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【コスパ最強自作術②】CPU マザーボード編 その1

DOS/V POWER REPORT 2023年春号の記事を丸ごと掲載!

CPU マザーボード編

良コスパの製品を探れ!CPU、マザーボードは価格+目的とのマッチングが重要

 ここではコストパフォーマンスを重視した場合のCPUとマザーボード選びのポイントを紹介していく。CPUは用途によってお買い得になるモデルが異なることに注目だ。最後にメモリの容量別、DDR4/DDR5でのテストも紹介する。

POINT 1 CPUの価格とコア数の関係を見る

 コストパフォーマンスを重視してCPUを選ぶ場合、「コア数と価格のバランスがよいもの」が筆頭になるだろう。注目は実売価格が3万円から5万円のゾーンだ。Intelは第13世代からCore i5シリーズの下位モデルにもEコアの搭載を解禁し、多コア化が一気に進んだ。実売価格が3万3,000円前後で10コアのCore i5-13400や3万7,000円前後で14コアのCore i5-13500はとくに注目株と言える。Ryzenでは、コア数が効きやすい処理以外では安定して高いパフォーマンスを発揮する6コアのRyzen 5 7600X、前世代ということもあって価格の下がったゲーム特化型のRyzen 7 5800X3Dがゲーマーにとっては狙い目の存在と言えるだろう。両社とも最上位クラスは性能面では文句なく優秀だが、コスパが高いわけではない。

両社の現在の主流モデル

 マザーボード、メモリ、将来性まで含めたトータルコストへの意識も大切だ。Intelの第13世代Coreは、前世代のZ690/H670/B660チップセット搭載マザーボードでも利用でき、DDR4メモリにも対応しているのでトータルコストを下げやすい。Ryzenは7000シリーズからSocketを「AM5」に一新。マザーボードは比較的高価で、メモリもDDR5のみの対応と導入コストが高い。ただ、AM5は2025年(またはそれ以降)までサポートが約束されており、換装の余地がある。長く使えることを考えるとコスパが悪いとは一概に言えない。Ryzen 5000シリーズは、AM4世代最後の存在で将来性はないものの、CPUもマザーボードの価格も下がっており、導入コストの面では優秀だ。ただし、流通量が減ってきているのが難点と言える。

主要CPUの価格帯とコア数

POINT 2 クリエイティブ系はCPUパワーが効く

 ここからは主要CPUの性能をチェックしていこう。価格とベンチ結果とのバランスが優秀なCPUについては「良コスパ」のアイコンを付けている。まずは、クリエイティブ系の処理としてCGレンダリングの「CINEBENCH R23」と動画エンコードの「HandBrake」を見る。どちらもコア数が重要になる処理だけに、上位CPUが強い。Ryzen 7000シリーズはスコアは優秀だが上位は価格が高いため、コスパではIntelに分がある。クリエイティブ用途なら、予算が許す限り上位CPUを選ぶべきだろう。

HandBrakeでの動画エンコードなどCPUパワーをフルに使う処理では、コア数が多くクロックが高いCPUの強さがはっきりと出る

POINT 3 ゲームはコア数が絶対ではない

 次はゲーム用途だ。ゲームのフレームレートはビデオカードの性能で大半が決まると言ってよいが、最近では多コアへの対応が進んでいることもあり、CPUパワーも重要になっている。ここでは、Ryzen 7 5800X3Dが注目だろう。前世代のモデルながら、Ryzen7000シリーズの上位モデルを超えるフレームレートを出しており、ゲーム特化型の強さを発揮。価格も下がったことでコスパは非常に良好だ。Ryzen 5 7600Xも6コアながらゲームでは安定して高い性能を発揮しており、コスパに優れている。ゲームに関してはコア数が絶対的な強さにならないのが、クリエイティブ用途とは異なるところだ。

 Ryzen 9 7950X3Dはゲーム特化の上位CPUだけあって異次元とも言えるフレームレートを叩き出しているが、価格が10万円を超えるため、このフレームレートを得るためにかかるコストと考えると効率がいいとは言えない。

POINT 4 一般的な用途では性能差は小さくなる

 文書作成や表計算、Webブラウジング、写真や動画編集、アプリの起動などさまざまな処理を実行してPCの総合的な性能を測定するベンチマーク「CrossMark」の結果から、総合スコアのOverallと応答性のResponsivenessの結果を掲載する。一般的な処理ではそれほどCPUパワーを求められないため、クリエイティブ系の処理ほど上位と下位のCPUでスコア差が開かないのがポイントだ。そのため、コスパがよいCPUは実売価格が3万円台前半の中位モデルとなる。Intelでは低価格10コアのCore i5-13400、AMDでは6コアでも高いスコアを出すRyzen 5 7600Xがこれに該当する。ゲームでは圧倒的強さを見せたX3D系だが、3次キャッシュは大容量なものの、7950X3DはTDPが低く、5800X3Dは動作クロックが低いこともあって一般用途中心のテストではスコアが伸びていない。

 ここまでのテストで分かるように、用途によって良コスパCPUは変化する。自分の目的に合ったものを見付けてほしい。

用途別オススメCPU
【検証環境】
<LGA1700>マザーボードASUSTeK ROG MAXIMUS Z790 HERO(Intel Z790、DDR5)
<Socket AM5>マザーボードASUSTeK ROG STRIX X670E-F GAMING WIFI(AMD X670)
<Socket AM4>マザーボードASRock X570 Taichi Razer Edition(AMD X570)
<共通>メモリG.Skill Trident Z5 NEO F5-6000J3038F16GX2-TZ5N(PC5-48000 DDR5 SDRAM 16GB×2 ※各CPUの定格で動作)、G.Skill Trident Z RGB F4-3200C16D-32GTZRX(PC4-25600 DDR4 SDRAM 16GB×2 ※Ryzen 5000シリーズの定格で動作)
ビデオカードNVIDIA GeForce RTX 3080 Founders Edition
システムSSDCorsair CSSD-F1000GBMP600[M.2(PCI Express 4.0 x4)、1TB]
データSSDSilicon Power SP002TBP34A80M28[M.2(PCI Express 3.0 x4)、2TB]
電源Super Flower LEADEX TITANIUM 1000W(1,000W、80PLUS Platinum)
OSWindows 11 Pro(22H2)
オーバーウォッチ 2マップ“Eichenwalde”におけるBotマッチを観戦した際のフレームレートを「CapFrameX」で計測
F1 22内蔵ベンチマーク(モナコ&ウェット設定)再生中のフレームレートを「CapFrameX」で計測
HandBrake4K@60fps動画(約3分)をプリセットの“Super HQ 1080p30 Surround”でMP4/MKV形式に書き出すのに要した時間 ※Intel系マザーボードのパワーリミットはすべて無制限に設定

[TEXT:芹澤正芳、検証協力:加藤勝明]

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