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マザーや水冷クーラー付属のアプリを活用してみよう【性能アップのカギは冷却にあり!冷却最前線⑪】
DOS/V POWER REPORT 2023年夏号の記事を丸ごと掲載!
2024年1月5日 08:08
CPUクーラーの冷却強化のはじめの一歩 マザーや水冷クーラー付属のアプリを活用してみよう
CPUクーラーの冷却力強化にはファンの交換など物理的な手段もあるが、マザーボードや簡易水冷クーラーに付属するアプリを利用する方法もある。基本ファンやポンプの回転数を調整するというものなので、劇的な変化は望めないが、手軽に挑戦できるのがメリット。ここでは、独自のプリセットを作ってCPU温度がどう変化するのか試していく。
ASUSTeK「FanXpert」を例にカスタムプロファイルを作成
マザーボードに接続したファンの回転数はプロファイルに従って制御されている。この設定はUEFIメニューから変更可能だが、各メーカーが用意しているアプリを使うのが便利だ。ここでは、ハイエンド空冷のDeepCool「AK620」とCore i7-13700Kを組み合わせた環境で、アプリの回転数調整を独自のプロファイルにすることで、どこまで温度が変わるか試してみる。CPUのMTPはマザーボードのデフォルト設定とした(PL1:253W、PL2:4,095W)。
基本的な狙いはCPU温度に合わせ、早めにファンの回転数を上げて温度上昇をなるべく抑ること。ただし、CINEBENCH R23のような全コアに100%負荷がかかるようなテストでは一瞬で100℃に到達してしまうので、どの設定でも変化はほとんどない。そのため、CPU温度の測定にはCPU負荷の高いゲームであるサイバーパンク2077を10分間プレイする方法を選択した。CPUクーラー自体の性能は変わらないので、最大温度は同じだが平均をわずかに下げることができた。
ASRockは「FAN-Tastic Tuning」で調整
ASRockは、「A-Tuning」アプリ内にある「FAN-Tastic Tuning」で、ファンをコントロールできる。ここでは、同社の「Z790 Taichi」を使ってテストした。「A-Tuning」を起動。上部のメニューから「FAN-Tastic Tuning」を選び「Start FAN Test」を実行。左上のプルダウンメニューからCPUのファンを接続しているコネクタ名を選ぶ。ここでは「CPU FAN 1」だ。あとは丸をドラッグして温度別の回転数を設定する。
GIGA-BYTEは「FAN Control」で制御
GIGA-BYTEのマザーボードでは「GIGABYTE Control Center」アプリの「FAN Control」でファンを制御可能だ。ここでは同社の「Z790 D DDR4 (rev. 1.0) 」を使用した。「GIGABYTE Control Center」のホーム画面にある「FAN Control」をクリック。手動でチューニングする場合は左側のメニューから「手動」をクリックし、ファンのプルダウンメニューから「CPU」を選択。オレンジの丸をドラッグして温度別の回転数を設定できる。
MSIは「MSI Center」で回転数変更
MSI製品は総合管理アプリ「MSI Center」でファン調整が行なえる。同社の「MPG Z790 CARBON WIFI」で試した。画面右上の機能セットをクリックし、「User Scenario」をインストールして起動。右上のソフトウェアコントロールモードのFanを有効する。続いて、「Customize」→「CPUファン」とクリック。これで温度別にファン回転数を調整できる画面を呼び出せる。白い丸をドラッグして温度別の回転数を設定可能だ。
Corsairの簡易水冷は「iCUE」を見直そう
空冷のCPUクーラーでは、ファンのコントロールにマザーボードの機能を利用するのが一般的だが、簡易水冷クーラーではメーカー独自のコントロールアプリを用意しているものが少なくない。その一つがCorsairの「iCUE」だ。これは簡易水冷クーラーだけではなく、メモリやマウス、キーボードなど同社製デバイスを総合管理できる。
ここでは、「iCUE H150i RGB PRO XT」を使ってファンと水冷ヘッドのポンプの回転数を調整してみる。iCUEでは、ファンとポンプ個別にプリセットを適用できる。ただし、オリジナルのプロファイルを作れるのはファンだけ。ポンプは、静か/安定/最速と用意されたプリセットしか設定できない。
ファンの回転数調整でポイントになるのはターゲットにするセンサーだ。通常は「冷媒温度」、つまりラジエータ内の冷却水が対象となっている。CPU温度が一気に上がっても冷却水の温度はすぐには上昇せず、ゆっくりと上がっていく。そのため、ファンの回転数が上がるのもCPU負荷が一番高い状態と必ずしも一致するわけではない。そこで、冷却水とCPU温度のそれぞれをターゲットにしたファンの独自プリセットを作ってみた。どちらも早めにファンが回るセッティングにしたのでデフォルトのプリセットよりも温度が下がったが、より効果的だったのはCPU温度をターゲットにした場合。ただし、CPU温度は負荷によって変化が激しいため、ファンの回転数も変わりやすく、動作音はちょっと耳障りになる点は覚えておきたい。
NZXTの簡易水冷は「CAM」で管理
NZXTの簡易水冷クーラーを制御できるのが「CAM」だ。同社製のデバイスを一括管理できるアプリで、ライティングの変更も行なえる。今回は、28cmクラスのラジエータを採用する「KRAKEN X63 RGB」を使って、オリジナルのプリセットを作ってみる。ちなみに、CAMにはクラウドに設定を保存できる機能があったが、最新版ではセキュリティを高めるという理由から削除された。起動時にアカウントにログインを求められるのが面倒と感じていた人にはうれしい変更だろう。
CAMだと回転数を制御できるは水冷ヘッドのポンプだけだが、独自のプロファイルを作ることが可能。ファンはマザーボード側で制御する(同社のファンコントローラを導入すればCAMから制御することも可能)。なお、同社ではCAMでポンプもファンも制御できる製品も用意している。CAMでも、回転数制御のターゲットを変更可能で、CPU、GPU、冷却水から選べる。そこで、CPUと冷却水を温度センサーに選んだ独自プロファイルを作った。温度が低めの状態から回転数を上げるという冷却強化としてはオーソドックスな方法だ。ファンの制御はUEFIのデフォルト設定に任せることにした。結果としては、ポンプの回転数を早めに高めればCPUの最大温度も平均温度も下げられるが、効果はわずか。デフォルトプリセットのサイレントとパフォーマンスと大差はなかった。これ以上の冷却強化を考えるなら、マザーボードのファン制御を使って、簡易水冷クーラーのファン回転数を高めるようにしよう。
CPU | Intel Core i7-13700K(16コア24スレッド) |
マザーボード | ASUS ROG STRIX Z790-F GAMING WIFI(Intel Z790) |
メモリ | Micron Crucial Pro CP2K16G56C46U5(PC5-44800 DDR5 SDRAM 16GB×2) |
ビデオカード | ZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti Trinity OC(NVIDIA GeForce RTX 4070 Ti) |
システムSSD | Western Digital WD_BLACK SN850 NVMe WDS200T1X0E-00AFY0[M.2(PCI Express 4.0 x4)、2TB] |
CPUクーラー | DeepCool AK620(12cm角×2、サイドフロー) |
電源 | Super Flower LEADEX V G130X 1000W(1,000W、80PLUS Gold) |
OS | Windows 11 Pro |
CPU温度 | サイバーパンク2077を10分間プレイしたときの値、3DMark StressTest(TimeSpy)を10分間動作させたときの最大値 |
[TEXT:芹澤正芳]
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