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CPUの世代交代で激震に見舞われたマザーボード市場！【PCパーツ100選マザーボード編】

DOS/V POWER REPORT 2023年冬号の記事を丸ごと掲載！

DOS/V POWER REPORT編集部

2023年4月19日 08:05

Intel第13世代Coreは従来のLGA1700マザーで使用可能

　Intelが2022年10月に投入した第13世代Core（開発コード名：Raptor Lake）は、第12世代Core用として発売されたIntel 600シリーズチップセット搭載マザーボードでも利用できるが、これから新規でマザーボードを購入する場合は同時にリリースされたZ790チップセット搭載マザーボードがメインの選択肢となるだろう。

　第13世代CoreとZ790チップセットによるプラットフォームの概要は下のとおりだ。新たな特徴として、対応メモリがDDR5-5600に高速化されたこと、チップセットがサポートするPCI Express 4.0のレーン数とUSB20Gbpsポートの数が増えたことなどが挙げられる。

　第13/12世代Core用の主なチップセットの仕様を下の図にまとめた。マザーボード選択の際は、サポートする機能の差をよく考慮して選ぶことが肝要だ。

LGA1700プラットフォーム

第13世代Coreプラットフォームの概要は図のとおり。新たなデバイスのサポートなどはないが、CPUがサポートするDDR5メモリのクロックが向上し、チップセットがサポートするPCI Express 4.0のレーン数などが増加した

第13/12世代Core用チップセットの主な機能
	Intel Z790	Intel Z690	Intel H670	Intel B660
PCIe 5.0 x16（CPU側グラフィックス用）	〇	〇	〇	〇
NVMe M.2（CPU側）	PCIe 4.0 x4	PCIe 4.0 x4	PCIe 4.0 x4	PCIe 4.0 x4
倍率アンロックCPUのオーバークロック	〇	〇	×	×
メモリのオーバークロック	〇	〇	〇	〇
CPU側PCI Expressの分割	〇	〇	〇	×
CPU－チップセット間リンク	DMI 4.0 x8（16GT/s）	DMI 4.0 x8（16GT/s）	DMI 4.0 x8（16GT/s）	DMI 4.0 x4（8GT/s）
チップセット側PCI Express	4.0（最大20レーン） 3.0（最大8レーン）	4.0（最大12レーン） 3.0（最大16レーン）	4.0（最大12レーン） 3.0（最大12レーン）	4.0（最大6レーン） 3.0（最大8レーン）
Serial ATA 3.0	最大8	最大8	最大8	最大4
RAID	0/1/5/10	0/1/5/10	0/1/5/10	0/1/10（PCI-Eは非対応）
USB 20Gbps	最大5	最大4	最大2	最大2
USB 10Gbps	最大10	最大10	最大4	最大4
USB 5Gbps	最大10	最大10	最大8	最大6

　第13世代Coreと第12世代Coreに対応する主なチップセットは表の4種類。全種ともCPU側のPCI Express 5.0 16レーンを有効化できる。チップセットによりサポートするPCI Expressのレーン数やUSBの数が異なり、これが搭載マザーボードの機能を規定することになる

AMD Ryzen 7000シリーズでCPUソケットが変更、DDR5対応に

　AMD CPUプラットフォームには大きな動きがあった。AMDのメインストリームCPUでは、長らく裏側に信号ピンがあるPGA（Pin Grid Array）パッケージが採用されていたが、2022年9月に発売が開始されたRyzen 7000シリーズ（Zen 4）は、裏面にランドと呼ばれる金属の接点がある「LGA（Land Grid Array）」パッケージに変更された。それに伴い対応CPUソケットが従来のSocket AM4からSocket AM5に変更され、チップセットも専用のAMD 600シリーズが用意された。

　Ryzen 7000シリーズを使うにはマザーボードの新規購入が必須だが、TDPが最大170Wに引き上げられたRyzen 7000シリーズを動作させるには、マザーボードも大規模な電源部が必要となり、Intel向けのものと比べて対応マザーボードには高価なものが多い。DDR5メモリも必須で、多くの初期投資が必要になることは覚えておきたい。

　AMD 600シリーズチップセットの最上位「X670E」を使用したRyzen 7000シリーズのプラットフォームの概要は下のとおりだ。AM4環境との大きな違いは、CPUが「DDR5-5200メモリ」と「PCI Express 5.0」をサポートしたこと。チップセットが「USB 20Gbps」をサポート、さらにサポートする「PCI Express 4.0」のレーン数が増えたことなどが挙げられる。

　Intelは2021年に発売した第12世代Coreでこうした点を実現しており、AMDプラットフォームがやっと追い付いた形だが、NVMe SSD向けにPCI Express 5.0を8レーン持つなど強みもある。

　現状（DOS/V POWER REPORT 2023年冬号発売時点）、リリースされている600シリーズチップセットは、「X670E」、「X670」、「B650E」、「B650」の4種類。X670系は2チップ構成でB650系は1チップ。そのため、チップセット側のPCI Express 4.0のサポートレーン数やUSBのサポート数が大きく異なる。型番にEが付いているものはCPU直結のx16スロットがPCI Express 5.0対応とされているが、チップ自体は同じものだ。

Socket AM5プラットフォーム

CPUがLGAパッケージになったため、AM4との互換性は消滅。CPUがPCI Express 5.0とDDR5メモリをサポートしたのが新しいところ。最上位チップセットのX670（E）はデュアル構成で、USB 20Gbpsを2基サポートするなど、インターフェースも豊富

Ryzen 7000シリーズ用チップセットの主な機能
	AMD X670E	AMD X670	AMD B650E	AMD B650
PCIe 5.0 x16(CPU側グラフィックス用）	〇	×（PCIe 4.0）	〇	×（PCIe 4.0）
NVMe M.2（CPU側）	PCIe 5.0 x8	PCIe 5.0 x8	PCIe 5.0 x4	PCIe 4.0 x4（5.0はオプション）
倍率アンロックCPUのオーバークロック	〇	〇	〇	〇
メモリのオーバークロック	〇	〇	〇	〇
CPU側PCI Expressの分割	〇	〇	〇	○
CPU－チップセット間リンク	PCIe 4.0 x4（8GT/s）	PCIe 4.0 x4（8GT/s）	PCIe 4.0 x4（8GT/s）	PCIe 4.0 x4（8GT/s）
チップセット側PCI Express	4.0（最大12レーン） 3.0（最大8レーン）	4.0（最大12レーン） 3.0（最大8レーン）	4.0（最大8レーン） 3.0（最大4レーン）	4.0（最大8レーン） 3.0（最大4レーン）
Serial ATA 3.0	最大8	最大8	最大4	最大4
RAID	0/1/10	0/1/10	0/1/10	0/1/10
USB 20Gbps	最大2	最大2	最大1	最大1
USB 10Gbps	最大12	最大12	最大6	最大6
USB 2.0	最大12	最大12	最大6	最大6

　Ryzen 7000シリーズ用チップセットは表の4種類。X670系とB650系ではチップセット側のPCI Express 4.0のサポートレーン数やUSBのサポート数が異なる。

　型番末尾に「E」が付いたチップセットを搭載したマザーボードは、必ずビデオカード用にPCI Express 5.0 x16スロットを備えている。一方、M.2スロットの実装はまちまちで、公式にはPCIExpress 5.0をサポートしないB650マザーボードの中には、5.0x4接続のM.2スロットを備えたものもある

本誌＆AKIBA PC Hotline! 読者はコレが気になった!!

　AKIBA PC Hotline!協力のもと実施した「あなたが気になるPCパーツ」のマザーボードの投票結果は下のとおりとなった。動画配信に最適化した「Z790 LiveMixer」など、全カテゴリーでコンセプトがしっかりとした製品が多く票を集めた。目立つのはASRock 製品の人気ぶり。同社の多彩な製品コンセプトが、確実にユーザーの心をとらえていることが分かる。

10万円以上
順位	メーカー名、製品名	得票数
1位	ASRock Z790 Taichi	290
2位	MSI MEG X670E ACE	226
3位	ASRock Z790 Taichi Carrara	223

　10万円以上の高価格帯では、品質、機能ともに充実させつつ、このクラスとしては価格も抑えめに設定されている製品が注目されている。

5万円以上10万円未満
順位	メーカー名、製品名	得票数
1位	ASRock Z790 LiveMixer	384
2位	ASRock X670E Steel Legend	165
3位	ASRock Z790 PG SONIC	164

　このカテゴリーでは、動画配信に最適化したZ790 LiveMixerなど、特徴的な製品に注目が集まった。

5万円未満
順位	メーカー名、製品名	得票数
1位	MSI MAG Z790 TOMAHAWK WIFI DDR4	167
2位	ASRock B650 LiveMixer	153
3位	ASRock Z790 Steel Legend WIFI	141

　5万円未満の製品では、品質重視の設計かつ機能も充実させたコストパフォーマンスの高い製品が人気だ。

スモールフォームファクター
順位	メーカー名、製品名	得票数
1位	ASUSTeK ROG STRIX Z790-I GAMING WIFI	169
2位	ASRock Z790 PG-ITX/TB4	151
3位	ASUSTeK ROG STRIX X670E-I GAMING WIFI	123

　スモールフォームファクターでは、電源部がしっかり作り込まれているなど高品質で、かつ高機能な製品の人気が高い。

【投票結果発表】本誌執筆陣が評価した製品はコレだ!!

　今回は、マザーボードを「10万円以上」、「5万円以上10万円未満」、「5万円未満」、「スモールフォームファクター」の四つのカテゴリーに分け、本誌執筆陣と編集部で投票を行なった。なお、それぞれの持ち点は各カテゴリーの製品数に応じて、10万円以上は3点、5万円以上10万円未満および5万円未満は7点、スモールフォームファクターは3点とし、1製品につき1点投票できるルールとしている。

10万円以上
メーカー名	製品名	CPUソケット	チップセット	フォームファクター	Windlas	芹澤正芳	滝伸次	編集部
ASUSTeK	ROG MAXIMUS Z790 HERO	LGA1700	Intel Z790	ATX	1	1	1	_
MSI	MEG X670E ACE	Socket AM5	AMD X670E	ExtendedATX	1	1	_	1
ASRock	Z790 Taichi Carrara	LGA1700	Intel Z790	ExtendedATX	_	_	_	1
ASRock	Z790 Taichi	LGA1700	Intel Z790	ExtendedATX	1	_	1	_
ASUSTeK	ROG MAXIMUS Z790 APEX	LGA1700	Intel Z790	ATX	_	1	_	_
GIGA-BYTE	Z790 AORUS MASTER（rev. 1.0）	LGA1700	Intel Z790	ExtendedATX	_	_	1	_
ASUSTeK	ROG CROSSHAIR X670E HERO	Socket AM5	AMD X670E	ATX	_	_	1	_

　金レコメンドを獲得したのはASUSTeKの「ROG MAXIMUS Z790 HERO」とMSIの「MEGX670E ACE」。どちらも高品質かつ高機能で、価格もほどよく抑えられている点が評価された

Ryzen 7000シリーズ対応のMSI MEG X670E ACEは、90A対応SPSを採用した22＋2＋1フェーズVRMという歴代最高クラスのCPU VRMを備えた高品質仕様が魅力

5万円以上10万円未満
メーカー名	製品名	CPUソケット	チップセット	フォームファクター	Windlas	芹澤正芳	滝伸次	編集部
GIGA-BYTE	Z790 AORUS ELITE AX（rev. 1.0）	LGA1700	Intel Z790	ATX	1	1	1	1
ASRock	X670E Steel Legend	Socket AM5	AMD X670E	ATX	1	1	_	1
ASUSTeK	ProArt X670E-CREATOR WIFI	Socket AM5	AMD X670E	ATX	1	1	1	1
ASUSTeK	ROG STRIX Z790-F GAMING WIFI	LGA1700	Intel Z790	ATX	_	1	1	_
ASUSTeK	PRIME X670E-PRO WIFI-CSM	Socket AM5	AMD X670E	ATX	_	1	1	_
BIOSTAR	X670E VALKYRIE	Socket AM5	AMD X670E	ATX	1	1	_	_
ASUSTeK	ROG STRIX B650E-F GAMING WIFI	Socket AM5	AMD B650E	ATX	_	1	1	_
ASRock	Z790 PG SONIC	LGA1700	Intel Z790	ATX	_	_	1	_
ASRock	Z790 LiveMixer	LGA1700	Intel Z790	ATX	1	_	_	_
ASUSTeK	TUF GAMING Z790-PLUS WIFI D4	LGA1700	Intel Z790	ATX	_	_	_	1
BIOSTAR	Z790 VALKYRIE	LGA1700	Intel Z790	ATX	1	_	_	_
ASRock	X670E Taichi	Socket AM5	AMD X670E	ATX	_	_	1	_
ASUSTeK	ROG CROSSHAIR X670E GENE	Socket AM5	AMD X670E	microATX	_	_	_	1
ASUSTeK	ROG STRIX X670E-F GAMING WIFI	Socket AM5	AMD X670E	ATX	_	_	_	1
MSI	MPG X670E CARBON WIFI	Socket AM5	AMD X670E	ATX	_	_	_	1
ASUSTeK	ROG STRIX B650-A GAMING WIFI	Socket AM5	AMD B650	ATX	1	_	_	_

　このカテゴリーでは、品質、機能ともに充実してコストパフォーマンスにも優れるGIGA-BYTEの「Z790 AORUS ELITE AX」などの製品が多く票を集めた。

　注目したいのは、金レコメンドを獲得したASUSTeKの「ProArt X670ECREATOR WIFI」。クリエイター向けで、2基のPCI Express 5.0対応M.2スロットや40GbpsのUSB4ポート、10Gbps LANなど超高速インターフェースをふんだんに備えているのが特徴。仕事できちんと使用できるPCを作成できる点が評価された

品質、機能ともにほどよくまとめられておりコスパの高いGIGA-BYTE Z790 AORUS ELITE AX

USB 4やPCI Express 5.0 x4対応M.2スロットなど高速インターフェースが充実したASUSTeK ProArt X670E-CREATOR WIFI

5万円未満
メーカー名	製品名	CPUソケット	チップセット	フォームファクター	Windlas	芹澤正芳	滝伸次	編集部
GIGA-BYTE	Z790 D DDR4 （rev. 1.0）	LGA1700	Intel Z790	ATX	1	1	_	1
MSI	MAG Z790 TOMAHAWK WIFI DDR4	LGA1700	Intel Z790	ATX	1	1	1	1
MSI	MAG B650 TOMAHAWK WIFI	Socket AM5	AMD B650	ATX	1	_	1	1
ASRock	Z790 Steel Legend WiFi	LGA1700	Intel Z790	ATX	_	1	_	1
MSI	MAG H670 TOMAHAWK WIFI DDR4	LGA1700	Intel H670	ATX	1	1	_	_
GIGA-BYTE	X670 AORUS ELITE AX（rev. 1.0）	Socket AM5	AMD X670	ATX	1	_	1	_
GIGA-BYTE	B650M AORUS ELITE AX（rev. 1.1）	Socket AM5	AMD B650	microATX	1	1	_	_
ASUSTeK	PRIME Z690-A	LGA1700	Intel Z690	ATX	_	_	1	_
MSI	MAG Z690 TORPEDO	LGA1700	Intel Z690	ATX	_	_	_	1
ASRock	B660 Steel Legend	LGA1700	Intel B660	ATX	_	_	1	_
ASRock	B660 Pro RS	LGA1700	Intel B660	ATX	_	_	_	1
BIOSTAR	B660GTQ	LGA1700	Intel B660	microATX	_	_	1	_
ASRock	X670E PG Lightning	Socket AM5	AMD X670E	ATX	_	_	_	1
ASRock	B650 LiveMixer	Socket AM5	AMD B650	ATX	_	1	_	_
ASUSTeK	TUF GAMING B650-PLUS WIFI	Socket AM5	AMD B650	ATX	_	1	_	_
BIOSTAR	B650EGTQ	Socket AM5	AMD B650E	microATX	_	_	1	_
ASRock	B550M Steel Legend	Socket AM4	AMD B550	microATX	1	_	_	_

　票を集めたのは、コストを重視しつつも品質や機能を充実させた製品だ。GIGA-BYTEの「Z790 D DDR4」は実売で4万円を切るなどZ790マザーとしては安価ながら、60AのDrMOSを採用した16＋1＋1フェーズVRMを搭載するなど十分な品質で、USB 20Gbpsなどトレンド機能も一通りサポートする点が評価された。

　MSIの「MAG Z790 TOMAHAWK WIFI DDR4」は、比較的低価格ながら90AのSPSを採用した16＋1＋1フェーズV R Mを搭載、すべてのM.2スロットにヒートシンクを装備するなど1クラス上と言える仕様で機能も充実している点に票が集まった

品質、機能ともに十分ながら、4万円を切る価格が魅力のZ790 D DDR4

このクラスにはめずらしくM.2ヒートシンク完備のMAG Z790 TOMAHAWK WIFI DDR4

スモールフォームファクター
メーカー名	製品名	CPUソケット	チップセット	フォームファクター	Windlas	芹澤正芳	滝伸次	編集部
ASRock	Z790 PG-ITX/TB4	LGA1700	Intel Z790	Mini-ITX	1	1	_	1
GIGA-BYTE	B650I AORUS ULTRA（rev. 1.0）	Socket AM5	AMD B650	Mini-ITX	1	1	1	1
ASUSTeK	ROG STRIX Z690-I GAMING WIFI	LGA1700	Intel Z690	Mini-ITX	_	_	1	_
ASRock	B650E PG-ITX WiFi	Socket AM5	AMD B650E	Mini-ITX	_	_	_	1
ASRock	B550 Phantom Gaming-ITX/ax	Socket AM4	AMD B550	Mini-ITX	_	_	1	_
BIOSTAR	B550T-SILVER	Socket AM4	AMD B550	Mini-ITX	_	1	_	_
GIGA-BYTE	B550I AORUS PRO AX（rev. 1.0）	Socket AM4	AMD B550	Mini-ITX	1	_	_	_

　拡張機能を充実させることが難しいスモールフォームファクター部門では、安定性、耐久性重視の仕様の上、Thunderbolt 4などの高速インターフェースやWi-Fi 6Eなどの機能が充実した製品が多く票を獲得した

高品質仕様の上、Thunderbolt 4などの機能も充実したZ790 PG-ITX/TB4

[TEXT：滝伸次]

CPUの世代交代で激震に見舞われたマザーボード市場！【PCパーツ100選マザーボード編】

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