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【コスパ最強自作術⑫】コスパ自作はまだまだ健在!8万円で作る質実剛健ベースマシン
DOS/V POWER REPORT 2023年春号の記事を丸ごと掲載!
2023年9月27日 07:05
コスパ自作はまだまだ健在!8万円で作る質実剛健ベースマシン
PCパーツ価格がここ数年で相場が上がったというのは確かだ。それなら自作PCにおけるコストメリットは消滅してしまったのだろうか? 今回はこの2023年において、標準以上の性能や機能を確保しつつ、どこまで安価にPCを自作できるかを検証してみた。
実際に調べてみると、とくに値上がりしているのがビデオカード、最新世代のマザーボードで、CPUやケース、電源はやや高くなった。逆にDDR4に限ればメモリはかなり安くなり、SSDも値下がり傾向。決してすべてのパーツが高くなっているわけではないのだ。ここ数世代のC P Uは性能向上が大きく、安くてよいものを厳選していけば、確実に性能アップしたPCを自作できるだろう。
ただ、とにかく安いものだけを寄せ集めたPCは性能や機能のバランスが悪く、不満が出がちだ。さすがに5万円では少な過ぎると判断し、予算8万円に設定。安価なパーツの中から厳選に厳選を重ね、十分満足できる基本性能、じっくり育てていける拡張性など、実用度の高いPCに仕上げた。今回は一番ネックとなるビデオカードの搭載をを見送っているためゲーム系のベンチ結果は振るわないが、動画再生・編集などのホーム用途や文書作成などのビジネス用途といった一般的なPCとしてのスコアは十分なものだ。今後不満が出たとしても、その拡張性を活かして、どのようにも変化できる。お値段以上の価値はあるその姿をご覧に入れよう。
CPU&マザーボード&ケース コストパフォーマンスならmicroATX
8万円以内の自作PCプランを組むにあたり、最初にビデオカードを搭載しない(内蔵GPUを利用する)という方針を立てた。2万円程度で入手可能な製品は機能的に数世代前のもので、短期的にはよいものの、将来的には買い換え必至。改めて購入資金を貯め、より世代の新しいものを狙おう、という計画だ。そうなると、このPCのパフォーマンスを決定する最大の要因はCPUになる。これより下位モデルにはないEコアの存在が決め手で、まずCore i5-13400を選んだ。
第13世代Coreは、1世代古いIntel 600シリーズチップセットでも最新BIOSなら対応できるのがキモで、安価なB660マザーボードを使うことができる。その上で、安価なDDR4をサポート、拡張性がしっかりあり、信頼性も高いものとしてASUSTeKのB660搭載PRIMEシリーズに目を付けた。同シリーズにはATXのPRIME B660-PLUS D4とmicroATXのB660M-A D4があるが、 今回はより低価格なmicroATXモデルを選んでいる。拡張性を気にする方も多いかもしれないが、M.2SSDは2基搭載できるし、拡張スロット本数に関してはほとんど同じだ。今回はあくまで低予算。以前のように拡張スロットに何本もカードを挿していた時代ならともかく、現在においてmicroATXの拡張性は普通に使う分には十分なものとなっている。
PCケースもmicroATXのほうが安く抑えられるが、安いケースはケースファンが付属しないものもある。低価格マザーボードはVRMヒートシンクが小さく、ファンによるエアフローがより重要になる。標準搭載で多くのファンを搭載しているモデルが理想だ。あれこれと比較検討し、選んだのはZALMAN Z1 Iceberg。3基のケースファン付きで6,000円という価格が決め手になった。同シリーズにはATX版のZ3 Icebergもあるが、価格が上がるわりにファン数が少なく、コンセプトが異なる。今回の路線ならやはりmicroATXケースが最適だ。
主要パーツの選択はこのように進めていった。最安パーツではないが、こだわりを盛り込んだ内容なので、組んだ者としてもその価格性能比に満足できるPCに仕上がった。
完成 Core i5で性能を確保、チープさもなく仕上がった
組み立てやすく完成後の保守も簡単
Z1 Icebergは装備と価格で選んだが、非常に組み立てやすかったのが好印象だ。もちろん安いなりに疑問がわく構造もあったが、組み立ては終始スムーズ。裏面配線スペースも十分にあるので配線しやすく、余った直付けケーブルは電源カバーによってうまく隠せている。ヒンジ式のガラスサイドパネルは内部へのアクセスが楽で、気軽にPC内部をいじりたくなる。安ケースというとどうしても初心者には勧めにくい印象があるが、このレベルなら十分ありだろう
マザーボードも内蔵GPU機能の使用を前提に、仕事や趣味を十分カバーできるスペックで選定している。低価格マザーボードでは映像出力にクセのあるモデルも多い。Dsub15ピンやDVIといった古い規格を搭載する一方、現行のHDMIやDisplayPortが少ないこともよくある。PRIME B660M-A D4は、HDMI×2、DisplayPort×1と、現行規格でかつ最大3画面マルチディスプレイが構築できる。
十分な拡張性を有しアップグレード可能
今回組んだ8万円PCのパフォーマンスをベンチマークで計測してみた。PCMark 10のスコアのとおり、内蔵GPUという点でゲーム向きのPCではないが、ホーム&ビジネス用途に使う分には十分な性能だ。SSDもPCI Express 3.0 x4対応のものを選んだのでアプリの起動時間の目安となるApp Start-upテストのスコアもよかった。実際、操作した際のレスポンスは快適だ。
内蔵GPUの性能だが、最新ゲームをメインと考えると性能不足でも、軽めのタイトルなら設定しだいで楽しめる。ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマークで試したところ、フルHD、標準品質(デスクトップPC)設定で普通評価、HDで同設定なら快適評価に上がった。
今回の8万円PCには拡張性も十分用意されている。電源出力にも余裕があるので、ビデオカードを搭載することでゲーミングPCに化けることも可能だ。現在、まずまずの値頃感があるGeForce GTX 1650カード(実売価格25,000円前後)とGeForce RTX 3060カード(実売価格5万円前後)を搭載した場合の3DMarkスコアと消費電力も計測してみたのでご確認いただきたい。高性能なCore i5を組み合わせていることもあり、3DMarkスコアはビデオカードの追加で大きく向上する。一方、3DMarkのTime Spyを実行した際の消費電力はGeForce RTX 3060でも最大300Wに満たず、今回選んだ電源の650Wで問題ない。
このほかメモリやM.2スロットにも拡張性を残している。現時点で性能に不満はないが、いずれビデオカード、2台目のストレージと、今後の拡張プランを考える時間も自作の楽しさと言えるだろう。
ビデオカード | MSI GeForce GTX 1650 VENTUS XS 4G(NVIDIA GeForce GTX 1650)、ZOTAC GAMING GeForce RTX 3060 Twin Edge OC(NVIDIA GeForce RTX 3060) |
OS | Windows 11 Pro |
アイドル時 | OS起動10分後の値 |
高負荷時 | 3DMark Time Spy実行中の最大値 |
CPU温度 | HWiNFOのCPU Packageの値 |
室温 | 26℃ |
[TEXT:石川ひさよし]
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