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先進性を武器に川崎から世界へ!自作PC向けSSD市場にも挑むNextorageに“これまで”と“これから”を聞く
DOS/V POWER REPORT 2024年冬号の記事を丸ごと掲載!
2024年9月25日 12:05
Nextorageは、自作PCの歴史30余年のうち、集合離散はありつつも老舗が少なくないストレージ市場においてはかなり新しいプレイヤーだ。AV機器やゲーム機の雄であるソニーをルーツとする同社の現在と今後について話をうかがったのでその模様をレポートする。
若いけどベテラン Nextorageのこれまで
Nextorageのルーツは、ソニーのメモリストレージの開発を担っていたことである。ベテランユーザーなら記憶にあるであろう「メモリースティック」や、映像や音楽に強いソニーだけに、プロ向けのメモリストレージ製品も開発・製造・販売していたという。そんなソニーのメモリストレージ事業の歴史、技術者やスタッフを継承し、2019年にNextorageは設立された。
「世界初、世界No.1への挑戦」をスローガンとしているという同社は、2020年にはSSD用コントローラの最大手であるPhisonが資本参加。広く注目が高まってきていた“ゲーミング”をターゲットの一つに定め、2021年に「PS5向け」を前面にプッシュした「NEM-PA」をリリース。その後、自作PCユーザー向けに、Gen 4 SSDの「Gシリーズ」、Gen 5 SSDの「NE5Nシリーズ」を投入している。
川崎駅前のオフィスビル内で製品の(ほぼ)すべてを開発!?
Nextorageはいわゆるファブレス企業だが、製造以外の主要な“モノづくりに必要な機能”はほとんどが川崎駅前にある本社に集約されている。この点が同社の製品開発を支えるポイントのようだ。たとえばNE5Nシリーズの開発では、Gen 5 SSDの課題である発熱に対する工夫が求められたが、開発を統括する正田氏によると「電気系、メカ系、ソフト系の技術者がすべて川崎(の本社)にいる」ため、きわめてスムーズかつ細やかな連係が取れたとのこと。その結果、「こんなに細かく検討されたヒートシンクはなかなかない」(竹内氏)という高性能なSSD用ヒートシンクが完成したと言う。
また、営業やサポートといったセクションも同じ拠点にいるので、素早くユーザーニーズを企画に展開したり、サポートに上がってきた情報をECサイトの製品販売ページに反映したり、という動きも速いとのこと。巨大な老舗企業も多いストレージ市場において、この身軽さ、柔軟性は特筆すべき点だろう。
2024年のNextorage 自作向けSSD市場はどうなる?
また、「Xシリーズ」や「GシリーズLE」といった先進的な製品のリリースを控えた同社に「バリューSSDはやらないのですか?」というちょっと意地の悪い質問をぶつけてみた。竹内氏によると、「バリューSSDの規模は大きいが、価格面での競争が激しい。そんな中で“Nextorageらしさ”を出していくことは非常に難しいと思います。今のNextorageらしさは“先進性”であり“先端技術”。まずはそのエリアで十分な力を発揮していくことが重要だと考えています」とのこと。注力する分野は、Gen 5対応の最速製品であり、新たに登場するハイエンドDRAMレスという新スタイル、ということなのだ。
2024年の展望だが、Nextorageによると、売れ筋の容量は2TBが中心になり、4TB以上の製品のニーズがさらに高まって注目度も上がると見られるとのこと。インターフェースは引き続きPCI Express Gen 4が主流で、Gen 5の普及にはもう少し時間がかかる見込み。しかし、Gen 5 SSDのパフォーマンスを“今の時点で”欲しているユーザーも、CG制作の現場などにすでにいるのだとか。ただ、そういう用途では容量に対する要求も高いとのことで、DRAM搭載タイプで8TB、DRAMレスなら4TBといったように大容量化は必須の目標だと言う。
2023年の同社は、PS5向きのNEM-PAが世界的にヒット、スリム&コンパクトな外付けSSD「NX-P2SEシリーズ」が絶好調。日本のストレージメーカーとして2024年もその存在感が高まるか。動向に注目したい。
[TEXT:北川達也、編集部 内田泰仁]
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DOS/V POWER REPORT「2024年冬号」の記事をまるごと掲載
今回は、2023年末に休刊したDOS/V POWER REPORT「2024年冬号」の記事をまるごと掲載しています。
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