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あなたのPC、しっかり冷やせてる!?PC内部の熱源を把握せよ!【性能アップのカギは冷却にあり!冷却最前線 ①】

DOS/V POWER REPORT 2023年夏号の記事を丸ごと掲載!

 進化を続けるCPUやGPUは、性能が高いものほど多くの熱を発する宿命にある。さらに近年では、温度や電力のリミットを従来よりも引き上げ、冷却性能が限界に達するまでブースト動作が続く製品が主流になりつつあるのはご存じのとおりだ。

 発熱を適切に処理し、性能を遺憾なく発揮させるための最新知識をお届けしよう。

あなたのPC、しっかり冷やせてる!?PC内部の熱源を把握せよ!

最新パーツの発熱がジリジリ増加

 高性能化が進む近年のPCパーツ。しかし、その性能を存分に発揮するためには、パーツが発する熱をしっかりと冷やしてやる必要がある。ここでは、PCの熱源となるパーツを把握し、その対策についてチェックしていこう。

PC内部の熱源はここだ!

 パーツの性能向上は喜ばしい限りだが、その分発熱も増加傾向にある。PC内部の熱源とそれに対する対策や注意点を確認しよう。

 まずCPUについてだが、マルチコア化や高クロック化の影響で、ハイエンド中心に負荷時のCPU温度が90℃を超える場合が多い。組み合わせるマザーボード側も電源回路の品質が向上してはいるが、高性能化したCPUに対応するために発熱が増加している。

 ビデオカードもハイエンドGPUを搭載したものを中心に、発熱に対応するためにクーラーが大型化。内排気モデルが中心なので、熱がケース内に拡散されてしまう。

 SSDは基本的にはマザーやSSD標準装備のヒートシンクで冷やせる。しかし登場したばかりのGen 5 SSDは発熱に注意が必要だ。

CPUのTDPやMTPが上がったことによりマザーボードの電源回路の発熱も増大。各社フェーズ数を増やして分散したり、実装部品のスペックを上げたり、ヒートシンクを大型化したりして対策しているが、発熱は以前より確実に増えている

主な熱源とその対策

熱源①CPU【対策】CPUの仕様(MTP・TDP)に応じたCPUクーラーを選ぶ

 多くのユーザーが頭を悩ませる最新CPUの高い発熱。IntelもAMDもメニーコア化が進み、動作クロックも5GHz超えが当たり前になった。Core i9-13900KSにいたっては最大動作クロックは6GHzと手動OCの限界に近いほどだ。Intelプラットフォームでは、ミドルレンジ以上のマザーは電力制限が無制限になっている場合が多く、AMDマザーにおいても温度リミットを超えない範囲で最大限にブーストする。このような攻めたブースト設定や電力設定の恩恵で性能は大幅に上昇しているが、CPU温度が90℃を超えるのが当たり前になってしまっている。

 そのため、発熱対策としてクーラー選びの重要性は増す一方だ。Core i9やRyzen 9においては36cmクラス以上の簡易水冷クーラーが必須で、Core i7やRyzen 7であっても24cmクラス以上の簡易水冷クーラーかハイエンド空冷が必須と言える。

熱源②ビデオカード【対策】クーラーの設計に注目

 ビデオカードはその発熱の大きさからクーラーが大幅に大型化。GeForce RTX 40シリーズや30シリーズのハイエンドモデルでは30cm超えのカードも多い。さらに内排気モデルが主流であるため、熱がケース内に拡散されてほかのパーツに与える影響が大きい。GPUやVRAM温度を下げるためには高性能なクーラーを搭載したモデルが有利だが、ケースのエアフローも含めて対策が必要だ。

熱源③SSD【対策】ケース内のエアフローを確保

 M.2 NVMe SSDの発熱に関しては、マザーに標準搭載のヒートシンクを使えばOK。重厚なヒートシンクが標準装備された製品が多いし、より大型のヒートシンク付きのSSDもある。しかし、Gen 5 SSDだと話は別で、コントローラの発熱がすさまじいため超大型ヒートシンクやファン付きの製品がリリースされている。その上で、ケース内のエアフローを含めた対策を心がけよう。

ますます重要になるCPUクーラー選び

 これまで自作PCにおけるCPUクーラー選びは、温度を下げて安定性や静音性を上げるためだったり、オーバークロック時の熱暴走を防ぐためだったり、ユーザーの希望をかなえるのが目的だった。しかし現在では、高性能なものを選ばなければ、メーカーが定めたクロックでの動作を達成できないから、というように意味が変わりつつある。

 選び方の基準だが、Intel Core i9やKシリーズ、AMD Ryzen 9であれば36cmクラス以上の簡易水冷クーラーが望ましい。Core i7やRyzen 7には24cmクラス以上の簡易水冷クーラーかハイエンド空冷を選びたい。それより下位のCPUにおいてはCPU付属クーラーで冷やし切れる場合もあるが、3,000円~4,000円程度のエントリー空冷に交換すると温度が大幅に低下して静音性も向上するのでオススメだ。

 クーラーの冷却性能が不足していると、CPUだけでなくマザーボードの温度まで上昇し、ケース内も高温になる。しっかりとしたクーラーで冷却して、熱はケースファンでケース外に排出するのがセオリーだ。

【検証環境】
CPUIntel Core i7-12700K(12コア20スレッド)
マザーボードMSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4(Intel Z690)
メモリMicron Crucial CT2K8G4DFS832A(PC4-25600 DDR4 SDRAM 8GB×2)
ビデオカードMSI GeForce RTX 3060 Ti GAMING X TRIO(NVIDIA GeForce RTX 3060 Ti)
SSDWestern Digital WD Blue SN570 NVMe WDS500G3B0C[M.2(PCI Express 3.0 x4)、500GB]
OSWindows 11 Pro
グリス親和産業 OC Master SMZ-01R
室温25℃
暗騒音28dB
高負荷時CINEBENCH R23 Multi Coreを10分間連続実行した際の最大値
FF14時ファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレ ベンチマークを3回連続で実行した際の最大値
CPU温度HWiNFOのCPUPackageの値
動作音測定距離ファンから20cm

PC内部のエアフローを見てみよう

 ケース内をどのように空気が流れているのか、ドライアイスを使ってエアフローを可視化してみた。ラジエータの取り付け位置は前面と天板をそれぞれテスト。エアフローのバランスがおよぼす影響をチェックするために、前面設置時はリアの排気ファン、天板設置時はフロントの吸気ファンをON/OFFでそれぞれテストした。

水冷クーラー前面設置・背面ファンをON/OFF
排気ファンが動くことでケース内に空気がしっかりと引き込まれている。ケース後方にも空気の流れが確認できる
ケース内に空気が引き込まれにくく、排気もうまくいっていない。風の流れがないためドライアイスの煙がケースの周囲で霧状になって広がっている

 ラジエータ前面設置時だが、背面ファンをONにしたときのほうがしっかりとケース内に空気が流れているのが確認できる。天板設置時も、吸気ファンをONにした場合に空気が直線的に流れている。空気のスムーズな流れを作るためには吸気と排気のバランスが大切という原則が視覚的にも確認できる。

水冷クーラー天板設置・前面ファンをON/OFF
吸気ファンがケース内に空気を引き入れてくれるので、排気もスムーズに行なえているのが白い気体の流れから見て取れる
ラジエータと背面のファンがケース内への吸気もになっている。ケース各部の隙間から外気が入ってはいるが、排気効率が悪いように見える
【検証環境】
CPUAMD Ryzen 9 5900X(12コア24スレッド)
マザーボードMSI MPG X570 GAMING EDGE WIFI(AMD X 570)
メモリMicron Crucial CT2K8G4DFS832A(PC4-25600 DDR4 SDRAM 8GB×2)
ビデオカードNVIDIA GeForce RTX 3070 Ti Founders Edition
SSDWesternDigital WD Blue SN550 NVMe SSD WDS100T2B0C[M.2(PCI Express 3.0 x4)、1TB]
CPUクーラーThermaltake TOUGHLIQUID 280 ARGB Sync(簡易水冷、28cmクラス)
PCケースCooler Master HAF 500(ExtendedATX ※前面20cm径ファン×2をADATA VENTO PRO 120 PWM 2個パックに換装)
電源Super Flower LEADEX V Gold 750W(750W、80PLUS Gold)
ファン回転数マザーボードのUEFIセットアップで各ファンの回転数をPWM 1%に固定

[TEXT:清水貴裕]

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 今回は、DOS/V POWER REPORT「2023年夏号」の記事をまるごと掲載しています。

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