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発色の良さは段違い、ゲーミング性能も高い4K有機ELモニター「MPG 321URXW QD-OLED」
付属ケーブルも真っ白なホワイトにこだわった1台 text by Windlass
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- MSI
2025年2月26日 00:00
有機ELのゲーミングモニターを使い込んでいるユーザーはどれくらいいるだろうか。筆者はじっくり使ったことはなく、今回のレビューで紹介するMSIの「MPG 321URXW QD-OLED」が初めての有機ELゲーミングモニターと言っても過言ではない。
MPG 321URXW QD-OLEDは、31.5インチ/4K解像度のQD-OLEDパネルを採用するモデルで、リフレッシュレートは最大240Hz、応答速度は0.03ms(GTG)。色域もDCI-P3 99%と広く、発色の良さにも期待できる仕様。数値上はかなりのハイスペックとなっているが、有機ELのゲーミングモニターを使ったことが無い筆者のようなユーザーが驚くほどの体験ができるのか、スペック値通りにゲーミング性能も高いのか、実際の使用感と合わせて本機の特徴を紹介しよう。
31.5インチのQD-OLEDパネルゲーミングモニター4K解像度/240Hz対応の高性能モデル
まずMPG 321URXW QD-OLEDの基本的なスペックを見て行こう。
外観は白を基調とし、パネル部分は3辺狭額縁のすっきりとしたデザイン。有機EL(OLED)のパネルサイズは31.5インチで、解像度は3,840×2,160ドット。量子ドットを組み合わせたQD-OLEDパネルを採用し、リフレッシュレートは最大240Hz、応答速度は0.03msで、4K解像度のゲーミングモニターとしては最速クラスの仕様だ。
本体サイズは約718×242×483mmで、重量は約9.6kg。最大表示色は約10億7,300万色、コントラスト比は1,500,000:17、電源は内蔵型。保証期間は3年間となっている。
誰が見てもわかるレベルの圧倒的な発色の良さ色の鮮やかさも深さも高レベルな美しい画面のゲーミングモニター
MPG 321URXW QD-OLEDを使って一番初めに感じることは発色の良さだろう。PCが起動して壁紙が表示された瞬間、発色の良さと色の深みに驚かされたAdobe RGBやDCI-P3を99%カバーするような広色域ディスプレイを常用しているユーザーでなければ、画面を見た瞬間に表示が美しいディスプレイだと感じるはずだ。それくらいに発色の良さははっきりとわかるレベルで優れている。
MPG 321URXW QD-OLEDが採用する量子ドット搭載のQD-OLEDパネルはサブピクセルの配置が改良された新しい世代のものが使われており、こうした点が色の美しさに繋がっているのだろう。
筆者は普段VAパネルとIPSパネルのゲーミングモニターを常用しているが、これらとは発色の傾向がかなり違うことを感じさせられた。自分で撮影して普段壁紙に使用して見慣れている写真も、MPG 321URXW QD-OLEDで表示されるとグラデーションが美しく、奥行きが感じられる深みのある色合いで表示され、違った写真に見えるレベル。発色が良くなることで写真を立体的に感じられるようになるほどだ。
また、ただ発色が良いというだけではなく、色域はDCI-P3カバー率99%、Adobe RGBカバー率97%、sRGBカバー率100%と、色の再現性にもこだわった点も特徴。工場出荷時にキャリブレーションも行われており、Delta E≦2と色差も小さい状態に調整されている。視野角も広く、デザイン用途にも十分利用できるものと言えるだろう。
240Hz対応かつ残像間の無さが特徴のゲーミングモニター31.5インチが大きすぎる場合に27/24.5インチ相当として利用可能にするモードも搭載
MPG 321URXW QD-OLEDは発色が良いだけではなく、リフレッシュレート240Hzの本格的なゲーミングモニターでもある。いくつかゲームをプレイして性能を確かめてみたが、FPSなど動きの速いゲームでも残像感をほぼ感じることはなくプレイできた。残像感の少なさを数値化した指標としてはVESAのClearMR認証があり、MPG 321URXW QD-OLEDは11段階中最上位のClearMR 13000の認証を取得している(※2025年2月時点)。
こうした表示の速さだけでなく、発色の良さや31.5インチのサイズ感も相まってゲームの没入感は高い。ゲーミングモニターとしてかなり高性能なモデルと言える。
MPG 321URXW QD-OLEDで問題になることがあるとすれば、それは画面サイズが大きいことだ。大画面は没入感を高めてくれる半面、ゲームによっては画面全体の情報を把握しにくくなることもある。そうした問題を解決するために、ディスプレイ表示サイズ調整機能を搭載している。表示領域を27インチ、または24.5インチに切り替えられる機能で、FPSなど競技性が高いゲームで活用できる機能だ。
この機能は思いのほか使い勝手がよく、画面サイズが大きいほうが没入感の高まるRPGなどでは31.5インチフル表示で使用したり、視線移動の範囲をある程度狭くしたいFPSなどでは24.5インチの領域で使用したりと、遊ぶゲームに合わせてOSDメニューから簡単に切り替えて使用できる。
表示領域の大きさを変えたければ2台のモニターを用意する必要があるが、この機能があれば1台で賄うことが可能になる。実際に使ってみると、想像していたよりもメリットが大きい機能だと感じた。
DP/HDMI/USB Type-Cの3タイプの接続に対応USBハブ機能や90WのUSB PD給電、KVM機能も搭載
続いて入出力端子を見ていこう。接続ポートはHDMI 2.1×2、DisplayPort 1.4a×1、USB Type-C(DP Alt mode、USB PD)×1、USB 2.0 Type-A(USBハブ機能)×2、USB 2.0 Type-B(PC接続用)×1、ヘッドホン出力×1を備えている
Adaptive-Syncにも対応しているので、対応GPUを利用すればより滑らかな表示も行える
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ここで注目したいのはUSB Type-Cポートが備えるUSB PDによる90Wの給電機能だ。スマートフォンなどの接続を想定して給電出力が小さいディスプレイも販売されているが、MPG 321URXW QD-OLEDは90W給電となっており、ゆとりのある数値になっている。USB PD充電対応のノートPCは45Wか65Wに対応しているモデルが多いので、モバイルノートPCであれば多くのモデルで利用できるだろう。もちろんタブレットやスマートフォンへ給電しながら利用することも可能だ。
そして付属のUSB Type-A-TypeBケーブルをPCに接続することで、モニター背面にある2ポート分のUSB 2.0を使うことができる。このポートにマウスとキーボードを接続することで2台のPCで共有することができるKVM機能にも対応している。KVM機能を使用するには接続に条件があるので使いたい場合マニュアルをチェックしておこう。
設定はWindows上から簡単に変更可能直接操作も考慮して背面のスイッチも扱いやすい形状に
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MPG 321URXW QD-OLEDにはWindows上から設定の変更が行えるユーティリティ「Gaming Intelligence」が用意されている。輝度やコントラスト、色温度など基本的な画質の調整のほか、ゲーム向け機能の「AIビジョン」の設定やブルーライトカット機能、イルミネーションカラーの変更なども行える。頻繁に設定を変更するユーザーが便利なのはもちろん、初めに設定を作りこむ際もマウス操作が行えるは操作が楽だ。
ユーティリティからの設定変更が楽ではあるのだが、MPG 321URXW QD-OLEDは本体内蔵のOSDメニューを使って設定変更する際の利便性も考慮されている。
操作ボタンの配置なども考えられたものになっている。相場ボタンは左が電源ボタン、中央がトグルスイッチ、右がマクロボタンとなっており、触ったときにどのボタンかわかりやすくなっている。PC用のモニターはモデルによっては操作ボタンがすべて同じ形状で複数個搭載されていたり、視認しないとどのボタンかわからない配置だったりするモデルもあるが、そうしたモデルは操作がしにくくイライラさせられることもある。MPG 321URXW QD-OLEDに搭載されたボタンは誤操作が減る様に考慮された構造になっており、実際に使ってみると良さを感じる部分だ。
ユーティリティが使えない環境で設定を変更する際などには使用することになるので、こうした部分がよくできているに越したことはないだろう。
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有機ELパネルの劣化を抑える機能を多数搭載良い製品を長く使いたいユーザーのための「OLED Care 2.0」
有機ELパネルは発色やコントラストの面で優れている反面、構造上焼付きが発生しやすかったり映像素子ごとに劣化のスピードにばらつきが出やすかったりするデメリットが存在する。こまめにスクリーンセーバを起動させたり、輝度を下げて使用したりすることである程度抑制できるが、せっかく良いモデルを購入したのだから、最高性能でかつ手間をかけずに最高性能で使いたいというのがユーザー心理だろう。
MPG 321URXW QD-OLEDには有機ELパネルの劣化を抑制する機能が複数搭載されており、「OLED Care 2.0」としてアピールされている。
タスクバーやロゴマーク、境界部分などを検知し、焼き付きが起こりそうな部分の輝度を自動調整して保護する機能や、有機ELパネルでは定番のピクセルシフト機能などを搭載。各種保護機能はOSDメニューから調整も可能で、保護が過剰に働いていると感じた場合は弱くすることもできる。
また、製品を長持ちさせるためには冷却能力も重要になるが、グラフェンフィルムと専用設計のヒートシンクで有機ELパネルの冷却の効率を上げる構造になっている。良い製品は長く使えるに越したことはないので、こういった部分への工夫が感じられるのは好印象だ。
白いPC好きのポイントを抑えた付属品台座は向きは可動させやすいが、重量を確保した安定感のある構造
最後になるが、MPG 321URXW QD-OLEDが使用ユーザーのことを意識したと強く感じた部分を紹介しておこう。
以下の画像は付属ケーブル一式だが、DisplayPortケーブル、HDMIケーブル、USBケーブル、電源ケーブルとすべて本体に合わせた白で統一されている。白いPCが好きなユーザーであれば、こういった部分にはこだわるのではないだろうか。直接性能に影響する部分ではないものの、細かな配慮が見えるのは嬉しいところだ。
大型モニターなので一度設置したらあまり調整はしないと思われるが、付属の台座は少しの力でパネルの向きや高さが変えられるので調整はしやすい。調整時の動きは軽いが構造面の不安定さはなく、台座自体は重量感もあり安定性は高い。使いやすいタイプの台座と言えるだろう。
調整範囲は、高さが0~110mm、チルトが-5~15°、スイベルが左右に30°となっている。
表示が美しい31.5インチ4K有機ELゲーミングモニター長く使える高品質なモデルを求めるユーザーにおすすめ
発色に優れ、スペック値の面でもかなり高性能なMPG 321URXW QD-OLED。4K解像度や240Hzのリフレッシュレート、DCI-P3カバー率99%といった数値的な部分で判断しがちになるが、実際に表示が美しいと感じるかどうかは実物を見るのが一番わかりやすい。特に本機の表示の美しさは特筆すべきものがあるので、展示機を見られる機会があればぜひ実機で確認してもらいたい。
また、KVM機能やUSB Type-Cポートからの90W給電、PC上から画質設定を変えられるOSDメニューなど、便利な機能も搭載されている。表示性能だけでなく、使い勝手の面でも優れたモデルとなっているの本機の特徴だ。
MPG 321URXW QD-OLEDの安値店での実売価格は198,800円。高価格帯ではあるものの、ゲームはもちろんクリエイター用途にも使えるオールマイティなモデルで、長期間使用するのであればコスト的にも見合う性能をもった製品と言える。長く使える高性能なゲーミングモニターを求めるユーザーにおすすめしたい一台だ。