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PC初心者でも作れる!?初めての自作PC講座。失敗せずに確実に、安全&キレイに作る手順、教えます
【全手順解説!初めての自作PC組み立て編 】 text by 石川 ひさよし
2024年8月13日 09:00
過去2回にわたって、自作PCを構成するパーツやその役割、選び方の基礎について説明してきましたが、今回はいよいよ「自作PCの組み立て方」について解説します。以前にも述べたとおり「PCを作る」と聞くといかにも難しそうに思えますが、実際にはそこまで難しいものではありません。特別なスキルや資格はもちろん不要です。
この記事では、ごく一般的なパーツ構成の自作PCを組み立てる作業の全行程を、実際の手順に沿って解説していきます。特に今回は「組み立て時のリスクを抑える」ことにフォーカスした方法で進めていきます。説明は少々長くなりますが、初めての方でも、なるべく安全に・確実に作業できるようにしていますので、ぜひ参考にしてみてください。
自作PC組み立ての基礎知識&注意点
繰り返しになりますが、自作PCは決して難しいものではありません。しかし、手順や作業方法を間違えると、ミスやトラブルも生じます。はじめての自作PC、はじめてのPCの組み立てに挑戦するにあたり、まずは基本的な心構えや作業時の注意ポイントをお伝えしておきます。
(1)“遠回りでも確実”を目指しましょう
早く組んで動かしたいと思う心は分かりますが、急いだ分だけミスはしやすくなります。作業時間は十分に見積もって、気長に組み立てていきましょう。壊してしまわなければ、何度でもやり直し可能です。PCパーツは精密部品なので丁寧に扱う必要はもちろんありますが、意外に頑丈でもあります。
(2)コネクターは規格化されていて逆挿し/挿し間違いを防いでいます
自作PCの組み立ての大半は電気が流れる線と線を結んでいく作業です。でも安心してください。コネクターは規格化されており、異なるもの、異なる向きには原則として接続できないようにデザインされています。
ただ、「向きを間違えているのに強引に挿し込んで強引に固定する」こともできてしまう場合もあります。力加減を説明するのは難しいのですが、「力任せに押し込む・締め上げる」ようなものは原則ありませんので、ちょっとでも不安を感じたら、一旦手を止めてよく確認してみましょう。
(3)取り付けたパーツをしっかり固定する機構が備わっています
パーツやケーブルの大半が、ツメやラッチを用いて取り付けたパーツをしっかり固定する「ロック/リリース機構」を備えています。ロック状態のまま力任せに外そうとしたら当然、壊れます。ロック/リリース機構の場所と操作を覚えましょう。
(4)力のかけすぎに注意しましょう
自作PCはお子さんでも組めます。大人ならむしろ力を加減するくらいでないと壊れます。硬いと感じたなら、規格または向きが間違っていないか、ロック状態でないかよく確認しましょう。ネジを締めるときも力を加減してください。ネジ山をつぶすこともありますし、締め過ぎるとマザーボードが反って接触不良を起こして起動しなくなることもあります。
(5)ファンは繊細です
ケースファンはもちろん、CPUクーラーやビデオカードに搭載されえいるファンは繊細なパーツです。不用意に軸やブレードに触れる、何か別のパーツをぶつけてしまうと軸ブレを生じ、ノイズを発するようになってしまいます。持ち上げる際はフレーム部など硬い部分を持ちましょう。
必要な工具、あると便利なグッズ
自作PCの組み立てではプラスドライバーが必須です。サイズは汎用性の高い「+2(#2、2番とも)」とM.2 SSDの固定に使用する小さめの「+1(#1、1番)」を主に使用します。ドライバー自体の長さは標準的なものを用意すればOKです(短すぎると作業しにくい場合がありますが、長すぎるのも取り回しは不便です)。
また、一部の作業にほかの工具が必要になることがあるほか、必須ではないものの用意しておくと便利な工具もあり、状況に合わせて使用すると作業効率が上がります。それではPCではどこでどのような工具を用いるのか、紹介していきましょう。
・プラスドライバー(必須)
先端のサイズ規格が「+2」(大半はこちら)、および「+1」(M.2ヒートシンクなどの一部)のものを使います。ネジがくっつく「磁気ドライバー」がよいでしょう
標準的なプラスドライバーにプラスしてあると便利なのが、+2のロングとスタービーです。軸が長いロングドライバーはマザーボードをケースに固定するとき、大型空冷CPUクーラー(高さが15cmを超えるもの)を組み立てるときに便利です。一方、軸が短いスタービードライバーは、電源カバー内のように窮屈なところのネジを扱う際に便利です。
また、M.2 SSDの固定などには「+0(#0、0番)」、いわゆる“精密ドライバー”が利用できる場合もあります。
・ナットドライバー
PCケースにマザーボードを固定する際の「スペーサー」を取り付ける際に使います。必要になる機会は少ないので、ペンチ/ラジオペンチなどでも代用できます。ただしナットドライバーがあればしっかり強固に装着できます
・ラジオペンチ、ピンセット
ラジオペンチやピンセットは細かな部品をつまんだり、小さな穴にケーブルを通したりするときに便利です。また、不要な結束バンドのカットにはニッパーも利用できます。
工具以外の便利小物についても紹介しましょう。
・静電気防止・帯電防止グッズ
PCケースや各部ヒートシンクのエッジは鋭利なことがあるのでケガに注意が必要。静電気防止手袋は静電気防止だけでなくケガの防止にもなります。
・パーツが梱包されていた袋/緩衝材
マザーボードの入っていた帯電防止袋やパッケージ内に敷かれていた緩衝材は、仮組みの際に使えます。
・結束バンド(ケーブルタイ)やツイストタイ、面ファスナーなど
ケーブルの結束に使います。PCケースに数本付属しますが、やり直しで足らなくなったとき用に予備があるとよいでしょう。100円均一ショップなどで手軽に入手可能です。
・養生テープ
パーツの仮止めなどに使います。はがせて糊残りが少なく、簡単に手でカットできるタイプが便利です。
・小型の照明
PCケース内は暗くなりがちなので、室内照明の真下のように、明るくて影ができにくい場所で作業するのが基本です。それでも手元は影になりやすいので、小型の懐中電灯などの補助の光源があると便利です。
スマホのライトでもOKですが、作業しながらだとちょっと持ちにくいかもしれません。
マニュアルに目を通しておきましょう
製品公式のマニュアルに勝る資料はありません。事前に目を通しておきましょう。
現在もまだ紙マニュアルが主流ですが、オンラインマニュアルも増えています。URLを記載していたりQRコードでアクセスしたり、とアクセス方法はさまざま。「1台目のPCを作る」ということなら、スマホやタブレットで閲覧できるようにしておくと便利です。
PC自作の際に特に重要なのは、マザーボード(製品ごとに端子類の場所が微妙に異なる場合が多く、その都度確認が必要)、CPUクーラー(組み立て時に部品や手順の確認が必要)、PCケース(事前に取り付け位置などの確認ができたほうが都合がよい)などです。
逆に、メモリやビデオカード、電源ユニットあたりは、組み立て時に触る部分はほとんど規格化・標準化されているので、組み立てに関してはマニュアル不要で対応できてしまいます。ただし、保証情報などの確認はしておくべきでしょう。
最近のマニュアルはイラストや写真が多用され、言語を問わず分かりやすく工夫されています。映像(YouTubeなど)で組み立てを解説するコンテンツが用意されていることもあります。
英語版マニュアルしか提供されていないものもまだあります。英語が苦手な人は、スマホのカメラ映像を翻訳してくれる「Google レンズ」のようなアプリ、オンラインマニュアルの場合はWebブラウザの翻訳機能(拡張機能)、PDFを翻訳してくれるサービスもあります(まずは体験版で試しましょう)。