パワレポ連動企画
【コスパ最強自作術】④ ビデオカード編
DOS/V POWER REPORT 2023年春号の記事を丸ごと掲載!
2023年8月14日 09:09
高い買い物だからこそじっくり選びたいビデオカード 用途や予算を考えて“自分に必要なGPU”を選ぶ
ビデオカードは以前に比べて値上がりが顕著だ。為替や部材価格の問題に加え、最新のRTX40シリーズやRX 7000シリーズは高コストな5nmプロセスを採用したためだ。
最強GPUを載せたカードが遠くなった今、自分に合ったビデオカード選びの“選択眼”が重要になる。
POINT 1 「PCを使って何をしたいか」がGPU選び最初の一歩
ビデオカードは、CPUに内蔵されているGPUよりも高いグラフィックス処理能力を得るためのパーツだ。ゲームの画質や解像度を引き上げ、より高フレームレートで遊ぶためには高性能な製品が必要不可欠。だが、画質を落としてもゲームの目的に影響がないeスポーツ系タイトルと、映像美もウリのゲームでは、求められる性能も大きく異なる。
また、ゲームに興味がなくても、動画編集や写真のRAW現像がPCの用途のメインなら、ビデオカードは作業の効率を左右する重要なパーツになり得る。さらに最近では「ChatGPT」、「Stable Diffusion」といったAIを快適に動かすために高性能ビデオカードが注目を集めている。どちらの用途でも、より大きなデータを扱う上で強力なGPUを搭載したビデオカードが有利だ。
とはいえ現実は厳しい。何でも快適動作が期待できるビデオカードは10万円以上。とくに最新のGeForceやRadeonは強力だが円安の影響で価格設定も高い。ビデオカードに割ける予算と自分がPCでやりたいことのマッチングが今まで以上に重要な時世なのだ。
POINT 2 解像度、レイトレ、DLSS/FSR……最新ゲームで求められる要素
ゲームの重さは解像度と画質設定で大きく変化する。画質や解像度を上げればディテールは増すが、フレームレートは相応に下がる。レイトレーシングを使えばさらに描画負荷は上乗せだ。最新ゲームになるほど強力なGPUが推奨環境に入る理由だが、同時に永遠のイタチごっこでもある。
この流れに逆らうかのように生まれたのが「DLSS SR(Super Resolution)」や「FSR 1/2」といったアップスケール技術だ。画面を一度低解像度でレンダリングしてからアップスケール処理を施すことで、描画負荷低下とフレームレートの向上が得られるので積極的に利用したい。
さらに注目の機能がGPUだけで次フレームを挿入してフレームレートを上げる「フレーム生成」技術だ。RTX 40シリーズ用の「DLSS FG(Frame Generation)」のほか、AMDが開発中の「FSR 3」がこれに該当する。
POINT 3 遊びたいゲームのタイプで目標GPUを考える
上記までの情報を踏まえると、最新ハイエンドGPUを搭載したビデオカードを選べば「GPUパワーが足りない」という不安を払拭できるが、誰もが手にできる価格ではない。となれば、どんなゲームをどんなスタイルで遊びたいか?でGPU選びを考えてみよう。
グラフは本誌連載「GPU Round-Robin Benchmark」からの抜粋だが、レイトレーシング山盛りの「サイバーパンク2077」は、RTX 3070/3060ではフルHDですら厳しい。ミドルレンジのGPUで遊ぶなら、フルHD&画質設定下げ気味、そして使えるならDLSS併用がベター。快適動作を希望するならDLSS FGに対応したRTX4070 Ti以上が欲しい。
それほど描画負荷の高くない「Forza Horizon 5」であれば、フルHD〜WQHDまでならRTX 3060クラスでも快適に動作する。ただし、4K表示でプレイしたいということなら、RTX 4070 TiやRX 7900 XTXクラスが必須になる。
さらに描画の軽い「オーバーウォッチ2」となると、GeForceならRTX 3060、RadeonならRX 6600 XTや6650 XTなどでも快適動作の可能性が見えてくる。画質を下げFSR 1を併用すればGTX 1650でもフルHDプレイは可能だが、勝ちを狙いにいくプレイスタイルなら、RTX 3060/3060 Tiクラスが好適だ。ゲーミング液晶も投入してガチンコプレイをご所望なら、解像度はフルHDに、フレームレート144fps以上を維持できる画質設定を探ってみよう。
「ゲーミング液晶」にも興味があるなら
今やゲーマーの必須アイテムになりつつあるゲーミング液晶。ゲームを快適にプレイするためのさまざまな機能が搭載されているが、もっとも重要なのが“リフレッシュレート”だ。一般的なモニタは60Hzなので、1秒間に描画可能なのは60コマ。それに対してゲーミングモニタは144Hz以上が中心で、1秒間に144コマ以上もの描画が可能となる。対戦型ゲームでは、遠くにいる敵のわずかな動きを認識しやすくなり、素早く動く敵を狙いやすくなる(中の人の技量も重要だが)。画面全体が高速に動く振り向くような動作の描画もなめらかになり、ゲームプレイの快適度が格段にアップするのが最大の特徴だ。
ただし、高リフレッシュレートを活かすには、それ以上のフレームレートを出せるPCの性能が必須となる。フルHD解像度ならエントリークラスのGPUでも高フレームレートを出しやすいが、描画負荷が高くなる4Kではアッパーミドル以上のGPUがマスト。そのため、ゲーミングモニタを選ぶ場合、利用するPCの性能に合わせて解像度を選択することが重要と言える。GPUがミドルレンジ以下なら、フルHDのゲーミング液晶を選べば性能を持て余すことはないだろう。
そのほかのゲーミング向け機能
・FreeSync/G-SYNC:画面ズレやカクつきを防ぐ可変リフレッシュレート(VRR)機能のこと
・暗部補正:暗い場所を明るくし、隠れている敵などを発見しやすくする。FPS/TPSで効果的
・アンチモーションブラー:液晶特有の画面ブレを軽減する機能。VRRとは排他利用になる製品が多い
CPU | Intel Core i9-13900K(24コア32スレッド) |
マザーボード | ASUSTeK ROG MAXIMUS Z790 HERO(Intel Z790) |
メモリ | G.Skill F5-6000J3038F16GX2-TZ5N(PC5-48000 DDR5 SDRAM 16GB×2※DDR5-5600動作) |
システムSSD | Corsair CSSD-F1000GB MP600[M.2(PCI Express 4.0 x4)、1TB] |
データSSD | Silicon Power SP002TBP34A80M28[M.2(PCI Express 3.0 x4)、2TB] |
電源 | Super Flower LEADEX TITANIUM 1000W(1,000W、80PLUS Platinum) |
OS | Windows 11 Pro |
[TEXT:加藤勝明、芹澤正芳]
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