パワレポ連動企画
【コスパ最強自作術⑬】オールAMDで20万円以内!装備充実の新世代PCを作ろう
DOS/V POWER REPORT 2023年春号の記事を丸ごと掲載!
2023年9月27日 08:05
第13世代CoreシリーズやRyzen 7000シリーズでは、これまでの世代と比べると対応マザーボードの実売価格がかなり高騰している。それに加えてRyzen 7000シリーズで利用するAM5対応マザーボードは、新規格のDDR5メモリにしか対応しないこともあって、手を出しにくいと考えているユーザーも多いのではないだろうか。実際、発売当初の売れ行きを振り返ってみると、過去の新プラットフォーム発売時と比べると動きが鈍い状況もあったようだ。
しかしそれも昔の話だ。AM5対応マザーボードの実売価格は徐々に下がってきており、ミドルレンジの「AMD B650E」を採用した多機能モデルでも、3、4万円で購入できるようになってきた。また登場当初はDDR4メモリと比べて2、3倍という実売価格もめずらしくなかったDDR5メモリも、対応する規格しだいではDDR4メモリとの価格差は縮まってきている。
そこで今回は、8コア16スレッド対応のミドルレンジCPU「Ryzen 7 7700X」をベースに、AMDの「Radeon RX 6650 XT」搭載ビデオカードを組み合わせたオールAMDのPCを予算20万円で組んでみた。性能に直結する要所はキッチリと押さえながらも、メモリは合計32GB、ストレージも1TBのPCI Express 4.0対応SSDを組み合わせており、長く安心して利用できるスタンダードな構成となった。
CPU&CPUクーラー Ryzen 7 7700Xを水冷でしっかり冷やす
20万円という予算を考えると、Ryzen 7かRyzen 5シリーズが妥当だろう。現状で入手できるモデルの主なスペックと、実売価格を比較してみたのが上の表だ。Ryzen 5シリーズも悪くはないのだが、長く使うことを考えれば性能に強く影響するCPUはよいものを選び、ほかのパーツのコストを削るべきだ。実売価格を調べると、発売時期の関係か性能が高いRyzen 7 7700XのほうがRyzen 7 7700より安いため、今回はRyzen 7 7700Xを選んだ。
また今までの検証結果を考慮すると、Ryzen 7 7700Xの発熱はかなり大きい。CPUクーラーは簡易水冷タイプにすべきだが、なにせ高い。悩ましいところではあったが、今回は24cmクラスラジエータを備えながらも7,000円前後という非常に低価格な簡易水冷型CPUクーラー「SC240」を見付けたので、これを組み合わせることにする。
マザーボード&メモリ 登場当初は割高感が強かったが、徐々に安くなってきた
現状、AMD B650やB650Eを搭載するマザーボードなら、比較的低価格で購入できるものがある。とくにAMD B650搭載マザーボードでは2万円台もめずらしくないため、価格重視ならそうしたモデルを選んでもよいだろう。ただ長く利用することを考えると、PCI Express 5.0対応の拡張スロットの有無は大きい。そこで今回は、AMD B650Eをチップセットとして採用し、PCI Express 5.0対応の拡張スロットやM.2対応スロットを利用できるASRockの「B650E Steel Legend WiFi」を選んだ。
メモリは、PC5-38400対応のMicron「Crucial CT2K16G48C40U5」をチョイス。最近ではより高速なPC5-41600対応メモリも増えてはいるが、PC5-38400対応メモリと比べると製品数が少ないし若干高めなので、今回のような作例にはマッチしない。
完成 性能に直結するパーツに予算を集中投入
DK352は比較的コンパクトなATXケースながら内部は非常にシンプルなので、マザーボードやビデオカードの組み込みで構造物に干渉することはない。標準で装備する4基のケースファンの電源コネクタは、ペリフェラルコネクタだった。すでにマザーボード裏面で4基分が接続されている状態で、あとは電源ユニットからペリフェラルケーブルを引き出して接続するだけでよい。ただファンは常にフル回転状態なので、利用中の動作音はそれなりに大きい。
ケースファンのアドレサブルLEDは、羽根全体が柔らかく光るタイプで、なかなか雰囲気がある。またWindows 11や各種アプリはもちろん、負荷の高い最新のPCゲームも快適に利用できた。周囲の雑音を低減するAMDの「Noise Suppression」機能も優秀で、エアコンやPCの動作音などの環境音に悩まされることなく、ビデオ会議が行なえる。
ただ、負荷の高い作業を行なうたびに天板のラジエータ用ファンの音が頻繁に大きくなる。CPU温度やファンの状況を調べたところ、CPU負荷が高くなるタイミングでファンの回転数も1,800rpm前後まで上がっており、さすがにかなりうるさい。CPUクーラーの変更も考えたが予算を超過してしまうため、今回はCPU温度が上昇しにくくなるように調整してみよう。これにはいくつか方法があるが、一番簡単なのはUEFIなどからCPUの上限温度を制限してしまう方法だ。今回のマザーボードでは、95℃設定の[Auto]と85℃、75℃の設定が用意されていたので、今回は75℃設定で様子を見た。
95℃まで上昇するAuto設定に比べ、75℃設定ではうるさくなる場面は激減する。実際、CPUの使用率が非常に高いCINEBENCH R23を実行しているときのCPUの最高温度を確認すると、20℃近くも低下していた。なお75℃設定にしても、PCMark 10 Extendedと3DMarkのScoreはほとんど変わらなかった。CPU性能が強く影響するTMPGEnc Video Mastering Works 7ではさすがにAuto設定のほうが性能が高くなるので、こうしたアプリを使うときだけAuto設定に戻そう。
室温 | 23.4℃ |
TMPGEnc Video Mastering Works 7 | フルHD解像度でbitレートは12~16Mbpsの動画ファイルをH.264/AVC形式とH.265/HEVC形式でエンコードしたときの時間、それ以外の設定は変更なし |
アイドル時 | OS起動10分後の値 |
動画再生時 | 解像度1,920×1,080ドットの動画ファイルを1時間再生したときの最大値 |
3DMark時 | 3DMarkのStressTest(Time Spy)を実行したときの最大値 |
CINEBENCH時 | CINEBENCH R23を実行したときの最大値 |
各部の温度 | 使用したソフトはHWMonitor 1.49で、CPUはTemperaturesのPackage、GPUはTemperaturesのGPUの値 |
[TEXT:竹内亮介]
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今回は、DOS/V POWER REPORT「2023年春号」の記事をまるごと掲載しています。
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