パワレポ連動企画
【コスパ最強自作術】③ CPU/マザーボード編 その2
DOS/V POWER REPORT 2023年春号の記事を丸ごと掲載!
2023年8月10日 11:09
POINT 5 マザーボードは廉価版チップセットを狙うべし
CPUが決まれば、次はマザーボード選びだ。コストを抑えるならCPUが対応するチップセットから廉価版を選ぶのが基本だろう。たとえばIntelの第13世代CoreならB660が狙い目だ。前世代の廉価版だが、新世代のCPUでも動作し、1万円前後から購入が可能。DDR4メモリ対応が多いので、コスパ重視の自作に最適だ。
ただし、下の表にまとめたようにB760/B660チップセットはレーン数やUSB 20Gbpsの対応ポートが少ないなど拡張性が低くなる。
AMDはRyzen 7000シリーズのCPUを選択するならB650チップセットが候補だろう。PCI Express 5.0に基本非対応だが、現時点ではNVMe SSDがわずかに登場している程度でそれほどマイナスな要素ではない。Socket AM5は2025年まではサポートが約束されており、将来登場するCPUに載せ替えられるのが大きな強み。
Socket AM4のRyzen 5000シリーズではB550やA520が候補だ。8,000円台の製品もあるなど安さには優れるが、USB 20GbpsやPCI Express 5.0に非対応と機能面は若干弱く、旧世代なので流通量が減りつつある。
Intel Z790 | Intel H770 | Intel B760 | Intel Z690 | Intel H670 | Intel B660 | |
---|---|---|---|---|---|---|
対応CPUソケット | LGA1700 | LGA1700 | LGA1700 | LGA1700 | LGA1700 | LGA1700 |
PCIe 5.0 x16(CPU側グラフィックス用) | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
NVMe M.2(CPU側) | PCIe 4.0 x4 | PCIe 4.0 x4 | PCIe 4.0 x4 | PCIe 4.0 x4 | PCIe 4.0 x4 | PCIe 4.0 x4 |
倍率アンロックCPUのOC | ○ | × | × | ○ | × | × |
メモリのOC | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
CPU側PCI Expressの分割 | ○ | ○ | × | ○ | ○ | × |
チップセット側PCI Express | 4.0(最大20レーン)3.0(最大8レーン) | 4.0(最大16レーン)3.0(最大8レーン) | 4.0(最大10レーン)3.0(最大4レーン) | 4.0(最大12レーン)3.0(最大16レーン) | 4.0(最大12レーン)3.0(最大12レーン) | 4.0(最大6レーン)3.0(最大8レーン) |
Serial ATA 3.0 | 最大8 | 最大8 | 最大4 | 最大8 | 最大8 | 最大4 |
USB 20Gbps | 最大5 | 最大2 | 最大2 | 最大4 | 最大2 | 最大2 |
USB 10Gbps | 最大10 | 最大4 | 最大4 | 最大10 | 最大4 | 最大4 |
USB 5Gbps | 最大10 | 最大8 | 最大6 | 最大10 | 最大8 | 最大6 |
AMD X670E | AMD B650E | AMD B650 | AMD X570 | AMD B550 | AMD A520 | |
---|---|---|---|---|---|---|
対応CPUソケット | Socket AM5 | Socket AM5 | Socket AM5 | Socket AM4 | Socket AM4 | Socket AM4 |
PCIe 5.0 x16(CPU側グラフィックス用) | ○※1 | ○ | ×(PCIe 4.0) | ×(PCIe 4.0) | ×(PCIe 4.0) | ×(PCIe 4.0) |
NVMe M.2(CPU側) | PCIe 5.0 x8 | PCIe 5.0 x4 | PCIe 4.0 x4※2 | PCIe 4.0 x4 | PCIe 4.0 x4 | PCIe 4.0 x4 |
倍率アンロックCPUのOC | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | × |
メモリのOC | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
CPU側PCI Expressの分割 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | × |
チップセット側PCI Express | 4.0(最大12レーン)3.0(最大8レーン) | 4.0(最大8レーン)3.0(最大4レーン) | 4.0(最大8レーン)3.0(最大4レーン) 4.0(最大16レーン) 3.0(最大10レーン) 3.0(最大6レーン) | |||
Serial ATA 3.0 | 最大8 | 最大4 | 最大4 | 最大12 | 最大6 | 最大4 |
USB 20Gbps | 最大2 | 最大1 | 最大1 | × | × | × |
USB 10Gbps | 最大12 | 最大6 | 最大6 | 最大8 | 最大2 | 最大1 |
USB 5Gbps | × | × | × | × | 最大2 | 最大2 |
※1 AMD X670はPCIe 4.0対応
※2 PCIe 5.0はオプション扱い。対応は製品による
POINT 6 マザーボードの価格差は装備の充実度
マザーボードは20万円を超えるものから1万円以下まで幅広い価格の製品が存在する。上位よりも機能面で劣る廉価版チップセットを採用するマザーボードのほうが基本安くなるが、それでも同一チップセット搭載マザーボードの中でも価格の幅はかなり広い。では、何が価格差につながっているのか。
分かりやすいのは電源回路の規模だ。CPUは近年消費電力が増えているのに加え、Z790/Z690など上位チップセット搭載マザーボードではCPUの電力上限を事実上なくす“パワーリミット無制限”での運用がデフォルトになっているケースもめずらしくない。CPUのパワーを最大限発揮するため電源回路の規模も大きくなっている。CPUソケット周辺の限りあるスペースに大規模な回路を置くためには、複数の部品を一つに集積した高価なチップが多数必要になる。最上位クラスのCPUと組み合わせるならその意義もあるが、コスパを重視した自作でミドルレンジのCPUを選ぶなら、そこまで重要なポイントではない。シンプルな電源回路で低価格の製品でも問題はない。
また、NVMe SSDを複数搭載したい、PCケースのフロントType-Cを20Gbps対応にしたいといった拡張性を求める場合も仕様のチェックは不可欠。M.2スロットの数やフロントType-Cの仕様は製品によって異なり、原則として変更できないからだ(別途拡張できるものもあるがそのたび出費がかさむ)。また、M.2スロットにSSD用ヒートシンクが用意されているかどうかもチェックポイント。低価格のマザーボードは無線LANを備えていないことが多く、有線LANもギガビットイーサが多い。Wi-Fi 6Eや2.5Gの有線LANなどネットワークの充実を求める場合も、製品選びに気を付けたいところだ。
POINT 7 メモリはDDR4で十分? 容量は16GBでよい?
最後はメモリ選びだ。容量は16GB(8GB×2枚)でよいのか、32G B(16G B×2枚)のほうがよいのか悩む人も多いだろう。今回試した限りでは、一般的な処理で性能を測定するPCMark 10では誤差レベル。4Kでのプレイではメモリ32GBが推奨されているゲームのReturnalでも、実際にはほとんど差が見られなかった。唯一、PhotoshopとLightroom Classicを使ってさまざまな処理を行なうUL Procyonだけは、Photoshop中心のImageRetouchingのテストで容量32GBが明確に上回った。その一方でLightroom Classic中心のBatch Processingは誤差レベルだった。クリエイティブ用途以外では16GBでも十分と言えそうだ。
また、Intelの第13/12世代CoreはDDR4とDDR5の両方に対応しているが、コスト重視なら安価なDDR4でもよいだろう。3DMarkのPhysicsやHandBrakeによるエンコードなどCPU負荷が非常に大きい処理ではややDDR5が有利だが、それでもその差はわずか。DDR4を選ぶことによるデメリットは現状ではまださほど大きくない。
<メモリ容量比較>マザーボード | ASUSTeK PRIME B660-PLUS D4(Intel B660) |
メモリ | Micron Crucial BL2K8G36C16U4BL(PC4-28800 DDR4 SDRAM 8GB×2)、Corsair Vengeance RGB PRO CMW32GX4M2Z3600C18(PC4-28800 DDR4 SDRAM 16GB×2) |
<DDR4/DDR5比較>マザーボード | ASRock Z790 Pro RS(Intel Z790、DDR5)、ASRock Z790 Pro RS/D4(Intel Z790、DDR4) |
メモリ | Kingston FURY Beast DDR5 KF556C36BBEK2-32(PC5-44800 DDR5 SDRAM 16GB×2)、Corsair Vengeance RGB PRO CMW32GX4M2Z3600C18(PC4-28800 DDR4 SDRAM 16GB×2) |
<共通>CPU | Intel Core i7-13900K(24コア32スレッド) |
ビデオカード | MSI GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OC( NVIDIA GeForce RTX 3070) |
システムSSD | キオクシア EXCERIA PRO SSD-CK2.0N4P/N[M.2(PCI Express 4.0 x4)、2TB] |
OS | Windows 11 Pro(22H2) |
Returnal | ゲーム内のベンチマーク機能で計測 |
オーバーウォッチ 2 | マップ“Eichenwalde”におけるBotマッチを観戦した際のフレームレートを「CapFrameX」で計測 |
[TEXT:芹澤正芳、検証協力:加藤勝明]
最新号「DOS/V POWER REPORT 2023年夏号」は絶賛発売中!
今回は、DOS/V POWER REPORT「2023年春号」の記事をまるごと掲載しています。
なお、最新号「DOS/V POWER REPORT 2023年夏号」では、「性能アップのカギは冷却にあり! 冷却最前線」「オール1万円以下! 買い得ケース品評会」「どうする? どうなる? 2023年のSSD」などの特集を掲載。是非ご覧ください!