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真夏に備えろ! 簡易水冷CPUクーラー10選【性能アップのカギは冷却にあり!冷却最前線 ③】

DOS/V POWER REPORT 2023年夏号の記事を丸ごと掲載!

真夏に備えろ! 簡易水冷CPUクーラー10選

ARCTIC Liquid Freezer Ⅱ 420

対応CPUソケット:LGA1150/1151/1155/1156/1200/1700/2011-v3/2066、Socket AM4/AM5●ファン:14cm角×3(200~1,700rpm、PWM対応)●サイズ(W×D×H):458×138×38mm( ラジエータ)、98×78×53mm( 水冷ヘッド)●重量:1,977g

 クーラーはもちろん、とくにグリスでよく耳にする機会が多いだろうARCTICの製品。LED機能は非搭載だが、42cmクラスと考えるとお買い得な価格が魅力。ほかにもユニークな特徴を満載しており、見どころが多い。まず組み立てやすさは特筆もので、ファンはラジエータに装着済みのほか、ケーブルも水冷ヘッドから出ている4ピンPWMケーブル1本を接続するだけ。裏面配線の手間も最小限だ。また、水冷ヘッド上には小径ファンを備えており、水冷ヘッドの冷却をアシストする。

シンプルな設計で接続がラクラク ほぼ組み上がった状態で販売されている上に配線もケーブル1本だけ。ポンプもファン回転数もPWMケーブル制御されている
取り付け方法は一般的 幅があるリテンションブラケットは、組み合わせによっては干渉する場合もある。角度を変えて対応しよう

Corsair Gaming H100x RGB ELITE

対応CPU ソケット:LGA1150/1151/1155/1200/1700/2011/2011-v3/2066、Socket AM4/AM5●ファン:12cm角×2(400~1,500rpm、PWM対応)●サイズ(W×D×H):277×120×27mm(ラジエータ)●重量:890g(ラジエータ)

 24cmクラスで水冷ヘッドとファンにARGB LEDを搭載したモデル。古くから簡易水冷のノウハウを持つCorsairらしく、初心者にも組み立てやすい設計だ。ベースプレートは大きく、LGA1700やAM5の大きなヒートスプレッダも問題なくカバーしている。ただ、静音性重視の設計なのかファンの回転数は控えめ。比較的TDPが小さいミドルレンジクラスのCPUや、大型空冷クーラーが物理的に入らない小型PC 向けの製品と言えるだろう。

静音性重視のファン設計 ファンの回転数は最大1,500rpmと低め。静圧も低めなのでTDPが小さめのCPUとの組み合わせが向いているだろう。ファンの接続は比較的シンプル
老舗ならではの組み立てやすさ リテンションブラケットは差し込み交換タイプで簡単に利用できる。シンプルかつスタンダードな構造だ

Corsair Gaming iCUE H170i ELITE CAPELLIX XT

対応CPUソケット:LGA1150/1151/1155/1156/1200/1366/1700/2011/2011-v3/2066、Socket AM4/AM5/TR4/sTRX4● ファン:14cm角×3(500 ~1,700rpm、PWM対応)●サイズ(W×D×H):457×140×27mm(ラジエータ)●重量:約1.1kg

 42cmクラスで水冷ヘッド、ファンともにARGB LEDを搭載。ヘッドプレートはLGA20xxやsTRX4もカバーする大型のものだ。Corsairの専用ツール「iCUE」でソフトウェア制御を行なえるほか、iCUE対応のファン&LEDハブが付属し配線をまとめられる。iCUEでは各回転数制御のトリガーを冷却液温度やCPU温度、GPU温度と選択できる。CPU周辺のやぐら構造はスタンダード。部品数も少なめで組み立てやすい。ファンは口径もあってやや低回転寄りだが風量は大きめ。

ケーブルはハブにまとめられる ファン&LED用ハブが付属し、配線はここにまとめられる(電源はSerial ATA電源端子を接続)。ファンの最大回転数は1,700rpmで最大風量は89cfm
Corsairスタンダードの設計 ほかのCorsair製簡易水冷C P Uクーラーと同様。パーツも少なく工数も少なくてラクに組み立てられる。リテンションブラケットは差し込み交換タイプ

DeepCool Industries LS720 WH

対応CPU ソケット:LGA1150/1151/1155/1200/1700/2011/2011-v3/2066、Socket AM4/AM5/sTR4/sTRX4●ファン:12cm角×3(500~2,250rpm、PWM対応)●サイズ(W×D×H):402×120×27mm(ラジエータ)、86×74×57mm(ヘッド)●重量:1,607g

 36cmクラスで水冷ヘッド、ファンともARGB LEDを採用しているモデル。今回検証したのはホワイトモデルで、このほかブラックモデルもある。水冷ヘッドは標準のほか、ユーザー自身でデザインできる無地の交換キャップも付属する。ポンプは三相モーターを採用し、最大3,100rpmと強力。ファンも最大2,250rpmと比較的高回転だが、FDB軸を採用しており動作音は静かだ。リテンションパーツは少なめで組み立ても簡単。

ファンはデイジーチェーン接続 ファンケーブルは1本にまとめられており接続はとてもシンプル。ファンの最大風量は85.85cfmと高めだが、動作音は比較的静か
組み立ては簡単でそつのない設計 リテンションブラケットはネジ固定タイプ。バックプレートはスタッドが組み立てられた状態で同梱されており、スペーサを挟んで固定する

MSI MAG CORELIQUID 360R V2

対応CPUソケット:LGA1150/1151/1155/1156/1200/1366/1700/2011/2011-v3/2066、Socket AM2/AM2+/AM3/AM3+/AM4/AM5/FM1/FM2/FM2+/TR4/sTRX4/SP3●ファン:12cm角×3(500~2,000rpm、PWM対応)●サイズ(W×D×H):394×120×27mm(ラジエータ)、80.57×66.82×48.58(水冷ヘッド)●重量:非公開

 36cmクラスで水冷ヘッド、ファンともにアドレサブルRGB LEDを採用。ユニークなのがポンプをラジエータ部に内蔵しているところだ。そのため水冷ヘッド側には配線がなくスッキリ。ケーブルはすべてラジエータ側なので、マザーボード付近のケーブルの露出を抑えることができる。リテンションパーツは部品数も少なくシンプルで組み立てやすい。ヘッド形状は違うが構造はおおむねCorsair製品のそれと同じだ。

ファンは同社の独自設計モデル ファンは同社ビデオカードに採用されているものと同様の渦巻き状ブレードを採用。最大回転数は2,000rpmで最大風量は78.73cfm。動作音も比較的静かだ
構造は一般的で迷うところはない リテンションブラケットは差し込み交換タイプ。スタッドはコマ形で両端がオス。オーソドックスだが組み立てやすい

NZXT Kraken 360 RGB

対応CPUソケット:LGA1150/1151/1155/1156/1200/1700、Socket AM4/AM5/TR4/sTRX4●ファン:12cm角×3(500~1,800rpm、PWM対応)●サイズ(W×D×H):394×121×27mm( ラジエータ)、74.7×74.7×55.97mm( 水冷ヘッド)●重量:非公開

 36cmクラスで水冷ヘッドにLCDパネルを搭載するモデル。比較的高価なモデルだが、NZXTらしいスタイリッシュな見た目は多くのファンを持つ。水冷ヘッドやファンの制御は専用ツール「CAM」を用い、本体とマザーボード上のUSBピンヘッダに接続する専用ケーブルを備える。水冷ヘッド自体はAsetek製のものと同様でスタンダードな設計。やぐらを組む際のパーツ数も少なめかつ構造もシンプルなので、誰でも組み立てやすい。

LEDケーブルはハブで接続 同社製ファン「F120P」を採用。最大回転数は1,800rpmで最大風量は78.02cfm。ARGBケーブルはハブにまとめられる
組み立ては分かりやすい リテンションキットはAsetek OEMのものと同じ。リテンションブラケットはツメを合わせて回転し固定する円形の構造

ProArtist GRATIFY AIO5

対応CPUソケット:LGA1200/1700、Socket AM4/AM5●ファン:12cm角×3(最大2,050rpm、PWM対応)●サイズ(W×D×H):397×127×27mm(ラジエータ)、72×72×60mm(水冷ヘッド)●重量:約1.6kg

 36cmクラスで水冷ヘッドとファンにARGB LEDを搭載するモデル。個性的なのはヘッドの水温表示機能で、LCDではなくLEDによるデジタル表示となっている。チューブの根本のリングがブルーで、バイク用のカスタムブレーキホースのような見た目も特徴。こうした豪華な見た目に反して価格は手頃。ラジエータにファンが装着済みなので取り付けはラクだが、やぐらの組み立ては最近のトレンドよりも工数が多め。トータルでは普通の製品と同じくらいの手間だと思ったほうがよい。

ケーブルは内部接続済みでスッキリ ファンは装着済みでケーブルもPWMとLEDが各1本にまとめられている。ファンの最大回転数は2,050rpmで静圧は2.45mmH2O
スペーサの固定にややクセがある 組み立て工数は多め。個体差もあると思われるが、スタッドを仮止めするワッシャーやスペーサがゆるく脱落しやすかったので、必要ならテープで仮止めしてから組み立てよう

Thermaltake Technology TOUGHLIQUID 280 ARGB Sync

対応CPUソケット:LGA1150/1151/1155/1156/1200/1700/2011/2011-v3/2066、Socket AM2/AM2+/AM3/AM3+/AM4/AM5/FM1/FM2●ファン:14cm角×2(500~2,000rpm、PWM対応)●サイズ(W×D×H):314×140×27mm(ラジエータ)●重量:非公開

 28cmクラスで水冷ヘッドにARGB LEDを搭載したモデル。ファンには渦巻き状ブレードの同社TOUGHFANを採用。14cm角ということもあり最大2,000rpmで風量は119.1cfmという強力なスペックだ。取り付けパーツはオーソドックスなタイプで組み立てやすく、リテンションブラケットも差し込みタイプで交換がラクだ。今回の製品は28cmクラスだが同シリーズには36cmクラスもある。

静圧の高さが特徴のTOUGHFAN 最大回転数は2,000r p mで風量は119.1cfm、静圧は3.54mmH2Oと高い。ファン2基なのでケーブル接続は比較的シンプル
オーソドックスな取り付け方式 リテンションブラケットは差し込み交換式。パーツもスタンダードでとくに迷うところはない

ZALMAN Tech Reserator5 Z36

対応CPUソケット:LGA1150/1151/1155/1156/1200/1700/2011/2011-v3/2066、Socket AM3/AM3+/AM4/AM5/FM2/FM2+●ファン:12cm角×3(800~2,000rpm、PWM対応)●サイズ(W×D×H):397×120×27mm( ラジエータ)、82×82×40mm(水冷ヘッド)●重量:非公開

 36cmクラスで水冷ヘッドにARGB LEDを搭載するモデル。ヘッド内ポンプには吸入、排出の二つのブレードを設け、冷却液の流速を高めている。ただ設計思想が古いのか、ほかの製品なら半組み立て済みの部品もすべて一から組み立てが必要だ。部品の種類が多いのでドライバーも#1のほか#0または#0.5を用意しよう。ただし組み立てれば強固。LGA1700用バックプレートは樹脂製だが、そのほかのソケット向けは金属製だ。

ファンの動作音は大きめ ファンの最大回転数は2.000rpmで静圧が2.92mmH2Oと高め。その代わり動作音もやや大きめだ。ファンは分岐ケーブルでまとめるタイプ
組み立てはめんどう リテンションブラケットもバックプレートもすべて組み立てが必要。リテンションブラケット用の小さなネジやPCBを保護する紙ワッシャーなど細かな作業も多い

玄人志向 KURO-AIOWC360

対応CPUソケット:LGA1150/1151/1155/1156/1200/1700、Socket AM4/AM5●ファン:12cm角×3(最大2,400rpm、PWM対応)●サイズ(W×D×H):394×120×53mm(ファン取り付け時)●重量:非公開

 サイズとのコラボで話題になった玄人志向の簡易水冷だが、こちらはファンが非発光のシックなモデル。トレードマークの「サングラス」ロゴも交換キャップで非発光化できる。ベースはAsetek製なので、性能は用いるファンによるところが大きいが、本製品は性能と静音性で定評あるファンを採用。最大回転数は高めだが実際には比較的静かな印象だ。LED不要、側板が非クリアのケースで運用するなら十分な性能とコスパが光る。

サイズ製ファンを採用 ファンには渦巻き状ブレードのサイズ「WONDER SNAIL120 PWM」を使用。最大回転数は2,400rpm、最大風量は77.23cfm。ファンハブが付属する
取り付けパーツの構成はシンプル リテンションキットはAsetek OEMのものと同じ。LGA1700なら樹脂製バックプレート、角度調整ができる円形のリテンションブラケットで固定する

[TEXT:石川ひさよし]

最終号「DOS/V POWER REPORT 2024年冬号」は12月28日発売!

 今回は、DOS/V POWER REPORT「2023年夏号」の記事をまるごと掲載しています。

 なお、33年の長きにわたり刊行を続けてきたDOS/V POWER REPORTは、12月28日(木)発売の「2024年冬号」が最終号となります。年末恒例の「PCパーツ100選 2024」や「自作PC史&歴代パーツ名鑑」など、内容盛り沢山!是非ご覧ください!