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ゲーミングノートなのに性能は上位デスクトップPC級、絶対性能を求めるなら「MSI GT76 TITAN」

MSI製ゲーミングノートPC一挙紹介 ウルトラハイエンドGTシリーズ編 text by 石川ひさよし

MSI GT76 TITAN(GT76-9SG-057JP)

 前回、MSIのゲーミングノートPCのラインナップが現在どのように展開されているか紹介したが、今回からはラインナップ毎の代表的なモデルを紹介しよう。

 初回に取り上げるのはフラグシップのGTシリーズ。現在展開中のモデルのなかから「GT76 TITAN」(GT76-9SG-057JP)を見ていきたい。

 GTシリーズは、デスクトップPCの上位モデルの性能をノートPCでも実現するために設計されたウルトラハイエンドに位置するゲーミングノートPCだ。

MSIゲーミングノートのフラグシップ「GTシリーズ」高性能デスクトップPCと同等の性能をノートPCで実現

一般的なゲーミングノートPCの15.6インチパネルよりも一つ上の17.3インチパネルを採用。解像度は3,840×2,160ドット。そして4Kでもゲームを楽しめるだけのスペックが詰め込まれている。
液晶ヒンジよりもさらに後ろに飛び出ているスペースは本体は冷却のためのもの。

 初回に紹介しているとおり、GTシリーズはMSIのゲーミングノートPCのなかでもフラグシップに位置するシリーズだ。
 GT76 TITANは17.3型の4K液晶パネルを採用する大型なモデルで、ひと回り大きいパネルを搭載している分ディスプレイの面積が広く、使用していてそれだけで快適というのもあるが、狭額縁パネルなので没入感もより高く感じられる。

 スリムがトレンドのノートPCにおいて、どこまでも分厚く無骨なデザインは、ハイパフォーマンスを追求するゲーミングノートPCの王道的なスタイルともいえる。制約の多いノートPCであっても、パフォーマンスを追求するならばこうした手段もあるというメーカーからのアンサーモデルだ。

左側面インターフェースはACアダプタ用ジャック、2.5GbE LAN、Thunderbolt 3、USB 3.1Gen2×2、ヘッドホン出力、マイク入力。
右側面インターフェースはメモリカードリーダー、USB 3.1 Gen2×2、USB 3.1 Gen2 Type-C、Mini DisplayPort、HDMI。
自動車のボンネットのような天板デザインはいかにもゲーミングノートPC。
底面の半分以上をメッシュとすることで吸気を最大化。

 インターフェースも充実しており、最新のものを貪欲に取り込んでいる。Thunderbolt 3、2.5GbE、Wi-Fi 6、本体のUSB端子はすべてUSB 3.1 Gen2(10Gbps)対応ものだ。

 PCのインターフェースは、USBであればUSB 3.2 Gen2/USB 3.2 Gen1、Type-A/Type-Cといった規格の移行期と言えるタイミングだが、現在の最速規格に対応していれば性能が陳腐化することなく長く使える。ノートPCのように拡張性が限られるプラットフォームでは、こうした最新規格や高速な規格に標準対応していることが重要なのである。

GT76 TITANの搭載CPUはなんとデスクトップ向けのCore i9-9900K。
GPUはGeForce RTX 2080で、ノートPCとしては最上位といえる仕様。
搭載されている冷却機構の「Cooler Boost Titan」。透けて見えるブロンズのヒートパイプは合計11本。そしてファンもここからは2つしか見えないが内部には計4基搭載されている。
分厚い筐体側面の後部寄りには6つの大きな開口部を設け、ここから排気を行なう。このほか背面にも大きな開口部を設けている

 歴代のGTシリーズの中でも「GT76 TITAN」は、とりわけ特別なモデルと言えるかもしれない。そもそもノートPCの形をしているが、CPUはデスクトップPC向けのCore i9-9900Kを搭載しているのだからほかのノートPCとは一線を画す。

 よくノートPCではデスクトップPCほどのCPU性能が得られないと言われる。ノートPC向けのCPUは、同じCore i9で同じコア/スレッド数でもベースクロックを抑えており、サイズに制限のあるノートPCの冷却機構用の設定だ。ところがGTシリーズには当てはまらない。GTシリーズは見てのとおり、現在トレンドのスリムなノートPCとは真逆で、分厚い伝統的なゲーミングノートPCのデザインだ。筐体の大きさ、そしてMSIの冷却技術によって、デスクトップPC用のCPUを搭載することができたというわけだ。

 もちろんGPUもGeForce RTX 2080を搭載する。発熱を抑えたMax-QデザインではないGeForce RTX 2080だ。デスクトップPC向けのものと比べ、ノートPC向けにクロックを抑えられているもののGPUコア数などのスペックは同等だ。これをCooler Boost Titanが強力に冷却することによって性能を最大限引き出してくれる。

 また、Cooler Boost TitanはCPUのオーバークロック動作すら可能にする。ただでさえ非ノートPCクラスのCPUパフォーマンスがさらに加速するわけだ。ノートPCという形状において、現在最高のパフォーマンスを求めるならばこの製品を選ぶのがマストだ。

キーボードはSteel Series製のPer-Key RGB LED仕様。
発光色や発光パターンなど好みに合わせてセッティングできる。
有線LANは2.5GbE。そのほかThuderbolt 3など最先端のインターフェースを搭載するとともに、側面下部のLEDがムードを盛り上げる。
230WのACアダプタを2つ用いて定格460Wの電力を供給可能とする。

 そしてゲーミング向けの機能も充実している。キーボードはSteel Series製で、1つ1つのキーにRGB LEDバックライトを搭載。LEDではそのほかに前面下部や側面下部にも搭載されており、間接照明のように照らし出す。

 ネットワークでは、まだデスクトップPCでもめずらしい2.5GbEの有線LANを搭載している。無線LANもWi-Fi 6(IEEE 802.11ax)に対応しており、一般的なWi-Fi 5(IEEE 802.11ac)のモデルよりも高速。そしてこれらを束ねたチーミングにも対応している。

 このようにCPU・GPU、ゲーミング向け機能で妥協という言葉を知らない「GT76 TITAN」。消費電力も一般的なノートPCの常識から逸脱しており、フルパフォーマンスを発揮するためには230WのACアダプタを2つ利用する。ノートPCをモバイルの観点から見ると規格外な仕様だが、この2つのACアダプタにロマンを感じる方もいるはずだ。電力はすなわちパフォーマンスなのである。

GT76 TITAN(GT76-9SG-057JP)
CPUIntel Core i9-9900K(3.6GHz・ブースト5GHz)/ 8コア16スレッド)
GPUNVIDIA GeForce RTX 2080(8GB GDDR6)
メモリDDR4 32GB(16GB×2)
ストレージ512GB NVMe SSD + 1TB HDD
有線LAN2.5GbE Killer Ethernet E3000
無線LANWi-Fi 6 Killer AX1650
搭載インターフェイスThunderbolt 3×1、HDMI×1、Mini DisplayPort×1、USB 3.1 Gen2 Type-C×1、USB 3.1 Gen2 Type-A×4、ヘッドホン×1、マイク×1
キーボードSteelSeries Per-Key RGB日本語キーボード
ディスプレイ17.3インチ/3,840×2,160ドット/ノングレア
OSWindows 10 Pro 64bit
本体サイズ397×330×42mm
重量4.5Kg
製品保証1年間グローバル保証、2年間修理保証、3年間ACアダプタ/バッテリ保証

ゲーミングノートPCの頂点を極めたいユーザーへ向けた1台絶対的なパフォーマンスが必要な用途なら「GT76 TITAN」

超重量級の大作ゲームのなんなくこなしてしまうゲーミングPCが「MSI GT76 TITAN」だ。

 「GT76 TITAN」はこうしたよい意味で「吹っ切れた」ゲーミングノートPCだ。価格はおよそ60万円前後と簡単に手が出せるものではないが、最高のパフォーマンスを求める用途や、今一番高性能なゲーミングノートPCを手に入れたいという強い意志を持つユーザーに捧げる製品だ。

 CPUパフォーマンスに関しては、ゲームにおいて不足するといったことはまず起きないだろう。コア/スレッド数もクロックも、ともに十分なものがあるからだ。GPUに関しても標準的な画質であれば4Kでのゲームプレイが十分に視野に入る。現在ノートPCで選択できるGPUとしては最上級であることは事実だ。これ以上というものがない。

 ひと回り大きな液晶ディスプレイ、RGB LED搭載キーボード、そしてハイレゾ対応オーディオ機能、ネットワークなど、ゲームの興奮をいっそう高めてくれる機能も搭載している。最高のゲーム体験を求めるならこの部分のスペックにも注目したい。

 メモリやストレージに関しても、標準スペックで一般的なノートPCと比べて十分な余裕を持たせた構成だ。一般的な製品であれば、こうした足回りに1年後、2年後になって不足を感じる時期が来るものだが、本製品ならそれらよりも長期間、標準構成で満足できる。後々の増設、換装の必要性が滅多にないという点で、メンテナンスなどを頻繁に行ないたくないユーザーにもオススメだ。

「GT76 TITAN」の実パフォーマンスを検証、ベンチマークのスコアも超ノート級

 ここまで紹介してきたように、「GT76 TITAN」の特徴は言ゲーミングノートPCの中でも飛び抜けた仕様のモデルだ。特別仕様っぷりが実性能でも見られるのか、ベンチマークでの検証結果を紹介しよう。

 まず「GT76 TITAN」が搭載している「デスクトップPC向けCPU」のパフォーマンス。CPUを使って3Dレンダリングを行なうCINEBENCH R20では、CPUスコアが4,853pts。CPU(Single Core)も500ptsと高い。

 ハイパフォーマンスノート向けのCPUに「Core i9-9980HK」があるが、こちらは同じ8コア16スレッドであるものの動作クロックなどが低い。搭載PCをCINEBENCH R20で計測するとスコアは概ね3,000pts台といったところだ。これを考慮すると、「GT76 TITAN」はデスクトップ向けCPUを搭載するだけあってノート向けの上位CPU搭載機比べて1.3~1.5倍高性能と強力なパフォーマンスを示している。

スコアはデスクトップPCに遜色ない値が出ており、ノートPCとしては突き抜けたスコアだ。

 ゲーミング性能は、3D性能で世界の指標とされるFuturemarkの「3DMark」で検証した。DirectX 11テストのFire Strikeは22,673ポイントで、20,000の大台を軽く超えている。DirectX 12のTime Spyも10,410ポイントで、Graphicsテストのフレームレートは60fpsを超えている。ノートPCとしてはかなり贅沢といえる性能だろう。

DirectX 11のテストとなるFire Strikeのスコア。
DirectX 12のテストとなるTime Spyのスコア。

 最後は現在の3Dゲームタイトルのなかでも屈指の高負荷テストができるFINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークを用いた。このベンチマークの4K、高品質はデスクトップのハイエンドゲーミングPCでも快適評価を得るのが難しい。

 「GT76 TITAN」でも傾向としては同じだが、4Kで標準品質に落とせば4,640ポイント「やや快適」といった遊べるラインになる。フルHDであれば高品質でも10,252ポイントと「とても快適」評価が得られた。

4K/標準品質でのベンチマーク結果。
フルHD/高品質でのベンチマーク結果。

 フルHDで遊ぶのであれば、これは十分に余裕のあるスコアなので、この設定をもとにNVIDIA Hair Works、VXAO、TurfEffects、ShadowLibsといった高画質オプションも有効化してみてたが、その場合のスコアは9,125ポイントで「とても快適」と最高の状態で遊べる判定が得られた。

 FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITIONはかなり重いゲームなので、フルHD/最高画質で快適に遊べてしまう「GT76 TITAN」恐るべしといったところだろう。

フルHDであれば高画質オプションさらに盛っても快適に遊べる。

次回は薄型/高性能を両立したGSシリーズを紹介

性能面に一切妥協したくないユーザーにはぜひ「GT76 TITAN」を選んでもらいたい。

 今回はMSIのゲーミングノートPCのなかでもフラグシップのGTシリーズ、その中でもデスクトップ向けCPUを搭載した特別なモデル「GT76 TITAN」を紹介した。

 次回はハイエンドモデルだが“ゲームだけではない”モバイル用途も考慮されたモデル「GSシリーズ」を紹介しよう。鞄に入れて持ち運べるノートPCで最高性能のものをといったモデルを探しているユーザーはぜひチェックしてもらいたい。

[制作協力:MSI]