パワレポ連動企画

ゼロから始めるPC自作スタートガイド ~ CPU編 ~

DOS/V POWER REPORT 2021年春号

 こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の特集をほぼまるごと紹介するこのコーナーでは、「2021年春号」の特別付録小冊子「ゼロから始める PC自作スタートガイド」を掲載する。

 特別付録小冊子が付属するDOS/V POWER REPORT 2021年春号は全国書店、ネット通販にて発売中。小冊子のほか、知らずに損をしている「自作力強化テク21」、ゲームにも効果アリ「メモリOCで性能アップ」、見付けたら買っておきたい「クラス別 最強ビデオカードはこれだ!」など、特別企画も満載。人気の連載記事、髙橋敏也氏による「髙橋敏也の改造バカ一台」や人気漫画「わがままDIY」も掲載されている。


-パーツ選びに必須の知識-


CPU

役割

・PCの中心。複数のコアから構成される

・プログラム(アプリ)を実行する

・性能がOSやアプリの操作感に影響する

CPUにはソケットに装着するための切り欠きやマーク(表面左下の矢印)がある。裏面はソケットとの接点やピンがあるため、触れないように注意
CPUの指示はCPUから直接またはチップセットを経由して各パーツやデバイスへと伝えられる。まさに「頭脳」や「司令塔」と言うべき役割を持っている

 CPU(Central Processing Unit)は、中央演算処理装置とも呼ばれ、PCにおける処理の中心的な存在だ。OSやアプリなどプログラムの命令を読み出して計算を実行、その結果を各パーツに伝えることから「頭脳」にたとえられることが多い。

 動画が再生できるのもCPUが計算を行なっているからであり、その結果をディスプレイに表示したり、スピーカーから音を出すのもCPUの指示によるもの。そのため、CPUの性能が低ければあらゆる処理の待ち時間が増えてPCの動作は遅くなる。CPUの性能が高ければ処理がスムーズでサクサクと動くPCになる。

 なお、どのCPUが使えるかはマザーボードによって異なる。CPUとマザーボードはセットで選ぶ必要があることは覚えておこう。

CPUのソケット規格と一致するマザーボードを組み合わせて利用する。ただ、チップセットの制限などで一部のCPUだけ対応しないことも。Webサイトで公開されている対応CPUリストを確認しておこう

スペックの見方を覚えよう

 CPUの性能を判断するのに重要なポイントがコア数と動作クロックだ。コア数は作業できる人数のようなもので、多いほどさまざまな処理を同時に実行できる。動作クロックは作業の速さ。クロックが高いほど処理性能は高くなる。

 動画編集など負荷の高い処理ではコア数、OSやビジネスアプリなど負荷の軽い処理ではクロックの高さが効くことが多い。

(1)コア数/スレッド数 6コア以上がオススメ

2コア/4スレッド

CPU内部で計算を実行するのが「コア」。数が多いほど同時に処理できる性能が高まる。一つのコアで二つのスレッド(ひとかたまりの命令)を処理できる機能を持つものが多い

4コア/8スレッド

(2)動作クロック(ブースト時最大)

CPU内部の回路が動作する速さ。同条件ならクロックが高いほど性能も高くなる。必要なときだけクロックを引き上げて性能を高めるブースト機能(Turbo Boostなど)を備えたCPUでは、その最大値も記載されている

(3)PCI Express

CPUと直結するPCI Expressのレーン数。レーンとはデータの通り道のようなもので、複数束ねることで速度がアップ。Gen3はPCI Express 3.0接続、Gen4はPCI Express 4.0接続を示す

CPUのPCI Expressに接続される主なデバイス
CPUに直結するのは主にビデオカードとNVMe SSD。高速なデータ転送を必要とするデバイスだ
チップセットのPCI Expressに接続される主なデバイス
チップセット側にもPCI Expressのレーンは用意されている。主に動画キャプチャカードなど周辺機器の接続に利用されることが多い

(4)内蔵GPU ビデオカードを使わないなら必須

CPUに内蔵されているGPUの種類。3D性能が高くないものが多くゲームには向かないが、Webブラウザやオフィスアプリなど一般的な描画処理なら支障はない。GPUが内蔵されていないCPUでは、別途ビデオカードが必要になる

(5)ソケット規格

CPUをマザーボードに装着するためのソケットで、接点やピンの配置により適合するCPUしか利用できないようになっている。IntelのCPUでは「LGA1200」が、AMDのCPUでは「Socket AM4」が主流だ

(6)TDP

Thermal Design Power(熱設計電力)のことでCPUの発熱や消費電力の目安だ。冷却性能に余裕があるとき、このTDPを超えて動作し、一時的に性能を高めるブースト機能を持つCPUもある

主要CPU性能を見る

 ここでは主要CPUの性能を紹介する。テストには3DCGレンダリングでCPUパワーを測定する「CINEBENCH R20」を使用した。「CPU」の数値はマルチスレッド性能、つまり複数のコアによる並列処理能力を、CPU(シングルコア)はコア単体の性能を示し、文書作成やゲームのような用途においてはコア単体性能が処理速度に影響しやすい。

【検証環境】

<LGA1200環境>
マザーボード:ASRock Z490 Steel Legend(Intel Z490)
<Socket AM4環境>
マザーボード:GIGA-BYTE X570 AORUS MASTER(rev. 1.0)(AMD X570)
<共通環境>
メモリ:G.Skill F4-3200C14D-16GTZR(PC4-25600 DDR4 SDRAM 8GB×2 ※各CPUの定格で動作)×2
SSD:Western Digital WD Black NVMe WDS100T2X0C[M.2(PCI Express 3.0 x4)、1TB]
OS:Windows 10 Pro 64bit版

用途で選べばこのモデル!

Intel
Core i5-10400F

実売価格:16,000円前後(本誌発売時点)

6コア最安値クラスで大ヒット中

内蔵GPUを省くことで6コア12スレッドCPUとしては低価格を実現。同価格帯のRyzenに比べてゲーム性能が高く、ゲーミングPCの自作に向いている

Advanced Micro Devices
Ryzen 9 5900X

実売価格:72,000円前後(本誌発売時点)

全方位の処理に強い万能選手

AMDの人気CPU。12コア24スレッド、最大4.8GHz動作はあらゆる処理で高い性能を発揮できる。汎用性の高さを重視するならこれだ

【問い合わせ先】

Intel:0120-868686(インテル)/http://www.intel.co.jp/
Advanced Micro Devices:0066-33-81265(日本AMD)/http://www.amd.co.jp/

[Text by 芹澤正芳]