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コンパクトPCの基礎知識【今、本当に欲しい自作PC⑤】

DOS/V POWER REPORT 2023年秋号の記事を丸ごと掲載!

POINT 1 意外と幅広い“Mini-ITX”

マザーボードは17cm四方
Mini-ITXで規定されているのは、17cm四方というサイズと四隅のネジ穴の位置、バックパネルの位置程度。CPUクーラーは搭載ソケットのものが使えるが、ソケット周囲が密で干渉するものも

 小型PCを作るときによく利用するのがMini-ITXフォームファクター。拡張スロットは1本のみ、メモリスロットも2本に制限されるが、対応マザーボードは17cm四方と非常にコンパクト。M.2スロットを表面だけでなく基板の裏側に実装したり、2階建てのように小さな基板を重ねたり、限られた面積の中でさまざまな工夫をこらした製品が存在する。

これぞMini-ITX!!な超小型ケース
In WinのChopin Maxは217×244×84mm(W×D×H)という超小型ケース。拡張カードは使えず、CPUクーラーも高さ5.4cmまでなど制限はキツいが密度感は随一

 この小型マザーボードを収納できるのがMini-ITXケースだ。かつてはMini-ITXマザーボードがギリギリ収まるサイズのものが主流だったが、近年は大型ビデオカードや大型ラジエータをラクラク搭載でき、microATXケースと大差ないサイズのものが登場している。最近のビデオカードは2スロット以上の厚みを持ったものが大半なこともあり、小型ケースであっても2~3スロット分の拡張ブラケットを備えたものが増えている。

これもMini-ITX!?な大型ケース
Fractal DesignのTorrent NanoはmicroATXケース並みの拡張性を備えたタワー型。前面には18cm径ファンを内蔵し、33.5cmのビデオカードや24cmラジエータを搭載できる

POINT 2 そのほかのパーツのチェックポイント

 上で解説したように、Mini-ITXケースの中にはmicroATXケース並みのサイズを持ち、搭載するパーツにほとんど制限のないものもあるが、それでもいくつか事前に確認したいポイントがいくつか存在する。

搭載できるビデオカードのカード長はケースによって千差万別。用途によってビデオカードを選び、そのカードが問題なく入るケースを探そう。厚みの制限に関しても見落とさないように

 まずはビデオカードだ。カード長に制限のあるもの、拡張ブラケットが1 ~ 2本分しかなくクーラーの厚みでほかのものと干渉することがある。CPUクーラーも高さに制限が付きやすい。なかにはリテールクーラーも取り付けられず、低背のトップフロークーラーの購入が必須なことも。ATX電源ではなくより小型なSFX電源を利用する場合はこうした制限が緩和されるパターンもよくある。

ケースによっては搭載可能なCPUクーラーがかなり制限される。K型番のCPUを使いたいのに小型クーラーしか付かないようなミスマッチが起きないように、自分の中の優先度を決めておこう

 内蔵ストレージ用のベイが少ないものも多いが、これはATXケースであっても少ないのが最近のトレンドだ。Mini-ITX特有の問題として、マザーボードが備えるM.2スロットが少ない点がある。拡張スロットで増設するのも限界があり、できるだけ大容量のSSDを搭載することでカバーしよう。

最近のATXマザーボードは4 ~ 5基のM.2スロットを備えたものがめずらしくないが、基板上の面積が限られるMini-ITXマザーボードでは2基が限度。個々のドライブの容量を増やす方向で考えたい

POINT 3 これらを踏まえてプロにムチャブリオーダー

毎号「最新自作計画」で作例を披露し、PCケースの連載も担当する竹内氏は、プライベートでは大のMini-ITXラバー。小型NASとして運用可能な小型サーバーをリクエストしてみた。
冷却パーツや電源の企画を担当してもらうことの多い石川氏には、そうした知識を活かせるであろう、パワフルな小型マシンをオーダー。もっともムチャブリだった気もするが、成果やいかに?

[TEXT:編集部 遠山健太郎]

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