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【コスパ最強自作術】⑥ CPUクーラー編

DOS/V POWER REPORT 2023年春号の記事を丸ごと掲載!

コスパで選べば空冷? 水冷? CPUによって発熱量は大違い ちょうどよいクーラーを選ぶコツ

 メニーコア化によってCPUの発熱が増大した昨今、CPUクーラーの性能は気になるところ。

 手持ちのCPU、これから使いたいCPUを冷やすには水冷がいいのか空冷で十分なのか、コストはどのくらいかけるべきなのか。空冷と水冷、それぞれのメリットと合わせて見ていこう。

POINT 1 自分のCPUに最適なクーラーを選ぼう

 IntelとAMDの性能競争が激化した影響で、近年のCPUは高性能化が進み、それに伴い発熱も増大している。Core i9やRyzen9においては性能をフルに発揮させるためには36cmクラスの水冷が必須になっているほどだ。ただ、ミドルレンジ以下に関してはそれほど消費電力は増大しておらず、このクラスに36cm水冷を導入するのは過剰コストだ。自分のCPUの発熱をきちんと理解してそれに見合ったCPUクーラーを選ぶことがコスパの向上につながる。

空冷・水冷それぞれでおいしい価格帯が違う
空冷は5,000円前後、水冷は1~2万円がスイートスポット

 Core i9やRyzen 9は36cm以上の水冷、Core i7やRyzen 7は24cmクラスの簡易水冷かハイエンド空冷、Core i5やRyzen 5クラスはミドル空冷で十分だろう。多少のミスマッチはマザー側の電力設定で調整することができるが、もちろん性能にも影響するので、十分な冷却力を備えたクーラーを選んでおくに越したことはない。コスパの面から言えば、ある程度のラインからは価格が高過ぎても性能が伸び悩むし、安過ぎるとまったく冷えないので、上図を参考にしてほしい。

コストパフォーマンスが優秀な空冷・水冷CPUクーラー

POINT 2 1万円以下の価格帯では圧倒的に空冷が強い

 簡易水冷の冷却力は魅力的だが、機能や静音性にもこだわると、ラジエータサイズにもよるが1万円台半ばの出費は覚悟しなければならない。そういった事情もあってか、より安価に入手できる空冷クーラーの人気はいまなお高い。とくに1万円以下の価格帯においては、圧倒的に空冷クーラーが人気となっている。とくに人気の価格帯は5,000円前後で、サイドフロー型CPUクーラーの名品が数多くある。ミドルレンジCPUまでならこのクラスでも十分な冷却性能を発揮可能で、リテールクーラーからの交換により大幅に温度と動作音の低減が見込める。一方、2,000円以下の激安クーラーは冷却力がリテールクーラー同等の場合が多く、故障した場合の代替品という位置付け。逆にハイエンド空冷クーラーは1万円を超えてくると冷却力が伸び悩む上に簡易水冷も視野に入ってくるのでチョイスが難しい。ただ、簡易水冷のようにポンプがないので、静音性重視のユーザーにとっては大型のハイエンド空冷は魅力的だ。簡易水冷で静音性も重視すると、ファンやポンプの品質が高い2万円前後の製品となるので、予算をさらに上げる必要が出てくる。

POINT 3 1万円前半の激安水冷クーラーでも冷却性能は十分

老舗冷却パーツメーカーZALMANの36cm水冷。低価格帯の中ではしっかりと性能が出ているモデル。RGB LEDは水冷ヘッドのみに搭載。有名メーカーの激安モデルは狙い目だ。

 簡易水冷クーラーというと高額なイメージがあるかもしれないが、24cmクラスで1万円を切る製品や、36cmクラスで1万円前半の製品など、低価格モデルも最近は増えている。一昔前の低価格製品はうるさい上に冷えない製品ばかりだったが、現在は冷却力には及第点を与えられる製品が増えた。Core i9やRyzen 9の冷却には心もとないが、製品によってはCore i7やRyzen 7クラスであれば十分冷却できる。ただ、ポンプの動作音が大きい製品が多いため、騒音に敏感な人は手を出さないほうが無難だ。また、上グラフのように冷却力に関して言えば価格よりラジエータサイズに比例する傾向にある。似たような価格ならより大きいものがおすすめだ。

2万円超の高級モデルでは冷却性能より付加価値が高まる
高級水冷ではNZXTのKRAKENシリーズのように水冷ヘッドに液晶パネルが装備されていたり、Corsair iCUEシリーズのように専用ユーティリティでの制御に対応し動作を細かくカスタマイズできたりする

 高級モデルのほうが、ポンプやファンの品質がよいが、2万円を超えてくると性能面よりも付加価値に重きが置かれるようになってくる。冷却力に直結する部分ではないので妥協は可能だろう。

【検証環境】
CPUIntel Core i7-12700K(12コア20スレッド)
マザーボードMSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4(Intel Z690)
メモリMicron Crucial CT2K8G4DFS832A(PC4-25600 DDR4 SDRAM 8GB×2)
ビデオカードMSI GeForce RTX 3060 Ti GAMING X TRIO(NVIDIA GeForce RTX 3060 Ti)
SSDWestern Digital WD Blue SN570 NVMe WDS500G3B0C[M.2(PCI Express 3.0 x4)、500GB]
電源MSI MPG A1000G(1,000W、80PLUS Gold)
OSWindows 11 Pro
グリス親和産業 OC Master SMZ-01R
室温25℃
アイドル時OS起動10分後の値
FF14時ファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレ ベンチマークを3回連続で実行した際の最大値
高負荷時CINEBENCH R23 Multi Coreを10分間連続実行した際の最大値
CPU温度HWiNFOのCPU Packageの値

[TEXT:清水貴裕]

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