パワレポ連動企画

ゼロから始めるPC自作スタートガイド ~ ストレージ編 ~

DOS/V POWER REPORT 2021年春号

 こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の特集をほぼまるごと紹介するこのコーナーでは、「2021年春号」の特別付録小冊子「ゼロから始める PC自作スタートガイド」を掲載する。

 特別付録小冊子が付属するDOS/V POWER REPORT 2021年春号は全国書店、ネット通販にて発売中。小冊子のほか、知らずに損をしている「自作力強化テク21」、ゲームにも効果アリ「メモリOCで性能アップ」、見付けたら買っておきたい「クラス別 最強ビデオカードはこれだ!」など、特別企画も満載。人気の連載記事、髙橋敏也氏による「髙橋敏也の改造バカ一台」や人気漫画「わがままDIY」も掲載されている。


-パーツ選びに必須の知識-


ストレージ

役割

・OS、アプリ、ファイルを保存する

・速度と静音性を求めるならSSD

・低価格で大容量を重視ならHDD

 ストレージの役割はプログラムやデータを保存することだ。データ転送は高速だが、容量単価の高い「SSD」はその速度が活きるOSやアプリのインストール先に向いている。

SSD

 データ転送速度は遅いが容量あたりの単価が安く、10TBを超える大容量モデルも数多く存在する「HDD」はデータの保存先やバックアップ先として最適だ。予算や目的に合わせて組み合わせるストレージを決めよう。

HDD

SSDはリード、ライトの速度が重要

 SSDは主に2種類のフォームファクターが存在する。一つはSerial ATA接続で主流の2.5インチ。もう一つがPCI Express接続で主流のコンパクトで薄型のM.2だ。注意が必要なのは、M.2規格でもSerial ATA接続のSSDが存在すること。購入を検討する際は、価格だけではなくインターフェースもチェックするようにしよう。

(1)インターフェース
Serial ATAとPCI Express接続が主流。前者は理論値で最大600MB/s。後者は4.0 x4仕様なら理論値で8,000MB/sと、インターフェースによって速度が異なる

2.5インチ(Serial ATA)
M.2(PCI Express)
Serial ATA接続では2.5インチサイズのSSDが主流だ。価格はPCI Express接続に比べ安め
NVMe SSDとも呼ばれるのが、PCI Express接続のSSD。PCI Express 4.0接続のものは高速だが、マザーボードとCPUの対応が必要

(2)容量
2.5インチやM.2では現在8TBモデルまで登場している。18TBモデルが存在しているHDDにはまだまだおよばない

(3)バッファ用メモリ
バッファ用メモリの容量ではなく、搭載の有無をチェックしたい。メモリを備えないSSDはランダムアクセスが遅くなる

(4)公称リード/ライト   スペックの最重要ポイント
SSDの基本性能はこの公称リード/ライトの速度で判断するのが一般的だ。シーケンシャルリード、ライトであればユーザーの環境でも公称どおりの速度が出ることが多い

(5)メモリタイプ   耐久性に影響を与える
現在はコストと速度のバランスに優れるTLCが主流。コストパフォーマンスを重視するモデルではQLCの採用が増えている。NANDやコントローラの進化により、QLCでもTLCと耐久性や性能が大きくは変わらなくなりつつある

HDDの性能は回転数がポイント

 HDDの性能に大きく影響するのは、まず回転数だ。5,400rpmと7,200rpmが主流で後者のほうがデータ転送速度は速くなる。その一方で動作音は5,400rpmのほうが小さい傾向にあり、どちらを選ぶかは目的や好みによるだろう。

 また、HDDはデスクトップ向けやNAS向け、監視システム向けなど目的別に分類されているのも特徴と言える。

(1)回転数   性能の重要なポイント
プラッタが1分間に何回転するかを示している。下のグラフのとおり、基本的に回転数が高いほど性能も高くなる

(2)用途
1日8時間程度の使用を想定したデスクトップ向け、24時間駆動を想定したNAS向け、過酷な環境でも動作する監視システム向けなどがある

(3)サイズ
HDDはデスクトップPC向けの3.5インチサイズとノートPC向けの2.5インチサイズがある

3.5インチ
2.5インチ
多くのプラッタを内蔵できる余裕があるため、大容量モデルも存在する
小型なので4TBが限界。厚みが製品によって異なるので組み込む側の厚さ対応に注意

(4)容量
最大18TBモデルが選べるなど大容量が強み。1GBあたりの価格はSSDの5分の1程度と安いのも特徴だ

用途で選べばこのモデル!

Samsung Electronics
SSD 980 PRO MZ-V8P1T0

実売価格:26,000円前後(本誌発売時点)

現役最速クラスが欲しいなら
Samsung Elpis / M.2(PCI Express 4.0 x4) / 1TB

PCI Express 4.0 x4接続に対応し、コントローラも優秀でシーケンシャルリードは最大7,000MB/sと現役最速クラスだ。

Western Digital
WD Blue SN550 NVMe SSD WDS100T2B0C

実売価格:13,000円前後(本誌発売時点)

速度とコスパのバランス重視なら
コントローラ非公開 / M.2(PCI Express 3.0 x4) / 1TB

シーケンシャルリード最大2,400MB/sと、Serial ATA SSDよりもはるかに高速ながら、価格は同等クラスで大ヒット中のSSD。

Micron Technology
Crucial MX500 CT1000MX500SSD1/JP

実売価格:12,000円前後(本誌発売時点)

Serial ATAの大定番と言えば
コントローラ非公開 / Serial ATA / 1TB

Serial ATA SSDで最速クラスの性能を持ちながら、価格も安いというコスパのよさで2018年の発売以来ロングセラーに。

Seagate Technology
Barracuda ST6000DM003

実売価格:11,000円前後(本誌発売時点)

大容量かつ低価格を求めるなら
5,400rpm / デスクトップ向け / 6TB

1GBあたり約1.8円とHDDの中でもトップクラスのコスパを誇る人気の6TBモデル。データのバックアップに最適だ。

【検証環境】

CPU:AMD Ryzen 7 3700X(8コア16スレッド)
ASUSTeK ROG STRIX B550-F GAMING(AMD B550)
メモリ:Micron Crucial Ballistix Sport BLS2K8G4D240FSA(PC4-19200 DDR4 SDRAM 8GB×2)
ビデオカード:ASUSTeK PH-GTX1650-O4G(NVIDIA GeForce GTX 1650)
システムSSD:CFD販売 S6TNHG6Q CSSD-S6T256NHG6Q(Serial ATA 3.0、MLC、256GB)
OS:Windows 10 Pro 64bit版

[Text by 芹澤正芳]