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人気製品をガチ比較!ベスト電源ユニットはこれだ!【PCパーツ100選 2024 電源ユニット編】

DOS/V POWER REPORT 2024年冬号の記事を丸ごと掲載!

玄人志向 KRPW-PK1000W/92+

玄人志向が送り込んできたゲームチャンジャー
ファン:13.5cm角(底面)●電源コネクタ:ATX20/24ピン×1、ATX/EPS12V×2、Serial ATA×14、ペリフェラル×3、12VHPWR×1、PCI Express 6+2ピン×6

 玄人志向の本気を久々に見た。基準電圧は12.0V付近、交流成分がない直流。玄人志向はこれまでも安定・低ノイズの電源をリリースしてきたが、本製品はそれ以上だ。

部品は背面に向かって整列されており適度に空間を持たせて放熱効果を高めている
1次側は日ケミの耐熱105℃の560μFが2本と大容量! トランスはそれ自体からヒートシンクが生えた超小型&前衛的なモノを搭載!

 1次側の電解コンデンサは大容量で頻繁かつ大きな電圧変動にも対応する日本ケミコン製のKMWシリーズ。メイントランスは超小型で上部からヒートシンクが出ているめずらしいタイプを利用している。2次側平滑回路はアルミ固体コンデンサとチョークで安定化。見た目は小規模だが、使用されている固体コンデンサは1本で1,500μFの大容量なのでキレイな直流が出力できているようだ。プラグインコネクタ裏から背面に向かっての部品配置はエアフローを阻害するものが少なくストレートに流れる設計。放熱率の高い設計にも注目だ。

ATX24ピンとEPS12Vの降下幅は0.1V、PCI Expressは0.2V以内。基準電圧もATX24ピンが12.1Vでほかは12.0V付近と理想的
リプルはごくわずかで小さく理想的な直流と言ってよい。乾電池とまでは言わないが、AV用途にもオススメできる電源だ
長周期で見ても交流成分がない理想的な直流。2次側のコンデンサは少なくても完成された2次側整流回路と言える

Super Flower Computer LEADEX Ⅵ PLATINUM PRO 850W

電圧もノイズも優秀な成績使い勝手のよさも光る一品
ファン:12cm角(底面)●電源コネクタ:ATX20/24ピン×1、ATX/EPS12V×2、SerialATA×12、ペリフェラル×4、12VHPWR×1、PCI Express 6+2ピン×8

 ここ数世代、Super Flowerの電源は安定した電圧や低ノイズの結果を残しており、そこは本製品も受け継いでいる。+12Vはやや基準電圧が高めだが、 負荷がかかっても変動幅が0.1V以内ときわめて安定しており、ノイズについても短周期、長周期とも多少のスパイクは見られても、交流由来のうねりがほとんど見られない。

ファンからのエアフローをスムーズに背面に導く部品配置。同時に高品質で低発熱の部品を採用した設計だ
PCI Express(12VHPWR含む)やEPS12V、Serial ATAなどのケーブルは同じ3×3ピン端子を採用し、どこに挿しても利用可能だ

 すべて日本メーカー製コンデンサを採用するとともに、発熱の大きな部品は中央に配置、ファンの風がスムーズに各部の熱を冷やすようヒートシンクの位置や部品の向きまで気を配った設計だ。ATX24ピン以外のプラグインケーブル端子をどこに挿しても利用できるスーパーコネクタもかゆいところに手が届く。たとえば側面パネルに近い側を空けておけば後からケーブルを追加するのもラクなので参考にしていただきたい。

基準電圧は12.2V付近にあり、負荷がかかってもほとんど変化のないキレイなグラフだ
±20mV程度のスパイクは見られるが全体としてはノイズが少ない電源だ
スパイクはあるものの交流のうねり成分はほとんど見られない理想的な波形だ

ASUSTeK Computer ROG-STRIX-1000G

冷却と静音性を高めたROGブランドモデル
ファン:13.5cm角(底面)●電源コネクタ:ATX20/24ピン×1、ATX/EPS12V×2、Serial ATA×8、ペリフェラル×6、PCI Express 6+2ピン×6
各ケーブルがつながるモジュラー基板部分。各部に固体コンデンサが使用されている

 ファンには低回転域でも冷却性能と低騒音を両立させたAxial-tech技術を採用。従来の電源設計に比べて2倍の体積を持つROGヒートシンクを搭載する。こうしたこだわりの冷却設計が機器の寿命を延ばし、ファンが回転しない無音状態を長時間維持できることにつながっている。ケーブル類はフルモジュラー仕様となっている。

Sea Sonic Electronics VERTEX-GX-1000

高い信頼と実績を持つ中堅シリーズモデル
ファン:13.5cm角(底面)●電源コネクタ:ATX20/24ピン×1、ATX/EPS12V×2、Serial ATA×18、ペリフェラル×3、12VHPWR×1、PCI Express 6+2ピン×3
高品質部品を用いた基板構成。1次側のコンデンサは日本ケミコン製、2次コンデンサはニチコン製

 VERTEXシリーズのATX 3.0電源は、同社ラインナップの中では中堅に属する製品。ファンには温度と負荷を検知して自動的に回転数を制御する準ファンレス機能「Premium Hybrid Fan Control」を盛り込み静音性に優れる。負荷時の電圧変動を抑えるTight Voltage Regulation設計を採用しており、PCI Expressの+12Vを見ても安定感がある。

Corsair Gaming RM850e ATX 3.0

価格を抑えたプレミアム電源
ファン:12cm角(底面)●電源コネクタ:ATX24ピン×1、ATX/EPS12V×2、Serial ATA×7、ペリフェラル×4、12VHPWR×1、PCI Express 6+2ピン×3
2次側には台湾TEAPO製の105℃品電解コンデンサを採用している

 Corsair RM850eは、価格を抑えたATX3.0対応の電源ユニット。1次側のコンデンサには台湾Elite製、2次側は台湾TEAPO製を採用している。ケーブルはすべて取り外し可能なフルプラグイン方式を採用。低負荷時のファンレス運用に対応したZero RPM Fan Modeも搭載しており、ただ安いだけではないモデルだ。

Micro-Star International MAG A850GL PCIE5 WHITE

ATX 3.0電源でも手頃な価格で安心感も◎
ファン:12cm角(底面)●電源コネクタ:ATX24ピン×1、ATX/EPS12V×2、Serial ATA×8、ペリフェラル×4、12VHPWR×1、PCI Express 6+2ピン×4、FDD×1
黄色い部分が見えなくなるまで挿せばOK。12VHPWRの接続状態を目視で判別できる

 この電源の特徴はまずユーザーフレンドリーであること。焼損事故も起きている12VHPWRだが、本製品は端子を黄色にすることで正しく接続できているのか状態を分かりやすくしている。もう一つはコスパ。台湾メーカーの中では定評あるCapXon製105℃コンデンサを採用し、手の届きやすい価格を実現している。

ADATA Technology XPG FUSION 1600 TITANIUM

最新技術がてんこ盛り!12年の安心長期保証!
ファン:13.5cm角(底面)●電源コネクタ:ATX24ピン×1、EPS12V×2、Serial ATA×12、ペリフェラル×4、12VHPWR×2、PCI Express 6+2ピン×10、FDD×1

 業界大手のDeltaと共同開発した大出力&高効率のフラグシップモデル。プレーナー型の平面トランスやGaN FETなどの最新技術を採用し高い安定性を確保している。同社の「XPG PRIME」を使用することでリアルタイムでデータ監視や温度モードの変更を行なうことができる。

プレーナー型平面トランスや日本メーカー製105℃コンデンサも見え品質の高さがうかがえる

Listan be quiet! DARK POWER 13 1000W

Silent Wingsファンを搭載 静音性を重視するユーザーへ
ファン:13.5cm角(底面)●電源コネクタ:ATX24ピン×1、ATX/EPS12V×1、EPS12V×1、Serial ATA×13、ペリフェラル×3、12VHPWR×1、PCI Express 6+2ピン×4
日本メーカー製105℃コンデンサを全面的に使用。余裕を持った設計で熱がこもりにくい構造が見てとれる

Cooler Master Technology V850 Gold i Multi

Vシリーズ後継モデルでステータス監視に対応!
ファン:13.5cm角(底面)●電源コネクタ:ATX24ピン×1、ATX/EPS12V×1、EPS12V×1、Serial ATA×12、ペリフェラル×4、12VHPWR×1、PCI Express 6+2ピン×3

 同社の定番電源「Vシリーズ」を受け継ぐモデル。フルプラグイン方式で奥行き16cmといったスペックは変わらない。専用ケーブルでマザーボードと接続すれば独自ソフトの「MasterPlus+」からファンの速度や負荷状況のリアルタイム監視も可能で、ハイエンドユーザーのニーズにもマッチする高機能モデルだ。

プラグイン端子も豊富。12VHPWRの下にはリアルタイム監視用ケーブルを接続するためのコネクタがある

DeepCool Industries PX1000G

要所を押さえた機能が光る意欲作
ファン:13.5cm角(底面)●電源コネクタ:ATX24ピン×1、ATX/EPS12V×2、Serial ATA×8、ペリフェラル×4、12VHPWR×1、PCI Express 6+2ピン×3

 大出力の12VHPWR対応電源としては低価格。一方で80PLUS Gold認証に加えてCybernetic Platinumの認証も取得しており高効率も両立している。動作音ではFDB軸ファンを採用するとともに、準ファンレス機能のON/OFFスイッチを背面に搭載。DeepCoolらしいシンプルなデザインも新鮮だ。

12VHPWRコネクタに色が付けられていて挿し込み場所が分かりやすい

Enermax Technology REVOLUTION D.F.2 ERS1050EWT

ファンが逆回転してダストを払う!
ファン:12cm角(底面)●電源コネクタ:ATX24ピン×1、ATX/EPS12V×2、Serial ATA×8、ペリフェラル×4、PCI Express 6+2ピン×6、FDD×1

 システム起動時にファンが逆回転することで、ホコリを除去するユニークな機構を採用。ファンのトラブルを予防して長く使えることを目指した製品だ。静音性に優れた12cm角ファンに準ファンレス機能も搭載。ファンへのこだわりが強いが価格も手頃で、1,000Wクラスが2万円は魅力的だ。

ATX 3.0に準拠しているが12VHPWRはネイティブではなく、12VHPWRケーブルもオプション

FSP Group Hydro GT PRO ATX3.0(PCIe5.0) 1000W

信頼設計でも手頃な価格をセミプラグイン採用で実現
ファン:12cm角(底面)●電源コネクタ:ATX24ピン×1、ATX/EPS12V×2、Serial ATA×10、ペリフェラル×2、12VHPWR×1、PCI Express 6+2ピン×4

 1次側に採用するのは日本メーカー製105℃品コンデンサ。12VHPWRに対応する1,000W電源なのに手の出しやすい価格帯を実現するヒミツはセミプラグインの採用だ。フルプラグインにこだわりがなければ候補に入れたいところ。背面にあるECOスイッチで準ファンレス機能をON/OFFでき機能の面でも満足させてくれる製品だ。

規格や機能は上の価格帯の製品と変わらず、セミプラグインにしたことでコスパが向上

SilverStone Technology DA850R Gold SST-DA850R-GM

トレンド機能を充実させたコンパクトフルプラグイン電源
ファン:12cm角(底面)●電源コネクタ:ATX24ピン×1、ATX/EPS12V×2、Serial ATA×8、ペリフェラル×6、12VHPWR×1、PCI Express 6+2ピン×4、FDD×2

 奥行き14cmのコンパクトな電源。すべてのコンデンサを日本メーカー製とし、40℃環境下で7日間連続出力可能な高い安定性をウリとする。準ファンレス機能は非搭載だが、12cm角でFDB軸を採用するファンは18dBの静音仕様。フラットケーブルを採用しているためケーブルマネジメントがしやすく汎用性の高い電源だ。

プラグインコネクタは少なめだが850Wクラスなら過不足なし

ニプロン HPCSA-1500P-E2S

もし止まったら大損害 そんなシステムにはこの電源
ファン:8cm角(背面)●電源コネクタ:ケーブル別売り

 365日連続稼働を前提とした高信頼電源。変換効率のグラフは比較的フラットで、負荷率50%をピークに、それ以外の負荷率では効率が落ちることの多い一般的な電源とは異なり、より高い負荷率で運用しても高効率、低発熱。深層学習やAIなど複数枚のビデオカードを運用するシステムに最適だ。

4面の基板は電子部品でびっしり。アナログ回路設計を突き詰めた電源だ
【検証環境】
CPUAMD Ryzen 9 5900X(12コア24スレッド)
マザーボードMSI MPG X570 GAMING PRO CARBON WIFI(AMD X570)
メモリKingston HyperX Savage DDR4 HX430C15SBK2/16(PC4-24000 DDR4 SDRAM 8GB×2)
ビデオカードNVIDIA GeForce RTX 3090 Founders Edition(1,000W電源のみ)、ZOTAC GAMING GeForce RTX 2080(NVIDIA GeForce RTX 2080、850W電源のみ)
SSDSolid State Storage Technology Plextor M8Se(G)シリーズ PX-512M8SeG[M.2(PCI Express 3.0 x4)、240GB]
OSWindows 11 Pro
室温20℃
暗騒音34.6dB
アイドル時ベンチマーク終了10分後の値
高負荷時3DMarkを実行中の最大値
動作音測定距離ファンから約15cm
電力計Electronic Educational Devices Watts Up? PRO
電圧計測方法三和電気計器 PC-20を3台使用し、各コネクタの電圧を計測
リプル計測方法Pico Technology PicoScope2204を使用しアイドル時に計測

[TEXT:石川ひさよし、藤山哲人、長畑利博、Windlass]

PCパーツ100選 2024

DOS/V POWER REPORT「2024年冬号」の記事をまるごと掲載

 今回は、2023年末に休刊したDOS/V POWER REPORT「2024年冬号」の記事をまるごと掲載しています。

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