスコアに影響する。DirectX 11ベースのFire StrikeではCore i7-7700Kがトップ。Ryzen勢はRyzen 7 1700XとRyzen 5 1600Xがほぼ同スコアなのはコア数よりもクロックが効いたためと言える。だがDirectX 12ベースのTime Spyではコア数が多くクロックも高いRyzen 7 1700Xがトップに立ち、Core i7-7700KはRyzen 5 1600Xと同等という順位逆転が発生した。

 以下のグラフは両テストにおける詳細なスコアを比較したものである。

Fire Strikeで実施される小テストのスコア比較
Time Spyで実施される小テストのスコア比較

 どちらのテストでもGPU寄りの“Graphics Test”ではCore i7が安定して強い一方で、CPUを酷使する“Physics Test”および“CPU Test”はRyzenが圧倒的に強い。ただし、Fire StrikeでGPUもCPUもフル回転させる“Combined Test”では、Ryzenが大きくスコアを落とす。この辺りがRyzenの克服すべき弱点なのかもしれない。