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日本放送出版協会『パソコンライフ』~ 想い出の“20世紀パソコン雑誌”たち ~

戦前からあった電子工学関連の雑誌で、2回の改題を経て『パソコンライフ』となります。最初の『電波科学』の頃は総ページ数も少なかったですが、電子工作の盛り上がりとともに徐々に厚みを増していきました。

 現在ではあまり見かけなくなってしまったものの、20世紀には数多くのマイコン・パソコン雑誌が発売されていました。中には、その当時に読者だった雑誌に影響を受けて後の人生が決まった、という人もいるかもしれません。ここでは、それら20世紀に発売されたマイコン・パソコン雑誌を取り上げ、紹介していきます。

 第12回目は、1933年に創刊され1997年まで60年以上刊行された、最終誌名『パソコンライフ』を取り上げます。

 1980年代、パソコン雑誌はさまざまな出版社から発売されていたため、中には“そんなところも出してたの?”と思ってしまう会社からも販売されていました。そのうちの1冊となるのが今回取り上げた、日本放送協会出版(NHK出版)から発売されていた『パソコンライフ』です。元は、1933年(戦前です)に創刊された『電波科学』で、1980年代にパソコンが一般にも普及し始めたタイミングで『エレクトロニクスライフ』に改題。さらに、1996年にはWindows 95ブームなどを受けて『パソコンライフ』へと、誌名を変更しています。

 NHK出版からの発売ということで、NHKの技術畑の人たちが雑誌の監修を務めていたという特徴がありました。それ故か、内容もかなり堅めに仕上がっていて、ゲームプログラムといったホビー系の記事を見ることはほぼありません。なお、NHK出版の本ではありますが、テレビ局のNHKとは違って製品名を隠すといったことはなく、しっかりとメーカー名も掲載されています。また、NHKはテレビで「機種X」としたPC-8001を使用しての「NHK趣味講座 マイコン入門」という番組を放映していましたが、そちらともほぼ関連がありません。

古い時代の『電波科学』ですが、入っている広告はほぼイラスト+製品名と会社名+連絡先というフォーマットでした。中には、現在も見る会社の広告も見つかったりします。

 『電波科学』初期(学の文字が旧字体)の頃は、無線やラジオの受信機、オシロスコープの作り方など、いわゆる電子工作記事が中心となっていました。この頃の雑誌は今や残存数が少ないと思われるので、掲載されている広告も情報源として貴重かもしれません。広告の種類としては、真空管やトランス、モーター、スピーカ、電池、ラジオキットなどでしたが、テレビ放送が始まった時期には組み立て式のテレビキットも宣伝されていて、誌面から古い時代の秋葉原の雰囲気を感じ取れそうです。ちなみに、紙はいわゆる藁半紙っぽいものを使用しているので、1970年代から80年代前半にかけて小学校や中学校に通っていたという年齢層の人であれば、想像がつくかと思います。また1ページ広告というのは珍しく、基本的には1/10や1/8といったスペースで場所を問わず載っている感じでした。

 『電波科学(学の文字が新字体)』になり、時代も1970年代後半まで進むと、電子工作がより身近になって来たことと相まって、誌面も電子工作に関連するものが多くなっていきます。合わせて、パソコンが少しずつ普及し始めることで、パソコン関連の記事も見られるようになっていきました。特に、1980年代前半は多数のマイコン・パソコンが発売されたこともあってか、本誌でも他誌で見られるような価格帯別の購入アドバイス記事などが掲載されています。この時代にはパソコン関連の記事が増えていくのですが、掲載されている広告はどちらかというオーディオ関連が中心となっていたこともあってか、周りのパソコンユーザーが買っていたのを目にすることはほとんどありませんでした。

 この後は、1985年に誌名を『エレクトロニクスライフ』に改題して刊行を続けます。表紙にパソコンが写っていることもありましたが、それまでよりもパソコンからは距離を取り技術寄りの記事が多くなっていきました。

 PC-98シリーズが台頭し始めると、紙面上でもMS-DOSの解説が行われるなど、再びパソコン関連の記事も少しずつ増えていきます。これは、書き手側にパソコンを使う人が増えていったから、という影響もあるのではないでしょうか。NHK出版らしく、NHK放送技術研究所に関する記事も掲載されていたほか、このタイミングで始まったハイビジョン放映についての情報なども取り上げていました。

80年代に入ってもオーディオ広告などが中心で、パソコンの記事を取り上げてもパソコンの広告が入るというのは稀でした。

 時代が下り1990年代も半ばに入るとWindows 95が登場し、それまでとは違ってパソコンが趣味だけでなく仕事にも使われるのが当たり前になってきます。そんな時代に差し掛かったことなども鑑みてか、1996年には誌名を『パソコンライフ』に変更。合わせて、版型も長らく続いたB5版からA4変形サイズへと大型化させました。内容も、これまでのような電子工作に関する記事もありましたが、大半はWindowsやMacintoshに関するものになり、さらにはこの時期にNHKで放映されていたNHKスペシャル『新・電子立国』関連の対談が掲載されるなど、より一般向け+NHK出版らしさという誌面構成になります。

 しかし、この時期は一般向けのパソコン雑誌やムックなどが数多く刊行されていた時期でもあり、大衆向けへと舵を切った本誌もその波に呑まれることとなるのでした。そして残念ながら部数も思ったようには伸びず、最終的には1997年3月号にて休刊することになります。

 ちなみに、戦争終結から6年後となる1951年に発行された『電波科学』の定価は“七十五円(当時の記述)”で、1960年には100円、1983年には650円、『パソコンライフ』になってからは880円と推移していきました。