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【PC自作の新常識】古いパーツは最新のプラットフォームで使える?

DOS/V POWER REPORT 2022年秋号の記事を丸ごと掲載!

Q:古いパーツは最新のプラットフォームで使える?

 使えるパーツは可能な限り活かしたい

A:メモリやストレージは使い回しやすい

  • CPUの流用はRyzen以外では厳しい
  • ビデオカードは装着自体は可能だがドライバやUEFIサポートに問題アリ
  • 電源は定格出力と搭載パーツしだい

“CPU”の流用は難しく、メリットは少ない

Intel Z690/H670/B660の対応CPU 第12世代Coreシリーズ、第13世代Coreシリーズ
AMD X570/B550の対応CPU Ryzen 5000/3000/2000シリーズ

 旧世代のCPUは最新プラットフォームで使えないことがほとんどだ。InelのZ690チップセットが対応するCPUは第12世代と第13世代のCoreシリーズ。ソケット形状も異なる旧世代のCPUは対応しない。一方、AMDは5年前に登場したSocket AM4が現役で使われており、Ryzen 2000シリーズ以降なら、現行世代のX570やB550チップセットでも使える。性能が足りるかはともかくCPUを使い回しやすいプラットフォームだ。

【POINT!】Ryzenはサポートの範囲が広い
AMDのX370チップセットは2017年発売と古いが、一部のマザーボードではメーカーが独自にRyzen 5000シリーズに対応するUEFIを提供。マザーボードの延命もしやすい

DDR4“メモリ”はまだ現役

DDR4-3200で十分
Intelの第12世代CoreからはDDR4とDDR5の両対応になっているが、ベンチマークではDDR4が勝つこともめずらしくない。手持ちのDDR4メモリを使って、第12世代Coreに乗り換えは全然アリだ

 Intelの第12/第13世代CoreはDDR5とDDR4の両方をサポートし、AMDのRyzen 5000シリーズまではDDR4のみ、登場間近のRyzen 7000シリーズはDDR5のみの対応だ。DDR4メモリは2014年発売と歴史が長く、持っている自作好きも多いはず。第12世代Coreに関しては現在のところDDR5とDDR4の性能差はほとんどないと言ってよい。最新プラットフォームであってもDDR4メモリは十分現役として活躍できる。

使い回しをしやすい“ストレージ”

 ストレージも最新プラットフォームで使い回しやすいパーツだ。ストレージのインターフェースは基本的に上位互換があり、長く使われているSerial ATAもまだ現役だからだ。古いHDDやSSDでも故障さえしていなければ、基本的には最新プラットフォームでもそのまま使えるケースがほとんど。注意したいのは、M.2形状でSerial ATA接続のSSDだ。M.2スロットにはPCI Express接続だけ対応と、PCI Express/Serial ATA両対応の2パターンがあるためだ。M.2スロットが1基だけの小型マザーボードは、PCI Express接続のみの対応というパターンが多い。

M.2でAHCIやSerial ATAに注意
Samsungの「SM951」は、PCI Express接続のM.2 SSDだが、プロトコルにNVMeとAHCIの2バージョンがあった。PCI ExpressでAHCIという仕様はめずらしく、最新のプラットフォームではサポートされていないことがある
多くのストレージは最新のプラットフォームでも使えるが、一部で特殊な仕様の製品も存在する。使い回すならマザーボードの動作確認済みのストレージ一覧をチェックするのが確実と言える

古い“ビデオカード”はUEFIやドライバ問題が

 古いビデオカードでもPCI Express対応ならば、最新プラットフォームで物理的には接続できるが、正しく動作しない可能性が高い。まず、2012年以前のビデオカードはUEFIに対応していないものが多く、現在のマザーボードでは認識できない可能性がある。それに加え、古いビデオカードはそもそもWindows 11用のドライバの提供が打ち切られていることも。NVIDIAならGeForce 600シリーズ以降、AMDならRadeon RX400シリーズ以降がWindows 11に対応する。

ドライバがなくなる
デスクトップ向けのGeForceでWindows 11向けドライバが提供されているのは、GeForce 600シリーズ以降。それ以前は認識できないので注意が必要だ
UEFI非対応の古いビデオカードは、最新のプラットフォームでは認識しないことも。マザーボードのUEFIをCMSに設定すれば認識することもあるが、Windows 11向けドライバがないという別問題にぶつかる可能性が高い

“電源”はマザーボードやビデオカードの仕様に注意

 電源も比較的使い回しやすいパーツだが、出力と電源ケーブルの数には注意したい。とくにハイエンドビデオカードは推奨電源の出力が大きい上に、8ピンの補助電源を複数必要とする製品が多い。古い電源は8ピンの補助電源ケーブルが1本だけというケースもあり、現行のハイエンド環境には対応しにくい。逆にエントリークラスのビデオカードでよいなら使い回しはしやすいと言える。

補助電源の数を確認しよう
マザーボードの8ピン+8ピンは、片方はオプション扱いで一つだけの取り付けで動くケースが多い。
しかし、ビデオカードはハイエンドだと8ピン×2や8ピン×3が存在。古い電源では、ビデオカード用は8ピンや6ピンが一つだけというケースも多い
【検証環境】
CPUCore i9-12900K(16コア24スレッド)
マザーボードASRock Z690 PG Velocita(Intel Z690、DDR5)、ASUSTeK TUF GAMING Z690-PLUS WIFI D4(Intel Z690、DDR4)
メモリG.Skill Trident Z RGB F4-3200C16D-32GTZRX(PC4-25600 DDR4 SDRAM 16GB×2 ※CPUの定格で動作)×2、Kingston FURY Beast KF552C40BBK2-32(PC5-41600 DDR5 SDRAM 16GB×2 ※CPUの定格で動作)
システムSSDCorsair CSSD-F1000GBMP600[M.2(PCI Express 4.0 x4)、1TB]
データSSDSilicon Power SP002TBP34A80M28[M.2(PCI Express 3.0 x4)、2TB]
電源Super Flower LEADEX TITANIUM 1000W(1,000W、80PLUS Platinum)
OSWindows 11 Pro

[TEXT:芹澤正芳]

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 今回は、DOS/V POWER REPORT「2022年秋号」の記事をまるごと掲載しています。

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