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DDR5とDDR4の性能差はどうなった?市場の主役は一気にDDR5へ【PCパーツ100選 メモリ編】

DOS/V POWER REPORT 2023年冬号の記事を丸ごと掲載!

DDR5は価格下落&高OCモデルが充実

 2022年のメモリは、DDR5への移行が急ピッチで進んだ。DDR5が登場した2021年末は供給不足な上に高価だった。2022年に入り、供給不足が解消されると価格も徐々に下がり、発売当初から1万円以上も安くなった製品もあって、買いやすさがアップ。価格下落に背を押された格好だ。

 そして、AMDのRyzen 7000シリーズは対応がDDR5メモリのみ。DDR4メモリからの世代交代が鮮明になったことも移行に拍車をかけている。Intelの第13世代Coreは、DDR5/DDR4両対応だが、DDR5に関しては前世代がDDR5-4800対応だったのに対して、DDR5-5600対応と一気にクロックがアップ。Ryzen 7000シリーズもDDR5-5200対応とあって、高OCモデルが充実し、選択肢も増えた。

 なお、DDR5は16GB×2枚セットが主流で、DDR5への移行は大容量化も伴っている。DDR4も2021年末に比べて若干値下がり傾向だ。コスパ重視の自作においてはまだまだ心強い存在であるのは2023年も同じだろう。

DDR5-8000に到達
DDR5は高クロック化が進み、現在ではDDR5-8000メモリも登場している。ただ、DDR4と同様に超高OCメモリは対応マザーボードが限られる点には注意したい

メモリを買う前に枚数とクロックの関係を知ろう

 DDR5メモリは、Intelの第12世代Core、AMDのRyzen 7000シリーズとも4枚挿すと動作クロックが下がる仕様だ。第13世代Coreに関しては枚数とクロックの関係が公表されていないが、Core i9-13900K+Z790マザーで筆者が試す限り、4枚挿しではDDR5-4000まで低下した。第12世代Coreと同じような挙動と考えてよいだろう。

 4枚挿しでもXMPやEXPOなどOCプロファイルを読み込むことで高クロック動作が可能になる場合もあるが、サポート外の動作となる。DDR5は2枚で運用したほうが安全だ。

メモリOCプロファイルにRyzen用の「EXPO」が登場

Ryzen 7000シリーズでは、「EXPO」というAMD独自のOC技術が採用された。ライセンスとロイヤリティフリーとなっており、メモリメーカーが導入しやすくなっている

 ここ最近の大きなトピックと言えば、Ryzen 7000シリーズで、AMD独自のOC技術「EXPO」の登場だ。メモリのOC機能としては、Intelの「XMP」がスタンダードだが、これまでAMDプラットフォームではマザーボードメーカーが独自にXMPのプロファイルを読み込めるようにすることで対応していた。Intel CPU向けのOC機能なので、AMDのCPUに最適化されていないのが難点だったが、AMDはEXPOによって、最大11%のゲーム性能アップが期待できるとしている。

Kingstonの「FURY Beast DDR5 KF556C36BBEAK2-32」のようにXMP、EXPO両対応のDDR5メモリも存在している。安心感という点では一番よい選択肢だろう
IntelプラットフォームのZ790/Z690マザーでも、多くでEXPOをサポート。画面はMSI MPG Z790 CARBON WIFIのメモリ設定で、「iEXPO」という名前で項目が用意されている

 基本的な使い方はXMPと同様だ。メモリにEXPO用のプロファイルが保存されており、それをマザーボードのUEFIで読み込むことで動作クロックや動作電圧などが自動的に適用される。これによって、XMP対応、EXPO対応、XMP/EXPO両対応というOCメモリが登場した。

 ユーザーはどのOCメモリを買おうか迷うところだが、AMDのX670/B650マザーではXMPのプロファイル読み込みに対応、ほとんどのIntelのZ790/Z690マザーでもEXPOのプロファイル読み込みに対応している。各メーカーの対応状況は右下にまとめたので確認してほしい。超高クロック対応でない限り、メモリがどのOC技術に対応しているのかあまり気にする必要はないと言ってよいだろう。

Ryzenでは、従来Infinity Fabric、メモリコントローラ、メモリクロックは1:1:1が最適だったが、Ryzen 7000ではInfinity Fabricはオート、メモリコントローラとクロックが1:1に変更。その結果、DDR5-6000が最適なOCメモリになった。パフォーマンス重視でメモリを選ぶなら参考にしてほしい
マザーボード各社のXMP、EXPO対応状況
ASRockDDR5のIntel Z790/Z690マザーはEXPOにも対応、AMD X670/B650マザーはXMPにも対応
ASUSTeKIntel、AMDのマザーボード双方のUEFIでD.O.C.Pを利用すればプロファイルを呼び出せる
BIOSTARDDR5のIntel Z790/Z690マザーはEXPOにも対応(Z690はUEFIの更新が必要)、X670/B650マザーはXMPにも対応
GIGA-BYTEDDR5のIntel Z790マザーはEXPOにも対応(Z690はEXPO非対応)、X670/B650マザーはXMPにも対応
MSIDDR5のIntel Z790/Z690マザーはEXPOにも対応、AMD X670/B650マザーはXMPにも対応

第13世代CoreはDDR5とDDR4で性能が変わる?

 ここでは、Core i9-13900Kと、同一メーカー・同一シリーズのDDR5/DDR4対応Z790マザーボードを用意し、DDR5とDDR4で性能差はあるのか試す。DDR5は13900K定格のDDR5-5600のほか、低価格で購入できるDDR5-4800でもテスト。DDR4はCPU定格のDDR4-3200とした。

 Z790マザーはDDR5、DDR4どちらの対応も数多く存在しているだけに、製品選びの参考になれば幸いだ。

メモリのクロックは、UEFIでXMPプロファイルを読み込んだ上で、それぞれ設定している。レイテンシや電圧は自動的に設定されるものを使った

 結果を見ると、ほとんどのテスト項目で大きな差はなく、2022年もDDR5が絶対優位という状況にはない。しかし、よく見ると、Fire StrikeのPhysics、オーバーウォッチ 2のフルHD解像度、HandBrakeによる動画エンコードなど、CPUパワーがとくに活きるシーンでは、DDR5のスコアがよくなっている。CPU性能を絞り出す、という点ではDDR5のほうが優秀と言ってよさそうだ。

 そして、UL Procyon Photo Editing BenchmarkでLightroom Classicを使って実際に処理を行なうBatch Processingでは、DDR5のほうが圧倒的に優位。用途によってはDDR5にメリットがある状況も生まれつつある。

5/2 17:00更新 HandBrakeのグラフに一部誤りがありました。訂正してお詫びいたします。

【検証環境】
CPUIntel Core i9-13900K(24コア32スレッド)
マザーボードASRock Z790 Pro RS(Intel Z790、DDR5)、ASRock Z790 ProRS/D4(Intel Z790、DDR4)
メモリKingston FURY Beast DDR5 KF556C36BBEK2-32(PC5-44800 DDR5 SDRAM 16GB×2)、CorsairVengeance RGB PRO CMW32GX4M2Z3600C18(PC4-28800 DDR4 SDRAM 16GB×2)
ビデオカードMSI GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OC(NVIDIA GeForce RTX 3070)
システムSSDキオクシア EXCERIA PRO SSD-CK2.0N4P/N[M.2(PCI Express 4.0 x4)、2TB]
CPUクーラーCorsair iCUE H150i RGB PRO XT(簡易水冷、36cmクラス)
OSWindows 11 Pro(22H2)

[TEXT:芹澤正芳]

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