●1位は「油没PC」(投票数：1,001票)

【油没PC】	【製品特徴】
【背面からの様子】	【トップカバーを外した状態】

　水冷パーツが店頭に登場した当初は、ごく一部のマニアが買い求めるものというイメージもあったが、現在は普通に在庫販売するショップがほとんどで、BTOなどを利用して簡単に水冷PCの完成品を買うこともできる。PCにおける水冷は、ここ数年でぐっとハードルが下がった印象だ。

　そんな中、非常にマニアックな水冷PCが登場した。オリオスペックが8月に受注販売を始めた同店オリジナルPC「Reactor X」シリーズだ。本体価格は最も安いエントリーモデルでも約50万円。

　マザーやCPU、メモリ、ビデオカード、SSD、電源など、全てのPCパーツを液体に浸して冷却するというアプローチは、それまでの水冷の常識を超えるもので、まるで熱帯魚用の水槽のような独特のルックスも手伝って大いに注目された。もちろんこうした大仕掛けは冷却性能を高めるためのものであり、PCケースを製造した米Hardcore Computerは「冷却効率は空気の1,000倍超」と豪語する。

　一方で、簡単にケースが開けられない構造のため、ユーザーによるパーツの交換や拡張ができないほか、約70kgという重量も輸送面でのデメリットに。原則的に東京23区内からしか注文できず、さらに1万円超という高額の配送料金が別途必要という、かなりハードルの高いものになってしまった。

　とは言え、水冷の新しい方向性を打ち出した点でも評価できるこの製品。構造的に低コスト化や小型化は難しそうだが、新たな製品の登場も期待される。

【2進法の腕時計】	【時刻の読み方】

　PDAや音楽・動画プレイヤー、ビデオカメラなど、店頭にちょくちょく登場する腕時計型ガジェット。10月に「腕時計型スマートフォン」という究極とも言える製品が登場したのも記憶に新しい。

　11月にサンコーが発売したデジタル腕時計「LEDタイプ720Pminiビデオ腕時計」は、カメラ機能を備えるものの基本的な用途は「時刻を確認すること」。こう言うと地味な印象も受けるが、その時刻の表示方法が「2進数」というかつてないものだったために、一躍注目の的となった。

　文字盤の左側には「時」を示す4ビット（1〜8）のLEDが、下側には「分」を示す6ビット（1〜32）のLEDが装備。具体的な動きは、例えば時刻が10時56分の場合は、左側の8と2のLED（8＋2＝10）が、下側の32と16と8のLED（32＋16＋8＝56）がそれぞれ点灯するというものだ。

　2進数に馴染みのあるPCユーザーも多いと思うが、時刻を知るためいちいちビットの値を足し算しなければならないというのはかなり面倒。まして2進数を知らない人にとっては「ちんぷんかんな時計」であり、そうしたある種のマニアックさに共感を覚えた人も多かったに違いない。

【鏡面キーボード】	【鏡面かつフラットなデザイン】

　フラットな形状や艶のある鏡面加工が特徴的な「COOL LEAF」は、5月に発売されたミネベア製USBキーボード。本体の表は凹凸が全くない平面で、LEDで表示される「キーの刻印」に触れると、内蔵の静電容量方式タッチセンサーが反応し、キー入力が行なえるという仕組みだ。

　そうした「物理キーを持たない」構造はもちろんユニークだが、やはり真っ先に目を引いたのは、表に鏡面加工を施すといった普通のキーボードではあり得ないスタイリッシュなデザイン。通電していない時やスリープ時にはキー刻印が消灯するので、知らない人が見たらこれがキーボードだとは恐らく気付かないだろう。

　さらに、表面は継ぎ目のない1枚のパネルであるため、防滴性に優れるというメリットも生み出した。「キーの隙間」自体が存在しないためホコリが侵入することもなく、また汚れても簡単に拭き取ることができるなど、メンテナンス性も高い。

　LEDやタッチセンサーなど、使われている技術自体は取り立てて珍しいものではないものの、普通のキーボードとは全く異なる形状や構造、デザインはまさに「次世代」と呼べるもの。構造上、タッチタイピングできないという欠点はあるが、「それはデザイン性とトレードオフ」と許容できた人も多かったのではなかろうか。

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