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【PC自作の新常識】グリスの量、塗り方、今選ぶべきグリスは?
DOS/V POWER REPORT 2022年秋号の記事を丸ごと掲載!
2023年2月8日 11:05
Q:グリスの量、塗り方、今選ぶべきグリスは?
グリスの塗り方でCPU温度に違いが出る?
A:グリスの量は多過ぎず少な過ぎず、昔ながらのヘラ塗りが確実
- 最初の盛り方で広がり方が異なる
- ヘラで塗れば適量かつ均一
- グリスを選ぶ際は熱伝導率に注目
最初の盛り方で広がり方はこんなに違う
グリスを盛り、CPUクーラーを固定する際の圧力で塗り伸ばす方法で最適なのはどれか。よく聞かれる四つの盛り方で試してみた。下の写真はCPUにグリスを塗り、アクリル板を載せた上で重りによる圧をかけたものだ。一番下の写真は8kgの重りを2分間載せた際のもの。
これを見ると、どの方法も最終的にはうまく広がっている。ただし、円を描く方法は中央に空気が残ってしまうのが気になった。最終的に消えたように見えるが……結果は下のグラフでご確認いただきたい。
なお、実際に検証してみると、アクリル板を載せるとき、重りを載せたり降ろしたりする瞬間、ちょっとしたはずみでズレる。これは実際のCPUクーラー装着でも同様。せっかく伸び広がりをイメージしてグリスを塗っても、そのイメージどおりに伸びてはいないかもしれない。実際に負荷をかけて温度変化を見るのがよいだろう。
ヘラ塗りの手順&お助けグッズ
市販のグリスを購入すると付属品として付いてくることもあるとおりグリス塗りの王道と言えば「ヘラ塗り」だ。多少の手間がかかるが安心、確実。
ヘラが付属していればそれを、なければ汚れても構わない不要なプラ製の会員カードやプリペイドカードを使えばよい。カードの幅はCPUぐらいのサイズを塗るのにちょうどよい。一方、粘度の高いグリスでは力をかけやすいヘラが使いやすい。
また、最近のトレンドは、マスキングテープなどでヒートスプレッダの端を少し隠して塗布する方法。リテールクーラーなどグリス塗布済み製品では確かに端を少し残している。端に余白を設けることでCPUクーラーを圧着した際のグリスのはみ出しを抑えられる。また、マスキングテープの厚みはグリスを塗り伸ばす際の厚みのガイドにもなる。グリスの適量を把握しやすいのでオススメだ。
しかし、マスキングテープをCPUの4辺にきれいに貼るのはなかなか難しく、ストレスがたまる作業でもある。そんなときは本誌でもおなじみ、オーバークロッカー清水氏プロデュースのマスキングシールが便利だ。お手軽かつそこまで高くない。ソケットの面積はさまざまだが、AM4&LGA20XX用、LGA115x&1200用、LGA1700用と各ソケットに最適化されている。
こうしたテクニックや便利グッズを使い、グリスを均等に塗布することでクーラーの性能を確実に引き出すことができる。
グリスのスペックはココをチェック!
製品サイトやパッケージにグリスの仕様が記載されているが、とくにチェックしたいのは熱伝導率、体積抵抗率、粘度だ。熱伝導率はどれだけ熱を伝えるか。W/mKで記載されることが多く、数値が大きいほどよい。体積抵抗率は数値が大きなものほど導電性がなく事故が起きにくい。粘度は塗りやすさに関係し、数値が小さいほど粘り気が少なくなる。
CPU | AMD Ryzen 9 5900X(12コア24スレッド) |
マザーボード | MSI MPG X570 GAMING PRO CARBON(AMD X570) |
メモリ | PC4-25600 DDR4 SDRAM 8GB×2 |
SSD | Micron Crucial P5 Plus CT1000P5PSSD8JP[M.2(PCI Express 4.0 x4) 1TB] |
CPUクーラー | サイズ 風魔弐 Rev.B |
グリス | ARCTIC MX-4 8G |
アイドル時 | OS起動10分後の値 |
高負荷時 | OCCT CPUを15分間実行した最大値 |
CPU温度 | HWiNFO64のCPU(Tctl/Tdie)の値 |
[TEXT:石川ひさよし]
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