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【コスパ最強自作術】④ ビデオカード編

DOS/V POWER REPORT 2023年春号の記事を丸ごと掲載!

高い買い物だからこそじっくり選びたいビデオカード 用途や予算を考えて“自分に必要なGPU”を選ぶ

 ビデオカードは以前に比べて値上がりが顕著だ。為替や部材価格の問題に加え、最新のRTX40シリーズやRX 7000シリーズは高コストな5nmプロセスを採用したためだ。

 最強GPUを載せたカードが遠くなった今、自分に合ったビデオカード選びの“選択眼”が重要になる。

POINT 1 「PCを使って何をしたいか」がGPU選び最初の一歩

 ビデオカードは、CPUに内蔵されているGPUよりも高いグラフィックス処理能力を得るためのパーツだ。ゲームの画質や解像度を引き上げ、より高フレームレートで遊ぶためには高性能な製品が必要不可欠。だが、画質を落としてもゲームの目的に影響がないeスポーツ系タイトルと、映像美もウリのゲームでは、求められる性能も大きく異なる。

代表的なGPUの活用法
高性能ビデオカード必須のPCゲーム 最近のAAAタイトルはGPUの要求スペックも高く、快適動作にはRTX 3070以上が要求されることもめずらしくなくなってきた
写真/映像を扱うクリエイティブアプリ 写真現像や動画編集アプリもGPUを補助的に使う。現像程度なら下位GPUでも十分だが、動画編集にはビデオメモリの多い上位GPUが必要
今もっともアツいAI環境構築 オンラインだと利用制限がかかる可能性があるが、自分のPC上で構築すれば好きなだけ試せる。この処理にも高性能GPUが必要だ

 また、ゲームに興味がなくても、動画編集や写真のRAW現像がPCの用途のメインなら、ビデオカードは作業の効率を左右する重要なパーツになり得る。さらに最近では「ChatGPT」、「Stable Diffusion」といったAIを快適に動かすために高性能ビデオカードが注目を集めている。どちらの用途でも、より大きなデータを扱う上で強力なGPUを搭載したビデオカードが有利だ。

現在流通しているビデオカードの実売価格の目安

 とはいえ現実は厳しい。何でも快適動作が期待できるビデオカードは10万円以上。とくに最新のGeForceやRadeonは強力だが円安の影響で価格設定も高い。ビデオカードに割ける予算と自分がPCでやりたいことのマッチングが今まで以上に重要な時世なのだ。

Chrome/Edge上で再生する動画をAIで高画質化する技術も誕生(詳細はp.94)。ある程度高性能なGPUのほうができることも増える

POINT 2 解像度、レイトレ、DLSS/FSR……最新ゲームで求められる要素

4K vs. WQHD vs. フルHD
GeForce RTX 40シリーズの登場とともにグラフィックスに関連した大規模なパッチが配布された名作「ウィッチャー3 ワイルドハント」で3種類の解像度を比較してみた(画質最高&レイトレーシングOFF)。フルHDでは鎧や遠方のディテールがつぶれがちになるが、解像度を上げるほどに精細になる。しかしフレームレートは急激に低下するというデメリットもあり、解消には強力なGPUが必須となる

 ゲームの重さは解像度と画質設定で大きく変化する。画質や解像度を上げればディテールは増すが、フレームレートは相応に下がる。レイトレーシングを使えばさらに描画負荷は上乗せだ。最新ゲームになるほど強力なGPUが推奨環境に入る理由だが、同時に永遠のイタチごっこでもある。

レイトレーシングは必要か?不要か?
レイトレーシングの中でもさらに重いパストレーシングで光の物理的な挙動まで描き込む「Portal with RTX」。往年の名作もぐっと雰囲気が向上するが、このクラスだとRTX 40シリーズが必須

 この流れに逆らうかのように生まれたのが「DLSS SR(Super Resolution)」や「FSR 1/2」といったアップスケール技術だ。画面を一度低解像度でレンダリングしてからアップスケール処理を施すことで、描画負荷低下とフレームレートの向上が得られるので積極的に利用したい。

アップスケーラでフレームレートを稼ぐ
DLSS SRやFSR 1/ FSR 2はゲーム側で有効化する。“パフォーマンス”側に寄せるほど内部解像度が下がるのでフレームレートが上がるが、細部がボケ気味になる

 さらに注目の機能がGPUだけで次フレームを挿入してフレームレートを上げる「フレーム生成」技術だ。RTX 40シリーズ用の「DLSS FG(Frame Generation)」のほか、AMDが開発中の「FSR 3」がこれに該当する。

今後はフレーム生成技術に注目
RTX 40シリーズのみが対応する「DLSS FG」は、GPU側で次フレームを生成してフレームレートを激増させる技術。最新注目タイトルでの採用スピードが速い点も◎だ。画面は「ホグワーツ・レガシー」でのDLSS FG使用例。最高画質+レイトレ最大でこの効果だ
ゲームの画質設定を低くすれば軽くなるが、ディテールは相応に失われる。低画質で満足できるならミドルレンジGPUでも十分だ

POINT 3 遊びたいゲームのタイプで目標GPUを考える

 上記までの情報を踏まえると、最新ハイエンドGPUを搭載したビデオカードを選べば「GPUパワーが足りない」という不安を払拭できるが、誰もが手にできる価格ではない。となれば、どんなゲームをどんなスタイルで遊びたいか?でGPU選びを考えてみよう。

 グラフは本誌連載「GPU Round-Robin Benchmark」からの抜粋だが、レイトレーシング山盛りの「サイバーパンク2077」は、RTX 3070/3060ではフルHDですら厳しい。ミドルレンジのGPUで遊ぶなら、フルHD&画質設定下げ気味、そして使えるならDLSS併用がベター。快適動作を希望するならDLSS FGに対応したRTX4070 Ti以上が欲しい。

 それほど描画負荷の高くない「Forza Horizon 5」であれば、フルHD〜WQHDまでならRTX 3060クラスでも快適に動作する。ただし、4K表示でプレイしたいということなら、RTX 4070 TiやRX 7900 XTXクラスが必須になる。

 さらに描画の軽い「オーバーウォッチ2」となると、GeForceならRTX 3060、RadeonならRX 6600 XTや6650 XTなどでも快適動作の可能性が見えてくる。画質を下げFSR 1を併用すればGTX 1650でもフルHDプレイは可能だが、勝ちを狙いにいくプレイスタイルなら、RTX 3060/3060 Tiクラスが好適だ。ゲーミング液晶も投入してガチンコプレイをご所望なら、解像度はフルHDに、フレームレート144fps以上を維持できる画質設定を探ってみよう。

自作PC一式20万円の予算だとRTX 3060 Tiがビデオカード予算の限界だろうか。これならDLSS SRもFSR 1/ FSR 2も利用できるので、快適に遊べるゲームも幅広くなる。目標は6万円台半ば

「ゲーミング液晶」にも興味があるなら

 今やゲーマーの必須アイテムになりつつあるゲーミング液晶。ゲームを快適にプレイするためのさまざまな機能が搭載されているが、もっとも重要なのが“リフレッシュレート”だ。一般的なモニタは60Hzなので、1秒間に描画可能なのは60コマ。それに対してゲーミングモニタは144Hz以上が中心で、1秒間に144コマ以上もの描画が可能となる。対戦型ゲームでは、遠くにいる敵のわずかな動きを認識しやすくなり、素早く動く敵を狙いやすくなる(中の人の技量も重要だが)。画面全体が高速に動く振り向くような動作の描画もなめらかになり、ゲームプレイの快適度が格段にアップするのが最大の特徴だ。

高リフレッシュレートが必須
ゲーミングモニタ最大の強みは1秒間に画面を書き換え可能な回数の「リフレッシュレート」が高いこと。1秒間のコマ数が増えることでまわりの状況を把握しやすくなる、敵の動きを追いやすくなるなどさまざまなメリットが生まれる。主にFPSやTPSで効果が高い。eスポーツなど勝ちにこだわる人向けという見方もあるが、なめらかな描画はどのゲームでも気持ちがよいもの。多くのゲーマーにオススメだ

 ただし、高リフレッシュレートを活かすには、それ以上のフレームレートを出せるPCの性能が必須となる。フルHD解像度ならエントリークラスのGPUでも高フレームレートを出しやすいが、描画負荷が高くなる4Kではアッパーミドル以上のGPUがマスト。そのため、ゲーミングモニタを選ぶ場合、利用するPCの性能に合わせて解像度を選択することが重要と言える。GPUがミドルレンジ以下なら、フルHDのゲーミング液晶を選べば性能を持て余すことはないだろう。

そのほかのゲーミング向け機能

・FreeSync/G-SYNC:画面ズレやカクつきを防ぐ可変リフレッシュレート(VRR)機能のこと
・暗部補正:暗い場所を明るくし、隠れている敵などを発見しやすくする。FPS/TPSで効果的
・アンチモーションブラー:液晶特有の画面ブレを軽減する機能。VRRとは排他利用になる製品が多い

お手頃ゲーミング液晶ミニカタログ
AOC Monitors G2490VX/11 実売価格:18,000円前後 23.8型でフルHD解像度。リフレッシュレート144Hz、1msの高速な応答時間、VRR(FreeSync Premium)対応、暗部補正などゲーミングモニタとしての基本を押さえて2万円を切る良コスパを実現している。入門機に最適
Micro-Star International G242C 実売価格:25,000円前後 23.6型でフルHD、リフレッシュレートはOC設定時で170Hzとちょっと高め。没入感のある湾曲仕様なのが特徴で、応答速度は1ms、VRR(FreeSync Premium)対応、暗部補正も備わっている。ブルーライト軽減も用意
BenQ MOBIUZ EX2710S 実売価格:39,000円前後 フルHDのモニタとしては大きい27型。価格は高めだが、HDR対応、高音質のスピーカーを搭載とゲームだけではなく、動画は音楽も快適の楽しめるエンタメ仕様が特徴。リフレッシュレートは165Hzで応答速度1ms、VRRにも対応する
Dell S2722DGM 直販価格:28,540円 WQHD解像度、165Hzの高リフレッシュレート、没入感抜群の湾曲仕様で2万円台と、これぞ高コスパと言える1台だ。sRGBカバー率99 % と色の表現力に優れ、3,000:1とコントラストも高い。応答速度は2ms、VRRも当然サポート
【検証環境】
CPUIntel Core i9-13900K(24コア32スレッド)
マザーボードASUSTeK ROG MAXIMUS Z790 HERO(Intel Z790)
メモリG.Skill F5-6000J3038F16GX2-TZ5N(PC5-48000 DDR5 SDRAM 16GB×2※DDR5-5600動作)
システムSSDCorsair CSSD-F1000GB MP600[M.2(PCI Express 4.0 x4)、1TB]
データSSDSilicon Power SP002TBP34A80M28[M.2(PCI Express 3.0 x4)、2TB]
電源Super Flower LEADEX TITANIUM 1000W(1,000W、80PLUS Platinum)
OSWindows 11 Pro

[TEXT:加藤勝明、芹澤正芳]

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