ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち
学研『マイコンライフ』~ 想い出の“20世紀パソコン雑誌”たち ~
2025年11月18日 08:05
現在ではあまり見かけなくなってしまったものの、20世紀には数多くのマイコン・パソコン雑誌が発売されていました。中には、その当時に読者だった雑誌に影響を受けて後の人生が決まった、という人もいるかもしれません。ここでは、それら20世紀に発売されたマイコン・パソコン雑誌を取り上げ、紹介していきます。
第10回目は、1981年9月に創刊され、1985年末号で休刊した学研のマイコン・パソコン雑誌『マイコンライフ』を取り上げます。
80年代には、さまざまな出版社からバラエティ豊かなマイコン・パソコン雑誌が発売されています。その多くは、マイコンやパソコンが趣味で使われていることから、今で言うところのエンタメ系を中心とした内容となっていました。そんななかにあって、今後マイコン・パソコンがビジネスでも活用されると分析したいくつかの出版社は、仕事を中心とした誌面構成の雑誌を創刊するのですが、そのうちの1冊が今回取り上げた学研より発売されていた『マイコンライフ』です。
全体的な雰囲気としては、以前に紹介したソフトバンク(当時)の月刊誌『Oh!PC』を、全機種対応雑誌にしたような感じですが、プログラムリストが少ないのが特徴としてありました。また、写真は少なく説明文章が多いので、いかにもビジネス誌という感じがしています。
創刊されたのは1981年9月21日に発売された10月号で、創刊号の価格は付録が付いて480円でした。当初のキャッチコピーは「ビジネス革命の新時代を拓く」でしたが、後には「マイコン選びから活用まで」そして「PERSONAL COMPUTER & COMMUNICATION」と変わっていきます。
創刊されてしばらくはビジネスマンがターゲットという事もあってか、ビジネス色の強い誌面構成となっていました。時には、日本ソフトバンク(当時)の孫正義氏を交えた対談記事が掲載されるなど、かなり硬派な仕上がりとなっています。また、掲載されていたプログラムも“財務管理”などの実用的なものが多かったため、読者の方で当時書店で見かけて買っていたという人は少ないかもしれません。
息抜きのコンテンツとしてはBASICで書かれた、ちょっとしたゲームプログラムが掲載されている程度。他にも、TBS系列で放映されたテレビ番組『クイズダービー』でもお馴染みのマンガ家、はらたいらさんのマンガ「パソコンくん」が連載されていたなど、こういった部分も大人向けの仕様となっていました。
しかし、1983年以降になると新機種も数多く登場してきたためか、本誌キャッチコピーの変化とともに、誌面の方向性もビジネス寄りからやや修正されて、パソコン初心者向けの解説なども行うようになっていきます。同時に、カッチリとした誌面の雰囲気も少しずつ和らいでいき、巻末には雑誌割合の中でもそれなりの分量を占めるプログラムリストが掲載されるようにもなりました。ゲームプログラムも従来の素っ気ないものではなく、市販ソフトのリストがそのまま掲載されるなど豪華な感じが増していき、それと共に、ゲームプログラムページも増加することになります。
1985年4月に発売された5月号では、当時発売されていたゲームを取り上げる他の雑誌などを参考にしてエンタメ色を強めた形態へとリニューアルを行うのですが、これまでの路線と異なったことなどから、どっちつかずになってしまい、1985年12月に発売された1986年1月号をもって休刊となるのでした。
価格ですが、月刊化当初は定価480円からスタートしましたが、最終的には550円へと値上げされています。とはいえ、近い時期では『ASCII』が500円、『RAM』480円、『マイコン』530円、そして『Oh!PC』が480円だったことを考えると、この値段は妥当だったといえるでしょう。
特徴の一つとして、一時期ですが雑誌発売時点で購入可能な全パソコンのリストが載っていたことが挙げられます。ここには簡単なスペックや価格などが書かれているので、今見返すと当時の思い出がよみがえってくるかもしれません。また、通常の雑誌では表紙をめくった右側のページが1ページ目となるのが一般的ですが、『マイコンライフ』は広告ページには独自のノンブル(ページ数)が割り当てられていたのもユニークな部分でした。
『マイコンライフ』は、1981年という他のエンタメ系雑誌よりも早めの創刊でしたが、残念ながら長くは続かず、その役目を終えてしまうこととなります。





