動きの少なかった1年だが……最大容量は22TBに到達！人気HDDの実力を再チェック【PCパーツ100選 HDD編】

OptiNANDが本格始動！ 大容量化を手に入れやすく

　2022年のHDD市場は、8月にWestern DigitalからNANDメモリにHDDのメタデータの一部を記録することで最大容量を向上させるOptiNAND技術を採用した製品が発売されたことが大きなトピックだ。これによってHDDの最大容量が更新され、22TBに到達した。

OptiNANDを採用するWD Red Pro（20TB）の最大速度は、読み出しが約272.8MB/s、書き込みが約263MB/s。現役最速の速度を実現している

　また、価格は上下した。5月に値上がりした後、夏には落ち着いたように見えて、11月は再び値上がり傾向と、円安とは連動していないような動きで見通しが難しい。

　また、HDDの現在の人気の中心は、6TBと8TBモデルで推移しており、GB単価では8TBモデルが優位になってきた。一方で、次世代のアシスト磁気記録を採用した大容量化技術が実用段階に入ってきている。Western Digitalは、2022年5月に最大記憶容量26TBの製品のサンプル出荷開始をアナウンスしたほか、東芝も2023年の会計年度に30TBの製品を投入すべく開発を行なっている。

22TBモデルが複数登場

Western Digitalから記憶容量22TBのWD Red Pro、WD Gold、WD Purple Proの販売が始まっている。いずれもOptiNAND技術とePMR（エネルギーアシストPMR）技術の採用で現役最大容量を実現した。エンタープライズ向けのWD Goldでは20T Bと22TBモデルでOptiNAND技術を取り入れている

人気6TBモデルで強いのはどれだ!? 全7製品ベンチマーク

　ここでは、人気が高い6TBのHDD7製品をピックアップ。ベンチマークなどで性能を比較していく。まずは、シーケンシャルとランダムの最大速度を測定するCrystalDiskMarkから見ていこう。デスクトップ向けの3製品はすべてがSMR仕様で回転数も5,400rpmとスペック的には横並びであるため、シーケンシャルの読み出し、書き込みはほとんど変わらなかった。WD Blueのランダムライトが高速なのは、データを一時的に保存するキャッシュメモリが効いているためだろう。NAS向けは、7,200rpmの東芝MNが順当にトップ。次点は5,640rpmのWD Red Plusで回転数がそのまま結果に結び付いている。

　コピー性能は大きな違いが出た。デスクトップ向けはWD Blueがトップ。DT02はSMR特有のRead Modify Writeによる影響からか約37分もかかってしまった。同じSMRでもWD BlueやBarraCudaは高速にコピーできているので、次世代での改良に期待したいところだ。NAS向けは回転数が高いMNがトップだった。静音性に関してはWestern Digitalの製品が優秀で、デスクトップ向けはWD Blue、NAS向けはWD Redが良好な結果を出している。

　今回はNASへの組み込みを想定し、USBの外付けケースにHDDを収め、30分間の連続書き込みを行なった場合の温度も測定した。全体でDT02がもっとも温度が低く、このテストでは最優秀に。その一方で、BarraCudaとIronWolfが高めで、Seagate勢がやや劣る結果となった。動作音と同様にWD BlueとWD Redはここでも優秀だ。

[TEXT：北川達也]

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