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【コスパ最強自作術⑬】オールAMDで20万円以内!装備充実の新世代PCを作ろう

DOS/V POWER REPORT 2023年春号の記事を丸ごと掲載!

 第13世代CoreシリーズやRyzen 7000シリーズでは、これまでの世代と比べると対応マザーボードの実売価格がかなり高騰している。それに加えてRyzen 7000シリーズで利用するAM5対応マザーボードは、新規格のDDR5メモリにしか対応しないこともあって、手を出しにくいと考えているユーザーも多いのではないだろうか。実際、発売当初の売れ行きを振り返ってみると、過去の新プラットフォーム発売時と比べると動きが鈍い状況もあったようだ。

 しかしそれも昔の話だ。AM5対応マザーボードの実売価格は徐々に下がってきており、ミドルレンジの「AMD B650E」を採用した多機能モデルでも、3、4万円で購入できるようになってきた。また登場当初はDDR4メモリと比べて2、3倍という実売価格もめずらしくなかったDDR5メモリも、対応する規格しだいではDDR4メモリとの価格差は縮まってきている。

 そこで今回は、8コア16スレッド対応のミドルレンジCPU「Ryzen 7 7700X」をベースに、AMDの「Radeon RX 6650 XT」搭載ビデオカードを組み合わせたオールAMDのPCを予算20万円で組んでみた。性能に直結する要所はキッチリと押さえながらも、メモリは合計32GB、ストレージも1TBのPCI Express 4.0対応SSDを組み合わせており、長く安心して利用できるスタンダードな構成となった。

CPU&CPUクーラー Ryzen 7 7700Xを水冷でしっかり冷やす

Ryzen 5/7シリーズの主なスペックと実売価格を比較

 20万円という予算を考えると、Ryzen 7かRyzen 5シリーズが妥当だろう。現状で入手できるモデルの主なスペックと、実売価格を比較してみたのが上の表だ。Ryzen 5シリーズも悪くはないのだが、長く使うことを考えれば性能に強く影響するCPUはよいものを選び、ほかのパーツのコストを削るべきだ。実売価格を調べると、発売時期の関係か性能が高いRyzen 7 7700XのほうがRyzen 7 7700より安いため、今回はRyzen 7 7700Xを選んだ。

「Zen 4」世代のCPUコアを採用するRyzen 7000シリーズの中堅モデル。8コア16スレッド対応で、最大ブーストクロックは5.4GHzにも達する
24cmクラスラジエータを2基の12cm角ファンで冷やす簡易水冷型CPUクーラーだ。激安ながらAM5やLGA1700など、最新環境に対応したリテンションキットを同梱する

 また今までの検証結果を考慮すると、Ryzen 7 7700Xの発熱はかなり大きい。CPUクーラーは簡易水冷タイプにすべきだが、なにせ高い。悩ましいところではあったが、今回は24cmクラスラジエータを備えながらも7,000円前後という非常に低価格な簡易水冷型CPUクーラー「SC240」を見付けたので、これを組み合わせることにする。

マザーボード&メモリ 登場当初は割高感が強かったが、徐々に安くなってきた

3~4万円の主なAM5対応ATXマザーボード

 現状、AMD B650やB650Eを搭載するマザーボードなら、比較的低価格で購入できるものがある。とくにAMD B650搭載マザーボードでは2万円台もめずらしくないため、価格重視ならそうしたモデルを選んでもよいだろう。ただ長く利用することを考えると、PCI Express 5.0対応の拡張スロットの有無は大きい。そこで今回は、AMD B650Eをチップセットとして採用し、PCI Express 5.0対応の拡張スロットやM.2対応スロットを利用できるASRockの「B650E Steel Legend WiFi」を選んだ。

チップセットにAMD B650Eを採用し、PCI Express5.0対応のビデオカードやM.2対応SSDを利用できる。高品質な電源回路やサーバーグレードのPCBにより、高性能なCPUを安定して稼働できる
ビデオカード用の拡張スロットや、一番上のM.2スロットは、PCI Express 5.0に対応している

 メモリは、PC5-38400対応のMicron「Crucial CT2K16G48C40U5」をチョイス。最近ではより高速なPC5-41600対応メモリも増えてはいるが、PC5-38400対応メモリと比べると製品数が少ないし若干高めなので、今回のような作例にはマッチしない。

16GBモジュールを2枚組合わせたパッケージで、かなり値頃感が出てきた

完成 性能に直結するパーツに予算を集中投入

 DK352は比較的コンパクトなATXケースながら内部は非常にシンプルなので、マザーボードやビデオカードの組み込みで構造物に干渉することはない。標準で装備する4基のケースファンの電源コネクタは、ペリフェラルコネクタだった。すでにマザーボード裏面で4基分が接続されている状態で、あとは電源ユニットからペリフェラルケーブルを引き出して接続するだけでよい。ただファンは常にフル回転状態なので、利用中の動作音はそれなりに大きい。

AMD Radeon RX 6650 XTをGPUとして採用。大型で冷却性能の高いGPUクーラーを搭載するほか、ファンを停止する機能もある
PCI Express 4.0 x4に対応する高速なM.2対応SSD。かつてのハイエンド製品だが、より上位のモデルが発売され、手頃な価格になった
650W出力に対応し、80PLUS Bronze認証を取得。セミプラグインなので必要なケーブルのみを挿して運用できる

 ケースファンのアドレサブルLEDは、羽根全体が柔らかく光るタイプで、なかなか雰囲気がある。またWindows 11や各種アプリはもちろん、負荷の高い最新のPCゲームも快適に利用できた。周囲の雑音を低減するAMDの「Noise Suppression」機能も優秀で、エアコンやPCの動作音などの環境音に悩まされることなく、ビデオ会議が行なえる。

美しいイルミネーションを堪能
合計4基のファンと、簡易水冷型CPUクーラーのファンにはアドレサブルLEDが組み込まれており、美しいイルミネーションを楽しめる

 ただ、負荷の高い作業を行なうたびに天板のラジエータ用ファンの音が頻繁に大きくなる。CPU温度やファンの状況を調べたところ、CPU負荷が高くなるタイミングでファンの回転数も1,800rpm前後まで上がっており、さすがにかなりうるさい。CPUクーラーの変更も考えたが予算を超過してしまうため、今回はCPU温度が上昇しにくくなるように調整してみよう。これにはいくつか方法があるが、一番簡単なのはUEFIなどからCPUの上限温度を制限してしまう方法だ。今回のマザーボードでは、95℃設定の[Auto]と85℃、75℃の設定が用意されていたので、今回は75℃設定で様子を見た。

幅広い用途で活躍できる高い性能
比較的描画負荷の高い「ファークライ6」も、フルHD解像度ならグラフィックス設定を[最高]にしても快適に動作した
AMDの「Noise Suppression」機能を利用すれば、周囲の生活音やファンの動作音などを低減し、ビデオ会議を快適に行なえる

 95℃まで上昇するAuto設定に比べ、75℃設定ではうるさくなる場面は激減する。実際、CPUの使用率が非常に高いCINEBENCH R23を実行しているときのCPUの最高温度を確認すると、20℃近くも低下していた。なお75℃設定にしても、PCMark 10 Extendedと3DMarkのScoreはほとんど変わらなかった。CPU性能が強く影響するTMPGEnc Video Mastering Works 7ではさすがにAuto設定のほうが性能が高くなるので、こうしたアプリを使うときだけAuto設定に戻そう。

CPU温度の上限を設定して「暴れ馬」を制御
[OC Tweaker]の[Performance Preset]から、CPU温度の上限を設定できる。今回は[PBO. TJMax=75℃ and Curve Optimizer -40mV]に設定して各種テストを行なった
【検証環境】
室温23.4℃
TMPGEnc Video Mastering Works 7フルHD解像度でbitレートは12~16Mbpsの動画ファイルをH.264/AVC形式とH.265/HEVC形式でエンコードしたときの時間、それ以外の設定は変更なし
アイドル時OS起動10分後の値
動画再生時解像度1,920×1,080ドットの動画ファイルを1時間再生したときの最大値
3DMark時3DMarkのStressTest(Time Spy)を実行したときの最大値
CINEBENCH時CINEBENCH R23を実行したときの最大値
各部の温度使用したソフトはHWMonitor 1.49で、CPUはTemperaturesのPackage、GPUはTemperaturesのGPUの値

[TEXT:竹内亮介]

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 今回は、DOS/V POWER REPORT「2023年春号」の記事をまるごと掲載しています。

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